南波 日々人 | 『宇宙兄弟』公式サイト
なんば ひびと
南波 日々人
NAMBA HIBITO
所属
ロスコスモス LPK-29
”マクシム4”JAXA宇宙飛行士
嫌いなモノ・苦手なこと
細かい作業・面倒なこと
細かい作業・面倒なこと
誕生日
1996/9/17
「栄光の日」生まれ(ムッタ談)
野茂英雄投手がノーヒットノーランを達成した日
「栄光の日」生まれ(ムッタ談)
野茂英雄投手がノーヒットノーランを達成した日
出身地
日本・東京都出身、実家はたけのこニュータウン。NASAを去り現在ロシア・モスクワ在住。
日本・東京都出身、実家はたけのこニュータウン。NASAを去り現在ロシア・モスクワ在住。
身長
182cm
家族構成
父 長介、母 真弓、兄 六太、アポ
父 長介、母 真弓、兄 六太、アポ
略歴
大学卒業後JAXA宇宙飛行士選抜試験を受け合格。
日本人最年少宇宙飛行士であり、史上最年少ムーンウォーカーの記録も打ち立てた。月面でのクレーター落下事故から奇跡的な生還を果たすも、パニック障害を発症。リハビリ訓練の末現役復帰試験をパスしたもののNASAでの宇宙飛行士現役復帰を見込めずロシアに渡る。ロシアでの訓練に参加し、月ミッション“トルストイ4”のバックアップメンバーに選ばれ、アストロノートからコスモノートになる。
太陽フレアの影響によりアクシデントが起き帰還が困難となっているNASA月面ミッションクルー“ジョーカーズ”のムッタとフィリップを帰還させるため、NASA・JAXAとの協力体制ミッションFMTEに任命される。“マクシム4”のクルーとしレスキューに特化した訓練を行い、遂に自身2度目の打ち上げへ。
懐かしい月で宇宙飛行士 南波日々人は復活を遂げた。ムッタらと合流し、帰還の準備を進めつつ水資源調査タスク他ミッションを遂行中。
大学卒業後JAXA宇宙飛行士選抜試験を受け合格。
日本人最年少宇宙飛行士であり、史上最年少ムーンウォーカーの記録も打ち立てた。月面でのクレーター落下事故から奇跡的な生還を果たすも、パニック障害を発症。リハビリ訓練の末現役復帰試験をパスしたもののNASAでの宇宙飛行士現役復帰を見込めずロシアに渡る。ロシアでの訓練に参加し、月ミッション“トルストイ4”のバックアップメンバーに選ばれ、アストロノートからコスモノートになる。
太陽フレアの影響によりアクシデントが起き帰還が困難となっているNASA月面ミッションクルー“ジョーカーズ”のムッタとフィリップを帰還させるため、NASA・JAXAとの協力体制ミッションFMTEに任命される。“マクシム4”のクルーとしレスキューに特化した訓練を行い、遂に自身2度目の打ち上げへ。
懐かしい月で宇宙飛行士 南波日々人は復活を遂げた。ムッタらと合流し、帰還の準備を進めつつ水資源調査タスク他ミッションを遂行中。
初登場
#1~

words言葉

1巻
1巻
#1

「ムッちゃん 俺今なんとなく 将来は宇宙飛行士になってさ。月に行くような気がしたよ」

2巻
2巻
#13

「もし諦め切れるんならそんなもん夢じゃねえ」

8巻
8巻
#76

「だって…天国も地獄もどっちも生きてる時に見るもんだ」

9巻
9巻
#84

「ブライアン…やっぱり来てくれるんだな あんたは」

9巻
#86

「俺らは生きて一緒に月面に立とうぜ」

26巻
26巻
#242

「楽しいだろ?宇宙って(ムッタの月への打ち上げ時メールにて)」

30巻
30巻
#282

「だけど心配はいらねーよムッちゃん 俺の未来はどうにでもなる それじゃまたムッちゃん 月面で会おう(ムッタへメール)」

30巻
#285

「俺がラインの上を真っすぐ歩けたのは 飛行訓練のおかげじゃない。PDの時と比べれば 大したことないなって気付いたからだ」

31巻
31巻
#287

「諦められないことのために 諦めることもあるんだよ」

31巻
#288

(握りしめたんだよな オリガ…… “絶対”を)

36巻
36巻
#335

(一生消えないなら 受け入れるしかない 内ポケットの不発弾も月まで連れて行く)

36巻
#340

「宇宙飛行士としてダメになってた僕を 兄はフワッと救ってくれました 今度は僕が――兄を救いに行く番です」

41巻
41巻
#368

「いいぞ上がれガンガン上がれ!宇宙へ行く 俺はまた宇宙へ行く このまま行け!!」

40巻
40巻
#374

「奇跡的な“偶然”といえばそうだろうし“必然”だって考えればそれもそうなんでだからどっちでもいいですね会えるなら」

41巻
41巻
#383

「60年後の――宇宙飛行士へ」

41巻
#385

「そういえばさムッちゃん 二人でこうやって同じ任務(ミッション)してるって “初”だね なんか不思議な感じする…」

profileプロフィール

南波ムッタの弟。
JAXA史上最年少で宇宙飛行士となり、日本人初のムーンウォーカーという記録を持つ。

小学生の時に兄弟でUFOらしき光を見て以来「自分は将来なんとなく宇宙に行く気がし」宇宙に行くことを決意。自分の中に『絶対』を持って、宇宙に向かって真っすぐに歩んできた。
約束をしたその日から兄ムッタも宇宙飛行士になるのだと信じて疑わず、迷い立ち止まっていた兄を様々な形で引っ張っていく。

好きなスポーツは野球、高校時代はピッチャー。
渡米後は体力づくりを兼ねて自宅からNASAへは自転車で通い、訓練以外でも常に体を動かしている。ロシアでももちろん自転車を愛用。
得意な楽器はギター。子どもの頃からずっとシャロンの元で兄ムッタと共に音楽を楽しんでいた。打ち上げ前のバーベキューパーティーでもその腕前を披露している。

ブライアンの家で飼っていたパグのジェミニがブライアン逝去後まもなく産んだ、左前脚にハートマークのある仔をヒビトが譲り受けたのがアポである(アニメ映画『宇宙兄弟#0』より)。宇宙船のアポロの「ロ」を省略し「アポ」と命名した。

明るく天真爛漫で天才に見られがちだが、その実誰よりも努力し苦労を周囲に見せずにいる。ただし基本的にはおおざっぱな性格で、細かい部分を面倒くさがる癖がある。マニュアルもあまり読まず体で覚える実践派。
NASAではサムライ・ボーイと呼ばれており多くの先輩宇宙飛行士・同僚から親しまれていた。

誰もが憧れるJ兄弟の弟ブライアン・Jとは特に親しく、ヒビトの積極的な姿勢を買ったブライアンは新人のヒビトを自身のバックアップクルーとして大抜擢し鍛え上げる。
連載開始時ヒビトは既に月へ向かうことが決定している宇宙飛行士であり、兄ムッタが追いかける対象であったが、アニメ映画『宇宙兄弟#0』ではまだ未熟な新人時代のヒビトの訓練の様子、NASAの同僚たちとの時間、ブライアン・Jとの日々、南波家の物語を観ることができる。原作第一話に続く物語なので未見の方はぜひご覧いただきたい。

兄と同じくT-38飛行訓練ではデニール・ヤングに師事。初フライトで何度も吐くも、もう一度乗せろと嬉しそうに言った。この訓練の成果か否かは不明だが、初の宇宙では既に宇宙経験のあるバディですら若干酔っている中、まったく宇宙酔いをすることなく宇宙を楽しんだ。

月ミッションの最中、クルーのダミアンと共にリッテンディンガー峡谷の谷底へと落ちる大事故に遭う。
ダミアンの宇宙服体温調節機能の故障、ヒビトの宇宙服の酸素ボンベが破裂するなど大変な命の危険にさらされる。
本来事故の場所で待機するのが鉄則だが、通信ができず宇宙服が故障し一刻を争う状態では移動し脱出を急ぐしか道はない。

持ち前の前向きさと困難に向き合う強い心を持ち、決して諦めないヒビトはダミアンと共に無事峡谷から脱出。しかしヒビトの酸素は既に尽きかけていた。自身の死を悟ったヒビトは、再び谷底に落ち満点の空を見ながら死のうとしていた…。

ヒビトはじっとしておらず移動すると考え、その脱出ポイントを予測した兄ムッタ。
ムッタの提案を受け酸素生成ローバー「BRAIAN」を向かわせることを提案した先輩宇宙飛行士 吾妻。
そして――死のうとしたヒビトを呼び止めた人形とその名を冠する酸素生成ローバー、偉大な先輩宇宙飛行士ブライアン。

自分の命を助けてくれたこの3人に、ヒビトは心から感謝するのだった。そして約束する。いつか兄弟で月面に立とうと約束する。

ヒビトらCES-51クルーをモデルとしたTVアニメ「Mr.ヒビット」が制作され、世界各国で放送されて大人気。明るく天真爛漫、勇気と元気を持っている主人公のウサギ、Mr.ヒビットはヒビトがモデルである。
TVアニメシリーズでは実際に「Mr.ヒビット」のアニメが作られ、他のクルーも活躍する。

世界中で大人気となったヒビトだが、事故の影響でパニック障害を発症。宇宙服を着ると呼吸困難や冷や汗などの症状が出るようになってしまう。
大きな困難に立ち向かい、いつでも前向きに走り続けていたヒビトから笑顔が消えた。彼が初めて見せる苦しみは、読者にとっても大変つらいものだった。
それでも宇宙飛行士であることを諦めないヒビトはバトラー室長に必ず復帰すると宣言。パニック障害を克服するため吾妻の紹介で単独ロシアに渡り、ロシアの英雄イヴァン・トルストイのもとで訓練を始めた。イヴァンの父もまたパニック障害で苦しんだ宇宙飛行士だった。

宇宙服を着て歩くという当たり前の感覚を取り戻すため、ヒビトの極秘訓練が始まる。イヴァンの娘オリガとの出会いもまたヒビトに良い影響を与えた。バレエに邁進し、途中で一度辞めてしまった彼女の成長記録がヒビトを奮い立たせる。

だが現実は無常だった。NASAに呼び戻されたヒビトは恐らく二度と宇宙飛行士としてアサインされる可能性がない役職を与えられた――実質の飼い殺しであった。

そんな日々も、イヴァンから届いた荷物によって変わった。
リハビリに使っていた防具や衣装。ヒビトはローリー、オリビアの協力を経て再びリハビリを開始、宇宙飛行士復帰への道を探る。
だが再び発作が起こってしまい、吾妻や天国のブライアンに促され兄ムッタにパニック障害を告白。兄弟の思い出や言葉が不安でいっぱいだったヒビトの心をほぐしていった。
――宇宙服は俺らの味方だ。

ヒビトはもう一度宇宙飛行士復帰の試験に臨み、遂に試験を突破。
再び宇宙飛行士として歩みだせる――誰もがそう確信した瞬間だったが、NASAは残酷にも今後ヒビトをアサインしないと決めた。
その知らせを受けたヒビトは、誰にも知らせずに姿を消した。

その間アメリカをフラフラとし死んだように生きるも、ヒビトは宇宙への道を歩き始めた。
「月面で会おう。」
ムッタに送ったその一文は、アストロノートからコスモノートに変わる決意をした“決して諦めない”ヒビトらしいメールだった。

NASAを去り、ロシアの宇宙飛行士として一からのスタートを始めたヒビト。
イヴァン一家との接触を禁じられ、アメリカとはあまりにも違う人との温度や環境に戸惑いつつも、「キノコと名乗ったからにはカゴに入れ。」というイヴァンからのメッセージを受け、一歩ずつ歩みを進める。

よく考えたら一人で宇宙に行くわけじゃない。
ヒビトは積極的にロシアに飛び込みマクシムたちと交流を深めていく。酒を酌み交わし、会話をし、会うたびに少しずつ心の距離を縮め人としての温度を上げていった。

諦めきれないことの為に諦めることもあった。
その悔しさを抱きながらも、ヒビトは新しい道を歩み “絶対”を握りしめる。
パニック障害とは無関係に評価され、ヒビトは遂にアストロノートからコスモノートへ。
ロシアの(ちょっとだけ色味の違う)ブルースーツを纏い、“トルストイ4”のバックアップクルーとして月面ミッション特別訓練のステージへと進む。

ヒビトがロシアで訓練している間、ムッタらジョーカーズには次々と重大な問題が起こっていた。
太陽フレアの影響、ベティの大怪我、それによるクルー四名の緊急帰還。前ミッションのオリオン帰還船の故障により、天文台建設組の二名の帰還船がなくなってしまったこと。

天文台建設組の二人を無事に帰還させるにはどうしたらよいか――。
NASAはロシアそしてJAXAと協力し二人を帰還させるためのミッションを立ち上げた。
それはロシアの帰還船を譲り受け、日本のロケットで日本から打ち上げ、アメリカのミッションコントロールによって月に残っている二人の宇宙飛行士を地球に帰還させるというもの。
国を超えたこの協力体制は、史上初の試みである。

ロシア上層部は本来先に月へ行くはずだった“トルストイ4”のメンバーを総入れ替えすることを決定。
そのミッションには若き宇宙飛行士であるマクシム、フランツ、そしてヒビトが選ばれた。この若きメンバーに加えベテランの吾妻がクルーとして加わり、チームの名は“マクシム4”と名付けられた。

自身が抱えているパニック障害。
NASAでの宇宙飛行士復帰試験直前の雨の夜以来 発作は起きていないが、不発弾が埋まっているような感じは未だに持っていた。
一生消えないかもしれない不発弾。だが、それをクルーの皆は受け入れてくれている。
皆が受け入れてくれるように、自分も受け入れよう。
内ポケットの不発弾も月まで連れて行く。ヒビトは月を見上げ、そう決意する――。

ムッちゃんが待ってんだ…
行くんだ 俺も
月に行くんだ

いよいよヒビトは月へ向かう。 “マクシム4”の記者会見でヒビトが見せる姿は、かつてNASAで行った第一話の時のように堂々たるものだった。
今 月にいる兄への気持ち、思いはという問いにヒビトは答える。

「宇宙飛行士としてダメになってた僕を 兄はフワッと救ってくれました 今度は僕が――兄を救いに行く番です」

この会見を月面から見ていたムッタは、ロシアの宇宙飛行士となったヒビトの姿を、ごく当然のようにそこにいるヒビトを、どれほど嬉しく思い、どれほど誇らしく思ったであろうか。

そしてヒビトは二度目の宇宙へ向かう。
小学生の夏休み、自転車で京都へ向かう途中でライトが切れてしまい、真っ暗な道を後ろから照らしてくれた兄。
「もしもあなたが止まってしまったらその時はきっと後ろからムッタがあなたの背中を押してくれる」というシャロンの言葉。
エンジンが点火した。その衝撃を背中で受けながら、ヒビトはぐんぐんと打ちあがる――。

いいぞ上がれガンガン上がれ!
宇宙へ行く 俺はまた宇宙へ行く
このまま行け!!

ロケットは一気に宇宙空間へ。宇宙に上がった実感を得てヒビトは目を輝かせて笑う。
「ははっ はああ~ 来ちゃったあ!」

着陸まであと11分というところで地上との通信断絶が起こる。
「手動操作に切り替えて予定通りしちゃおう」
昼メシのレストランを選ぶノリでヒビトが提案。船体は正常であり、ここを逃すと周回がずれて明日に持ち越しとなる。
マクシム4は手動着陸することを決め、実行した。

宇宙飛行士が兄弟で同時に月面に立つことの奇跡、その意気込みについてインタビューされた時のことである。
“奇跡”という言葉に、ヒビトはムッタを思い出した。

地球ができて生命が誕生する“奇跡的な”確率。
それは、プールの中に腕時計のパーツを投げ込んで水の流れだけで時計が組み上がるくらいの確率だ。
感動するムッタの横で絵を描いていたヒビトは、あっさりとこう言う。
「星の数ほど無限に時計のパーツがあったら何個かできるんじゃない?時計くらい」

地球ができて生命が誕生したことが“奇跡”ならば、それ以降に起こったことも全部“奇跡”。
兄の言葉にヒビトはそうだね、と続ける。むっちゃんと兄弟になったことも、宇宙を好きになったことも全部奇跡だ。
だから、会えることも奇跡。会えるのなら、偶然でも必然でもどっちでもいい。

着陸し基地に向かう途中で兄を発見したヒビトは、兄に向かい一歩ずつ歩みを進める。
兄弟は、遂に月面での再会を果たしたのだった。
「来ちゃったねえ…」
兄弟はしばしの間、一緒に地球を見つめた。

クルーが全員集合し地上では拍手が巻き起こる。
管制室のスタッフはもちろんのこと、兄弟を幼い頃から知りずっと見守ってきたシャロンや星加は目頭を熱くしてその瞬間を喜んだ。

ビンスに今の心境を聞かれたムッタは、こう答える。
「宇宙に来てからずっと…地球を眺めるたびに――
関わってきたたくさんの人たちに“仲間”以上の何かを感じてたんですけど
日々人と再会して…
そして『マクシム4』に出会えてその気持ちが何かわかりました――
We are “Space brothers”(僕たちは“宇宙兄弟”です)」

ヒビトも嬉しそうに頷く。
俺も…同じこと感じてたよ。

月へ来て嬉しかったことがいっぱいだ。
このメンバーでこれたこと。むっちゃんたちに合えたこと。
何気に“月面で宇宙服でいるときに”兄貴に会えたこと。
「“宇宙服は味方”だって感じながら基地の方へ向かってた 気持ちよかったなあ~」

宇宙服を着ての船外活動は懐かしく、体が覚えていた。
ヒビトは宇宙飛行士史上最も楽しそうにその日の船外活動を終えた。
ムッタもバトラーも、感慨深く、誇らしくヒビトの姿を見つめる。
ロシアンライトニングゴールド宇宙服を着て、月で飛び跳ねるヒビト。
宇宙飛行士 南波日々人の復活だ――。

1969年7月20日。60年前のこの日、人類が初めて月面に立った。
2029年7月20日、ムッタが考案した“We are space brothers”の新しいシンボルマークがお披露目された。
ケーキのピース一つ一つが世界各国や一人一人を表し、中央の白い放射線は星が輝くことを意味し、今光り輝ことをイメージしたシンボルマークだ。

バズとニールが月面に立ったその日に、ヒビトはアズマと船外活動を行う。
月にいながら月を想う、静かで特別な日。
ムッタからこっそり置いてくるようのワッペンを受け取ったヒビトは吾妻と一緒に月面基地の屋根にワッペンを投げた。
「60年後の――宇宙飛行士へ」
“We are Space brothers”。
その言葉が、60年後も続いていることを願って――。

帰還準備のほか、せっかく月にいるのならと新たなミッションが加わった。
それは月の水資源調査だ。
ムッタがコマンダーとなり、ヒビト、マクシム、フランツの四人はカルロム洞窟へ。

ヒビトを心配するバトラーよりも発作のことを忘れているであろうヒビトは、テンション高く洞窟を進んでいく。
まるで小学生の頃の兄弟がそのままいるかのように、ムッタとヒビトは「どちらが先にキラキラを見つけられるか」競争を始めた。

早速見つけたヒビトのキラッとの範囲を採掘調査し始める三人。
ヒビトは管制の指示により、さらなるキラキラを見つけるため奥へ奥へと進む。そこは全体が光るキラキラゾーンだった。

だが突然懐中電灯が切れ、通信が繋がらなくなった。
奥へ来すぎた…ヒビトは引き返そうとするが似た風景が広がる洞窟内で方向がわからなくなってしまう。
目印にライトを置き、ある程度進んでも通信が戻らなかったら引き返す作戦を実行。歩みを進めていくが…。

暗闇と、通信断絶の静けさがヒビトを包む。胸の奥の不発弾が動き出しそうになり、鼓動が早まる。そのとき背中を照らす明かりが――。
通信途切れたら戻って来るだろ、めちゃくちゃ走ったと怒るムッタに「ごめん」「サンキュサンキュ」と返すヒビト。
今まで何度も繰り返してきただろう兄弟のやり取りが、ヒビトを落ち着かせる。
兄ムッタは、この日も自分の背中を照らしてくれたのだった。

「そういえばさムッちゃん 二人でこうやって同じ任務(ミッション)してるって “初”だね なんか不思議な感じする…」

共に宇宙飛行士となり、遂に月面で再会した南波兄弟。
二人一緒の月面を読者も“存分に楽しみ直す”のだ――。

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