コヤチュー部オンライン部室 定例会の内容を大公開!! | 『宇宙兄弟』公式サイト

コヤチュー部オンライン部室 定例会の内容を大公開!!

2019.03.14
text by:編集部コルク
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『宇宙兄弟』を多角的に楽しんでいるコヤチュー部オンライン部室。毎月1回開催される定例会には、さまざまな分野の方にお越し頂き、貴重なお話をお伺いしています。

先日は、ゲストに衛星から人工流れ星を流す宇宙ベンチャー企業、「ALE」代表の岡島礼奈さんに来ていただきました!流れ星をつくる…?一体どういうことなのか、お話をお伺いします。

Q.流れ星をつくる? 突拍子もない話にも聞こえてしまいますが、いったいどういうこと?

「自社で開発した人工衛星に、流れ星のもととなる1センチほどの粒を積んで打ち上げ、約400キロメートル上空で放出するプロジェクトを進めています。放たれた粒が発光し、地上からは広範囲で流れ星として見られるようになるんです。衛星は地球をぐるり周っているので、世界中どこでも流れ星を発生させることができますよ」

Q.なんて夢のある話でしょうか。宇宙との新しい関わり方、楽しみ方を提供してくれるのがALEということになりますね。

「メディア上ではいまのところ、エンターテインメントの会社としての露出が多いですね。ただしそれだけありません。人工流れ星の観測データをとっていて、それを基礎科学、宇宙開発に役立てることも目的のひとつです」

Q.流れ星を人工的につくリ出すって、いったいどんな原理なのでしょう。

「本物の流れ星と同じですよ。人工衛星から金属製の小さい粒を放出すると、それが大気圏に突入し、その際に発光します。ものが高速で大気圏に突入すると、大気が極度に圧縮されて熱が生じ、光が出ます。加えて、熱で蒸発した気体と大気が混ざり合ってプラズマ発光も起きる。双方が合わさって、地上から見ると流れる光、つまり流れ星になるのです」

Q.人工流れ星が初めて見られるのは、いつ、どこで?

「2020年春に、広島・瀬戸内のあたりで見られるよう、準備を進めているところです。なぜ広島・瀬戸内地方にしたかといえば、高校生の時、フェリーの上から見た朝の瀬戸内の景色に感銘を受けたから。
人工衛星は軌道に乗って高速で動きますから、広島・瀬戸内地方で観測できるようにするためには、オーストラリア上空で粒を放出します。粒はそれから15分ほどかけて下降して大気圏に突入し、光を発します」

Q.なんとも壮大なスケールのしかけになっているんですね! よほど精度の高い技術が必要になりそう。

「システム自体は3つの独立したCPUを使って、あらゆる条件を分析しながら運用されていきます。粒の正確な放出には、日本の高レベルのものづくり技術が寄与しています。それがなければ実現不可能ですね」

Q.岡島さんが率いるALEはどんな組織で、どんな仲間がいるのですか?

「私たちALEは、『科学を社会につなぎ宇宙を文化圏にする』をミッションに掲げています。好奇心旺盛な20人弱のメンバーが、宇宙産業を発展させていくために活動しています。宇宙研究や宇宙関連の仕事をしていた人ばかりではなくて、多様なバックグラウンドを持った人間が集まっています。そのほうがいろんなアイデアが出て、触発されることも多くて、開発や事業の加速度が増しますね」

Q.岡島さんご自身の、宇宙への関心はいつごろから?

「中学生のとき、『ホーキング、宇宙を語る』という本が流行っていたんです。読んでみたらすべては理解できたなかったものの、ブラックホールやビッグバンの話に驚き、宇宙はいったいどうなっているのかと興味が湧きました。それで天文学を学んだのち、金融機関勤務などを経て、2009年から現在につながる活動を始めました。

そう、それにもちろん『宇宙兄弟』も前から大好きでした。その証拠に、家で飼っている犬は『ムッタ』と名付けていますから(笑)。

流星に着目したのは2001年、しし座流星群を見たのがきっかけです。きれいで感動したのと同時に、すごく寒くてたいへんだという思いも残った。もっとカジュアルに、ビールでも飲みながら流れ星が見られたらいいのに。そう思ったことが、人工流れ星をつくろうという発想のもととなりました。

人工流れ星は、次世代の宇宙エンターテインメントになるはず。まずは2020年春のプロジェクトを成功させて、いずれはみなさんが、たとえばプロポーズのときに演出として流れ星を使えるほど、手軽なものにしていきたいです。

それとともに、従来はデータが取りづらかった『中間圏』に人工衛星を飛ばすことを利用して、さまざまなデータを蓄積させていくことにも注力します。中間圏は地球環境との密接な関わりが指摘されていて、そこでまとまったデータを得られれば、気候変動の予測技術などに活用できる可能性があるので」

夢のある、それでいてすでに大いに具体性のあるお話に、聞いている全員がワクワクさせられっぱなしの時間でした。


コヤチュー部オンライン部室では、過去に『宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。』の著者・長尾彰さん、『君たちはどう生きるか』の作者で宇宙兄弟のアシスタントとしても活動しているマンガ家の羽賀翔一さん、有翼民間ロケットを開発中の株式会社Space Walker代表取締役大山よしたかさんなど、さまざまな分野のゲストの方にお越し頂いています!もちろん、遠方の方はオンラインでの参加もOK!興味がある方は、オンライン部室の詳細をぜひ見てみてください^^

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