「未来を描いたデザインには、ロマンがある」小山宙哉が語る、セイコー『宇宙兄弟』コラボモデルのこだわり | 『宇宙兄弟』公式サイト

「未来を描いたデザインには、ロマンがある」小山宙哉が語る、セイコー『宇宙兄弟』コラボモデルのこだわり

2025.10.24
text by:編集部コルク
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「このモデルを初めて見たとき、一目でかっこいいと思いました。」

80年代に“Rotocall(ロトコール)”の名で親しまれたセイコーのデジタルウオッチ。
今回、『宇宙兄弟』とのコラボレーションモデルとして復刻されるにあたり、小山さんは監修として企画の初期から携わりました。
デザインの細部まで目を通し、配色や素材にも数多くのアイデアを提案。
そこには、小山さんらしい遊び心と、ものづくりへの情熱が息づいています。

80年代に“未来を想像したデザイン”に感じるロマン

「オリジナルモデルの存在は知らなかったけど、ひと目見て“これはいい”と思いました」という小山さん。「当時は“未来”を想像してデザインされたものが、一度古くなり、現代になって見返すとレトロフューチャー感がかっこいい」

普通の時計でコラボするよりも、このモデルには“SF的なロマン”を感じたと小山さんは言います。そこには、『宇宙兄弟』の世界観と自然に重なる部分があったそう。

SFを感じさせる、八角形のフォルム

「この八角形って、SF的なものとすごく親和性があるんです。『宇宙兄弟』でも、宇宙船や基地の内部を描くとき、90度の角を使わず“面取り”を意識しています。そうすると八角形になる。だからこの時計のフォルムを見た瞬間、このコラボに意味があると感じました」

「同じくSF感を出すために、電波を介した会話やマイクを通した会話のシーンでも、八角形の吹き出しをよく使っています」

宇宙基地や吹き出しの設計にも通じる、角のないデザイン。
『宇宙兄弟』で描かれてきた世界の造形美が、SEIKOの時計のフォルムと重なりました。

“回す”という動作に宿る、道具としての楽しさ

ベゼルを回すことでモードを切り替えるロータリースイッチ。
このアナログな仕組みにも、小山さんは強い魅力を感じたといいます。

「今は画面をタッチして切り替えるのが当たり前ですけど、この時計は“回す”という動作でモードが変わる。手応えがあって、音も気持ちいい。道具としての魅力があると感じました」

手で動かすからこそ生まれる感触。
“使う楽しさ”を大切にする小山さんらしい視点です。

MODEの▲を“ピースオブケイク”カラーに

モードを指す三角マークの色に、作中でも象徴的な“ピースオブケイク”の青を採用。

「この青にするっていうのは僕の提案でした。
オリジナルモデルでは別の色だったんですけど、青に変えることで
『宇宙兄弟』らしさと、コラボモデルとしての個性が出ました」

裏ぶたには「WE ARE SPACE BROTHERS PIECE OF CAKE」のシンボルマークを刻印。
宇宙兄弟の世界観が、時計全体に息づいています。

ムッタのモジャモジャみたいなベゼル

「シルバーモデルは、ベゼルを黒にしてもらいました。
SEIKOさんが提案してくださったんですが、すごく良かったです。
このギザギザした形が黒いので、“ムッタのモジャモジャ”にも見えるんですよね。
偶然生まれた面白さがあって、これはこのままでいきましょう、ということになりました」

オリジナルにはない仕様ながら、宇宙兄弟とのコラボならではの個性を感じさせる仕上がりになっています。

ムッタとヒビトの宇宙服の配色

コラボモデルは、六太の宇宙服をイメージしたシルバー、日々人の宇宙服をイメージしたゴールドの2種類。

「最初はどちらか1色の予定だったんですが、どっちも捨てがたかった。
兄弟それぞれの個性を反映したかったんです。
だから“ムッタモデル”“ヒビトモデル”として2種類出すことにしました。
僕自身、どっちも欲しくなります(笑)」

キャラクター作りと同じこだわりで宿った個性

「シルバーモデルもゴールドモデルも、最初は液晶部分の枠色が同じだったんです。
でも、せっかく2種類出すなら、外装だけじゃなく文字盤の細かいところまで違いがある方が嬉しいと思って。
ベゼルの文字や液晶の枠の色を、それぞれゴールド系・シルバー系に統一しました。
統一してみたらしっくりきて、個性が際立ったと思います」

細部にまで宿る眼差しが、このコラボモデル全体の完成度を高めています。

「キャラ作りの考え方と一緒。個性を入れる。そのことで、オリジナルモデルとの違いが明確になって個性が際立ちました」

ミリタリー由来をイメージしたツヤ消し

最終仕様では、ベゼル部分を“つや消し”に変更。
この判断にも、確かな理由がありました。

「ミリタリーの道具って、反射を防ぐためにつや消しのマットな仕上げが多いんです。
宇宙船にもそういう合理性がある。ミリタリーの園長に宇宙飛行士の仕事はあるので。つや消しにしたことで、見た目が無骨な感じが追加されてクール感が増したと思います」

マットな質感がもたらす無骨さと存在感。
本物の宇宙飛行士も愛用しそうな雰囲気ある1本に仕上がりました。

ナイロンバンドで雰囲気変えも

「80年代のモデルを調べていたら、ナイロンバンドに付け替えている人もいたんです。
僕自身ナイロンバンドが好きでよく使うので、提案したらセイコーさんも“いいですね!”と言ってくださって、実現しました。
軽くて気楽につけられるし、色を変えるだけで雰囲気が変わるのもいいところです。1本で2本の時計を持っているかのようなお得さも!」

普段使いにも対応できる仕様に仕上がり、デザイン性と実用性の両立を実現しています。

偶然から生まれたベルトの仕様

「本来はナイロンバンドの表面にSPACE BROTHERSのロゴを入れる予定だったんですけど、
サンプルでは誤って裏面に印刷されてしまっていて。
でも実際につけてみたら、ベルトを折り込んだときにロゴがちらっと見える。
隠すこともできるし、見せることもできる。
偶然のミスプリから生まれたんですけど、こっちの方が良くなったと思って、この仕様を採用しました」

偶然の発見をデザインに昇華する柔軟さも、小山さんらしさのひとつです。

兄弟の宇宙服をイメージした2つのカラー、
80年代の“レトロフューチャー”を感じさせるデザイン。
そして細部にまで宿る“宇宙兄弟”の世界観。

小山さんのアイデアとこだわりが形になった、特別なコラボモデル。
『宇宙兄弟』の物語と一緒に、あなたの時間を刻んでみませんか。