[宇宙の豆知識]宇宙の奥行きを感じる“星と地球の距離”
星座の形を思い浮かべた時、どんな形をイメージできますか?
星と星を線でつないで描かれる星座を、私たちは平面的に捉えがちですが、その形はあくまでも地球から見て定義づけられたもの。
それぞれの星は、地球から見た時にどのぐらい離れているのでしょうか?
そのように意識する場面はあまりないかもしれませんが、じつは星の距離はそれぞれバラバラです。
もしも、私たちがひとたび宇宙の中に迷い込めば、地球から見ていた星座の形とは全く別の形に見えるでしょう。
今回は、地球から見た星座の距離について、光の速さをもとにした距離「光年」で例をあげてみます!
見えている星座は平面ではない
1光年とは、光が1年間に進む距離のことです。約9兆5000億kmが1光年の距離に当たります。
まずは、三つの星が特徴的で一番有名な星座 オリオン座を例にあげてみましょう。
オリオン座
(画像引用:Yahoo!JAPANきっず図鑑)
オリオン座の中でも有名な星は2つあります。
オリオンの肩に位置し、最近減光していることで注目を集めている赤い星「ベテルギウス」。もう一つは、オリオンの右足部分に位置する青白い星「リゲル」です。
この2つの星を、平面的に捉えればどちらもオリオンの身体の一部に見立てられますが、じつは地球からの距離はそれぞれ全く異なります。
地球側から見たオリオン座の距離を視覚的に表すと、下の図のようになります。
ベテルギウス(オリオン座) 500光年
リゲル(オリオン座) 850光年
「ベテルギウス」が500光年ということは、光で考えると500年ほど前の星の輝きを見ていると言えます。
一方、850光年の「リゲル」は850年ほど星の輝きを見ていることになり、それぞれ地球からの距離には果てしなく大きな差があることが分かります。
それでは「ベテルギウス」を含む、冬の夜空の代表格「冬の大三角」はいかがでしょうか?
冬の大三角
(画像引用:Yahoo!JAPANきっず図鑑)
オリオン座の「ベテルギウス」、おおいぬ座の「シリウス」、こいぬ座の「プロキオン」の3つの星をつないでできるのが「冬の大三角」です。
3つの星をつないでできた三角形は、比較的安定した形をしていますが、それは地球から見た姿。
この「冬の大三角」も、それぞれの星と地球までの距離は異なります。
ベテルギウス(オリオン座) 500光年
シリウス(おおいぬ座) 8.7光年
プロキオン(こいぬ座) 11.4光年
オリオン座の「ベテルギウス」だけが500光年と気の遠くなるような距離に位置していて、おおいぬ座の「シリウス」やこいぬ座の「プロキオン」は、比較的地球から近いところにある星だということが想像できるでしょう。
ふたご座
(画像引用:Yahoo!JAPANきっず図鑑)
冬の星座の中でも仲良く並んでいるのが、ふたご座です。兄の星を「カストル」、弟の星を「ポルックス」と呼びます。
地球から見ると横に並んでいるように見えますが、実際には兄弟星の距離は異なります。しかし宇宙規模で考えてみると、割とこの2つの星は近い方だと言えるのかもしれません。
カストル(ふたご座) 50光年
ポルックス(ふたご座) 35光年
奥行きを感じることで、宇宙はもっと面白くなる
昔の人々が生み出した星座は、地球との位置関係で形を想像したもの。
地球から見ると、まるで夜空のドームに張り付いているかのように見えていた星座は、それぞれの星の距離が異なることが分かったと思います。
また、星と地球の距離がそれぞれ異なるということは、別々の過去の光を同時に見ているということ。
それは同じ夜空の中で、同時に違う時間を見つめているようなものです。
これらの予備知識があると、宇宙の奥行きを感じられるようになり、今この瞬間に星たちが瞬いて見えることが、とても特別なことに思えてくるはず。
夜空を眺めながら、宇宙の面白さをより感じてみてください。
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ゆみ
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