- 所属
- ロスコスモス(ロシア連邦宇宙局) 管制室長官(エスアールベー)
- 出身地
- ロシア
- ロシア
- 初登場
- #372
words言葉
「よーしみんな着陸前にトイレ済ましとけよ」
「この区間のどこかで道路工事とかしていないか洗い出してくれ」
「とにかく通信復旧を急ごう 管制室(ツープ)は頼んだぞ ユル ボルシュマン」
profileプロフィール
ロシア連邦宇宙局(※以下、ロスコスモス)職員。管制室長官(エスアールベー)を務める。
マクシム4が乗る宇宙船オリョールがカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からソユーズロケットで打ち上がった。着陸船メドヴェージェフにドッキングし、順調に月へと向かう。
ところが、月への着陸を目前にオリョールと地上との通信が途絶えた。
パブロフは急ぎ原因の究明を指示。マクシム4に呼びかけを続けつつ、あらゆる可能性を考え調査を続ける。完全に通信が途絶えている状態は長く続いていた。
パブロフは続いて地上設備にネットワークの損傷情況と原因の調査を指示。そんな中、管制官の一人から“スマホは問題なく使えるが有線電話は使えない”という報告を受ける。
「NASAのキャプコムに報告を頼む」
月への着陸15分前にして起こったトラブルに、パブロフは長官として状況把握に努め指示を出し続けていた。NASAには通信が途絶えているのは恐らく地上側のトラブルではないかという見解を報告している。
その間マクシム4側も管制に呼び掛けつつ、冷静に状況を判断し手動着陸の準備を開始していた。
調査していく中で、ISS他人工衛星などへの通信も全て途切れているという報告が上がってきた。しかしコントロールセンターの機器、基地局の機器のシステムに問題はないとのこと。
この報告で、パブロフは物理的な損傷だと推測。“通信ケーブル”の回線地図を出し基地局までの距離を確認した後、彼は言った。
「この区間のどこかで道路工事とかしていないか洗い出してくれ」
その推測は的中。
ロスコスモスのスタッフたちは工事現場が行われている場所に向かい、工事によってケーブルが切断されていることを発見した。
やはり、と呟いたパブロフは、とにかく復旧作業を急ぐよう指示。
着陸シーケンスまで4分――。
通信トラブルが起こってから原因が解明されるまで、わずか11分の出来事である。
ロスコスモスの対応は素早く、修理を手配、復旧に全力を努める。
移動からシステムの立ち上げまで1時間半から2時間。「サブの立ち上げ」よりも「ケーブルの立ち上げ」の方が早いかもしれないが、“念には念を”である。
ユルとボルシュマンに管制室を託し、パブロフはバックアップ管制センターへ電車で向かった。
ロスコスモスの迅速な判断と対応力、工事作業員たちとの協力による急ピッチの復旧作業により、通信は回復。手動着陸に切り替えていたマクシム4は無事月面に着陸した。
原因は道路の拡張工事の為に掘っていた地面の中にあったケーブルを、工事業者が切ってしまったことだった。
今回の通信断絶は明らかな人為的ミスであるが、ロスコスモス及び各国は「通信の故障」「故障の原因は調査中」と発表する。今正直に公表すると、事故を起こしたのがどこの会社か特定されやすいからである。
“原因となった誰か”を特定させず全体の課題として次への改善につなげていく――それがロスコスモスの良いところだとJAXAの星加は評した。
そんな組織の長官であるキール・パブロフ。
ロスコスモスという組織を率い、宇宙飛行士を支える一人である。