- 所属
- NASA CTV-28
"クローバー" 宇宙飛行士
- 好きなモノ・得意なこと
- ブライアンの「夢のドア」の話
- ブライアンの「夢のドア」の話
- 嫌いなモノ・苦手なこと
- クルーのストレス値が上がること
- クルーのストレス値が上がること
- 誕生日
- 1976/3/7
- 身長
- 177cm
- 家族構成
- 妻・息子
- 妻・息子
- 初登場
- #217(ポスターでの登場は#216)~
words言葉
「最近のこの2人の“シミュレーション風景”を見てもらえば ウチには4人のベテランクルーがいるように感じると思うよ」
「『人の人生には いくつもの“夢のドア”がある』」
「君らにとってはこのハッチも “夢のドア”の一つになるはずだ セリカ…エナ… 開け方はわかるな?」
「『休め』と言うのも今は酷だが それにしてもな…」
profileプロフィール
伊東せりか、北村絵名が参加したISSミッション、CTV-28チーム・クローバーのクルーの一人。CTV-28ではコマンダーを務めた。
今回が初フライトだったせりかと絵名。
始めの頃は覚えるのに必死でミスも多かった2人だったがしっかり訓練について来た。フライト前の記者会見が行われた頃には、ベテランクルー4人がいるように感じる、とせりかと絵名を評している。
会見で、せりかは先輩宇宙飛行士ロビンとダグから聞いた話を披露する。
「宇宙飛行士という者は昔から宇宙に出ると“不思議な力”が働いて――150%の力が出せるようになるらしいんです」
初の宇宙、初のフライト、念願のISS。せりかは「150%の成果が出せるよう 全ての力で挑んできます!」と笑顔で意気込みを表明した。
ちなみにロビンがいった本当の数字は「150%」ではなく「130%」だったが、せりかのISSに懸ける強い想いが「+20%」になったのかもしれない。
『人の人生には いくつもの“夢のドア”がある』
ISS到着のその時、ロビンがふと思い出した言葉。
それは、NASAのジュニア・サマースクールでブライアンがティーン・エイジャーに向けて話した言葉だった。
――人は「宇宙へ行く」みたいな大きな夢を持った時、目の前にあるバカでかいドアに委縮して向こう側へ行くのを諦めてしまう。
「開けられるわけがない」と。だがビビることはない。
本当は始めからそんな“バカでかいドア”なんてものはない。
小さなドアがいっぱいあるだけだ。
その小さなドアを開けるたび 君らの夢が一つずつ叶ってくのがわかるはずだ。
君らにはそのためにやるべきことがある。
手探りでも何でもいい。意地でも次のドアに手をのばし続けることだ。
そんなことしてる間に――気付いたら 宇宙遊泳とかしてるかもよ?――
ブライアンから子どもたちに贈られた言葉たち。
横で聴いていて、若い頃を思い出したロビン。ブライアンの言う通りいくつものドアを開けていつの間にか宇宙に来てた。
ロビンは、小さなドアをいくつも開けて今ここにきた新人宇宙飛行士2人に言葉をかける。
「君らにとってはこのハッチも “夢のドア”の一つになるはずだ
セリカ…エナ… 開け方はわかるな?」
オリオンからISSへの扉がゆっくりと開く。せりかと絵名は満面の笑顔でISSに搭乗した。
ISSでの滞在は順調に進んでいた。だが、JAXAやせりかに断られた製薬会社の社員が、せりかとせりかの先輩が勤める製薬会社について癒着しているという根拠のないデマを流し始め、せりかやJAXAに批判が集まり始めた。
批判に晒されJAXAや文科省から実験中止の指示を受けながらも、せりかは実験を続けることを決断。
コマンダーであるロビンは、そんなせりかとせりかを支える絵名を見守っていた。
ある日ズヴェスタ(ロシアモジュール)からコニャックを発見したロビン。NASAとの通信カメラとマイクを切り、就寝前にこっそり4人でコニャックを飲もうと誘った。宇宙飛行士の宇宙空間での飲酒は禁止されているため せりかと絵名はマズくないか?と心配するが、“ストレス緩和”の一環だと笑うロビン。ダグは「セリカは“実験ガール”なんだから」と実験用スポイトにコニャックを吸わせた。
実験用のスポイトにコニャックを入れたことにせりかは「も~」と怒るが、ふとそのコニャックを実験中のいくつかのいくつかに滴下し始める。
ヤケクソもあっただろうが、せりかがその行動をする背景には理由があった。
「偶然だとしても治せるんなら成功」「とにかく何でも試す」「成功するまで何でも」
そんな父の背中を見て育ったせりかが、コニャックを入れてみようと思ったのはヤケクソだけではなかったに違いない。
そしてその実験結果に希望が見えた。コニャックの滴下に一部結晶化を見たのだ。
次は温度や時間を変えて――せりかと絵名は次々と試し、遂に“結晶化”という実験の成功を導いたのだ。
ロビンとダグは、辛い決断を迫られながら実験を続け成功させた2人の真っすぐな姿勢をずっと見守っていたことだろう。それはまさに「150%」の力だったに違いない。
ISSミッションはその後順調に進み、チーム・クローバーは遂に帰還の時を迎える。
ロビンは再びブライアンの話をし始めた。
初フライトの宇宙飛行士に、ブライアンが毎回言っていた言葉を。
――帰還の時に見えるプラズマを見逃すな
宇宙飛行の“終わり”を告げる――“祝福の火花”だ――
「それを見た者は宇宙にまた呼ばれる」。それをゲン担ぎにしちゃったワケよ、とダグが付け足す。
祝福のクラッカー。誕生日のクラッカーのヒモはうまく引くことが出来なかったけど、心の中で1万発くらいの力強さで自分を祝ってくれただろう父のことを思い出し、せりかはオリオンの外で輝く火花を見つめた。
新人宇宙飛行士のせりかと絵名。チーム・クローバーのクルーとして共に時間を過ごしてきたロビンとダグ。
訓練の時からずっと彼女らを見てきたコマンダーのロビンは、初フライトの新人宇宙飛行士2人を、せりかの困難を、2人の苦楽を、時にブライアンの言葉を伝えながら傍で見守りそっと支えてきた。
チーム・クローバーでの時間が、先輩宇宙飛行士からの数々の“贈りもの”が、宇宙飛行士伊東せりかと北村絵名にとってこれから先も大きな支えとなることだろう。