- 初登場
- #132~
words言葉
「ま 今のお二人の姿を通じて世の働く人々にメッセージとして感じとっていただこうと!」
「ままま 元サラリーマンが宇宙飛行士になって今まさに宇宙を目指しているという――」
「今その途中にいるんだと!」
profileプロフィール
“日本の新時代を応援するビジネス雑誌”『JAPONS(ジャポンズ)』プロデューサー。
ムッタとヒビトの表紙撮影で、コンセプトをテンション高く熱く語る。
“日本人ムーンウォーカー第1号の南波日々人
その後を追って月へ向かう兄の六太
同じ舞台で追いつ追われつがんばっているライバル兄弟”をテーマに今の二人の姿を通じて、世の中の働く人々にメッセージとして感じ取ってもらうこと。
撮影衣装は、ヒビトは既に月へ行った宇宙飛行士のため宇宙服フル装備、ムッタは“元サラリーマンが宇宙飛行士になって今まさに宇宙を目指している途中である”ため、宇宙服は半分から上とネクタイ+下半身はスーツ、というスタイルだった。
この格好でいたら死ぬわけだけど、この人たちはわかっているのだろうか…。
複雑な気持ちになりながら、ムッタは撮影に臨む。ヒビトにも「変だよ」と言われながら。
このときプリントアウトされ、その場で記念にと渡された写真。兄弟で一緒に“月面”に立った一枚は、ムッタとヒビトにとって大切な一枚となった。
この撮影の時、ヒビトは衣装の宇宙服を着たことでパニック障害の症状を発症していた。ムッタはヒビトの様子に多少の違和感を覚えたものの、そのまま撮影は無事終了。
新しい訓練(本当はパニック障害克服のための訓練)のために旅立つ。自分よりもはるか先を進んでいるヒビトと、宇宙飛行士になってもサラリーマン時代と変わらぬ“車開発”をしている自分を比べてしまいそうになる。
だが、ムッタはもうヒビトに対し嫉妬や兄としての焦り・情けなさを抱いていたあの頃のムッタではない。
背広の内ポケットに入れていた写真を取り出し、ムッタは思う。
「まあいい すぐに追いついてやる」。
「俺らは生きて 一緒に月面に立とうぜ」「当たり前だ」
いつか本物の“月面”に――。ヒビトと交わした言葉を思い出し、ムッタは自分がやるべき目の前の仕事へと戻っていった。
日本人初、最年少ムーンウォーカーとして日本でヒビトブームを巻き起こした弟ヒビト。今まさに宇宙を目指している兄ムッタ。
雑誌『JAPONS』はヒビトブームの波にも乗って、恐らく多くの仕事人たちの胸を熱くさせたに違いない。
プロデューサーはテンション高く熱く、この仕事を周囲に語ったことだろう。