- 所属
- JAXA職員
- 出身地
- 日本
- 日本
- 初登場
- #3~
words言葉
「南波六太君と沢木学君 どちらか一人を『落とす』というのであれば 私は迷いなく南波君を落とします」
「大事な飛行士の審査に 私情をはさまないでいただきたい」
「星加君 もうその猶予はないんだよ」
profileプロフィール
ムッタが受けた宇宙飛行士採用試験の二次審査で面接官を務めたJAXAの職員。重要な会議に出席している立場にいるため、星加と同等かそれ以上のポジション。常に眉間に皴が寄っている。
二次試験後、南波六太・沢木学ともに英語力、身体能力については十分クリアできるレベルであるとしているものの、どちらかを落とすのならば迷いなく南波を落とすと発言。星加になぜかを問われると「上司への暴力で前の会社をクビになっている」ことから、ムッタの精神面に問題があると考えたようだ。
しばらくして再び選抜者を決める会議にて、半数以上が沢木に票が集まったが、星加と二村はムッタを強く推す。
どうしてそこまでこだわるのか個人的な感情があるのか疑問に思うとともに、私情をはさまないでほしいと伝える田沼。星加はこう答えた。
「情をはさむなってんなら パソコンにでも決めさせりゃいい」
人を選ぶのは結局は人の“情”の部分。
星加は、南波と一緒に仕事がしたいと思った。だから彼を推す、という。
その時、アメリカでは大変なことになっていた。消火器男事件の犯人を倒したムッタが、一躍ヒーローとなっていたのである。TV番組や新聞にも登場し、アメリカではちょっとした人気者になっていた。
茄子田理事長の「彼もちろん通ってるよねっ 2次審査くらいねっ」の鶴の一言でムッタは二次審査を通過したのである。
ヒビトのパニック障害についてNASAから報告がいった際、田沼は迷うことなく「前線から退いてもらうしかない」と発言。
リスクのある宇宙飛行士は使えない、国際的な信用問題であると付け加える。
だが他のメンバーからはヒビトは日本のヒーローになっていること、冷遇されているように世間に映ってはマズイこと、我々(JAXA)の評判が落ちる、などがあげられた。
ヒビト本人への気遣いに欠ける数々の発言に星加は眉をひそめるもJAXAの医師がNASAの医師と協調しながら回復に努めるというのが本来の筋であると伝える。
それらを聞いた田沼は“安全(セーフティー)スーパーバイザー”を提案、決議された。
それは一見ヒビトの功績に見合い立派なポジションに抜擢しているようでありながら、二度と宇宙へ行くことは叶わない飼い殺し案であった――。
ムッタ、ヒビト――そしてせりかに対しても、田沼は冷酷に動く。
製薬会社との癒着が疑われた際、実験中止させようとすぐに口に出したのも彼である。また、マスコミにJAXAの内部情報が筒抜けになっていることに対して星加の頭をよぎったのが田沼だった。
彼がどういう経緯でJAXAに入り、どういう思いで働いている人間か描かれることは恐らくないだろう。
田沼自身は有人宇宙飛行自体に反対派なのかもしれない――が、それも推測である。
読者にとってはムッタたちの邪魔をする嫌な人物であるが、同時に、ムッタらが乗り越える“困難”として描かれている一人でもある。
『宇宙兄弟』の物語をより深くする登場人物である。