ジェーソン・バトラー | 『宇宙兄弟』公式サイト
じぇーそん・ばとらー ジェーソン・バトラー Jason Butler
所属
NASA
宇宙飛行士室長
嫌いなモノ・苦手なこと
宇宙飛行士にとって残念な報告をすること
宇宙飛行士にとって残念な報告をすること
誕生日
1962/7/20
出身地
アメリカ
アメリカ
身長
178cm
略歴
アメリカ空軍士官学校卒業後空軍パイロットとして活躍。空軍をいったん離れMITにて宇宙航法学で博士号を取得。NASA宇宙飛行士を経て室長となる。
アメリカ空軍士官学校卒業後空軍パイロットとして活躍。空軍をいったん離れMITにて宇宙航法学で博士号を取得。NASA宇宙飛行士を経て室長となる。
初登場
#90~

words言葉

「その夢のためにも 必ず生きて帰ってくるということを約束して欲しい」

「だがヒビト…嘘をつき通すのは しんどいぞ」

「あの時は『このまま行けるなら宇宙まで昇っていきたい』――っていう気分だったよ」

「だが宇宙へ行った人間ってのは皆――そんなこと承知で続けた者たちだ」

「少し先になってしまうだろうが 君が…宇宙へ行くと決まったその時――きっと君は我々のこの采配の意味を理解できるはずだ」

「ヒビトが一番…幸福だった時のことを思い出させてやる。……それが…同じ仲間(クルー)である彼らなりのヒビトの救い方です」

「なあエディ これは……あんたの心の片隅に留めといてくれりゃいいんだが…私はあんたの ピアノが聴きたいんだ」

「月面であんたを待ってるかのような――ブライアンの置きみやげだ」

「私も…そう思う……!」

profileプロフィール

NASA宇宙飛行士室長。元宇宙飛行士であり、室長室に飾られている本人写真には少なくとも10個のミッションワッペンが付けられており、少なくとも10回のミッションに参加していることが伺える。

初登場時、バトラーのセリフにはビンセントがガンガンにセリフをかぶせており、厳しいビンセントの登場とは対照的に、読者がクスリと笑ってしまう登場となった。
室長としての厳しさも持ちながら比較的フランクで、表情豊かな人物。室長という立場のため “心の声”も多い。お酒を飲むとゴキゲンになる様子。

ムッタに対し当初あまりいい印象は持っていなかった。落第点を取る、訓練中コンディションを崩すなどの不安定さが他の人より劣って見えたからだ。だがベテランパイロットや技術者、先輩日本人宇宙飛行士から推薦状が届き、ムッタをミッションにアサインする。

ヒビトに続く出世コース。それは“ISS”のバックアップクルーだった。
だがシャロンとの約束を果たすべく月を目指し、せりかの想いの強さを知っているムッタはISSミッションにせりかを推薦、実質アサインを断る形となる。

このとき、ムッタは技術局へ“研修”に飛ばされるが、バトラーはせりかをISSミッションにアサイン。ムッタの言葉は検討材料として強く影響を与えたことだろう。

一方、パニック障害を発症したヒビトには何故月ミッションに加えられないかを説明、必ず治すというヒビトの意志と決意を尊重し “医師たちに一時的な体調不良であることを通すよう伝える”ことを約束する。
「嘘をつき通すのはしんどいぞ」というのはバトラーのヒビトへの思いやりの言葉だったことだろう。

パニック障害を発症したヒビトに、バトラーは特別な思いがあった。
過去“驚異の新人”と噂され、プライベートでも親交があり互いを高めあっていた後輩、ロナルド・クーパー。
彼は、事故でパニック障害を発症し、宇宙へ行くことなくNASAを去った――。

バトラーにとって空軍時代から強烈な憧れがあった宇宙。
過去「自分を一人前のパイロットだと感じたのはいつか」という問い「教官の前でバーティカルクライムロールを披露した時」と宇宙飛行士となったばかりのバトラーは答えている。

己の出世欲、宇宙への憧れ、向上心。それらをストレートに伝える力がバーティカルにはあり、自分の士気を室長たちに誇示し宇宙への切符を手にしてきた。
バーティカルクラムロールは“魔法の裏技”。存分に宇宙飛行を堪能した後は室長の椅子にでも座ってふんぞり返りたい…。
確かな実力と野心でのぼりつめていくバトラー。

ところが――。
「早く宇宙へ行きたい」そう言いバトラーを追いかけていたロナルドは訓練中の事故でパニック障害を発症。
バーティカルをやろうとして事故に遭ったのか気になったバトラーは、“魔法の裏技”は宇宙飛行士が無理にやろうとしなくていいんだ…そう声を掛けた。

その事故以降ロナルドは空に上がれなくなる。そして、一度も宇宙へ行くことが出来ないままNASAを去る――。

宇宙へ行くまでに10年以上かかる者もいる。
宇宙へ行った者たちはそんなこと承知で続けた者ばかり。
自分は続ける。室長のイスに座って踏ん反り返るまで。

室長になった今もロナルドと撮った写真を大切にしているバトラー。
あの頃ロナルドにかけた言葉や行動は正しかったのか――去り行くロナルドの表情や背中を思い出し、バトラーはずっと自問自答しているのかもしれない。

兄弟で月面に立つことが出来なかったブライアン、エディのJ兄弟の無念も知っている故、“兄弟揃って”にはバトラーなりの想いがあった。

ロナルドとヒビトが別人であることは承知している。
だがムッタが月の訓練をすることでヒビトの焦燥感と不安をあおりパニック障害治療の妨げとなってしまうのではないだろうか。
ヒビトは逆だと思う、という吾妻の言葉を聞くも、ロナルドと同じようにはなって欲しくない、慎重に見極めたいという想いがあった。

一方、月ミッション訓練へのアサインを諦めないムッタは月面ローバー改良の提案で成果を出し、さらには自身の“意志の現れ”をバトラーに知ってもらおうとバーティカルクライムロールを習得。バトラーに見てもらうことに成功する。

「最後にそれだけでもできるようになりたかった」。ロナルドが最後にそう言った“魔法の裏技”。
ムッタの“意志の現れ”を、バトラーはしっかりと受け取る。

…ところが、バトラーが受け取ってしまったのはバーティカルだけではなかった。ムッタがせりかに見せたかった次なる大技、ハートマークも、自分へ見せたかったものだと受け取ってしまう。
バトラーは“ムッタの気持ち”を誤解し、しばらくムッタを警戒するのだった…。

「宇宙飛行士に戻る準備ができた」。そう真っすぐに伝えてきたヒビトに、「待っていたよ」と目を潤ませながら声を掛け、ヒビトの復帰試験を行う。
予期せぬ事態があったものの、ヒビトのために駆け付けた仲間と共に試験は進み、彼は笑顔を見せる。
この試験はヒビトを“試す”ものではない。ヒビトが幸福だった時を思い出させてやること――“救うため”のものであるとバトラーは再確認、ヒビトは宇宙飛行士に戻ると確信した。

あの時のお前に見せてやりたい。心で、ロナルドにそう語り掛けるバトラー。
飛び切りの笑顔で試験を終えたヒビトに、バトラーは大きな拍手を送り、喜んだことだろう。

ヒビト、ムッタ、そして一人一人の宇宙飛行士との会話や対話が多く描かれるバトラー。訓練の様子、周囲からの評価などを細かく知り、結果を評価し、彼ら宇宙飛行士にとって良い方向、ミッションチームにとって良い方向を常に考えている人であることが伺える。

そして――ムッタの出した成果や意思の強さ、ヒビトの復帰を経たバトラーは、遂に月ミッションにムッタをアサインすることを決定した。

一癖も二癖もあるどうしようもない孤独な彼らを集め、南波ムッタという男を放り込み、ベテラン宇宙飛行士エディ・Jをキャプテンとする――。
半ばやけっぱち、しかしそれがどんな風に作用するのか、化学反応を期待する…それが、バトラーが考え抜いたチームだった。

バトラーは直接エディの部屋を訪ね、ISSのベテランであるエディに、月ミッションに加わってくれるよう口説く。飛行士の部屋を訪ねる室長は、かつての室長にはいなかったタイプらしい。

バイオリンを20年以上続けてきたエディだが、今から月はピアノを弾けと言っていいるようなものだと固辞するエディ。
ブライアンは両方弾いたこと、エディのピアノが聴きたいと告げるも、エディの意思は固かった。
バトラーはその意思を受け取り、ヒビトが月で発見したブライアン人形の写真を置いていく。それはエディの心変わりを期待しての行為だったのかもしれない。
この写真がきっかけとなりエディは月ミッションへの参加を決め、チームは動き出した。

バトラーは同時にヒビトの月ミッションへの復帰にも動く。
ところが、プロジェクトマネージャーであるゲイツは、パニック障害を起こしたヒビトを“スプーン一杯の汚水”に例えた。そんな言葉を吐き出すゲイツにバトラーは激しく憤るものの、ヒビトは汚水どころか“毒”である、という言葉に何も言えなくなってしまう。

今後ヒビトがアサインされることは恐らくない――

パニック障害を克服したヒビトを見て、かつてNASAを去った後輩への想いも救われたであろうバトラーが、室長として告げねばならないこと。
バトラー本人にとってもそれは非常に悔しいものだっただろう。
ヒビトが出ていった部屋で一人、机に拳をぶつけ悔しさをにじませた。

ヒビトが数日顔を見せていないという報告を受け、バトラーはムッタに連絡をする。
ムッタの立場が悪くなってはいけない。ゲイツを説得すようとするムッタにやめるよう伝えた際、ムッタからの言葉にバトラーは自身の気持ちをもう一度問う。

ヒビトは不運な弱者に見えるか。
今のあいつは自分から見たら、最強の宇宙飛行士だ、と。

自分もそう思う、と強く思うバトラー。

その後星加からかかってきた電話を受け、バトラーはヒビトのこれからを知る。

“アストロノート”から“コスモノート”にかわるだけ。
そう言ったというヒビトの言葉に、バトラーは思わず笑う。
ヒビトらしい――そんなことを思った、のかもしれない。

エディが参加し動き出しいているジョーカーズ。
月面天文台計画建設とバギーの改良案がミッションに加わっているCES-66にはジョーカーズを任命することを会議にかける。ところが、またしてもゲイツの横やりが入った。
新型の宇宙服の発表や、人類が月の裏側へ初めて立つという注目度の高いイベントで、知名度の低い者、初フライトが多いチームでは困る。顔が知られ、ミスをしないクルーを選ぶべき。
そのゲイツの発言に、ほぼ決まっていたジョーカーズのアサインはなくなった。
――バトラーは再び、“嫌な役目”を背負うことになった。

飲みに誘いじっくり話そうとしたり、ムッタがゲイツから突き付けられた予算削減案のプレゼンで、ムッタたちの背中を押しをしたり。それでも首を縦に振らないゲイツ。
会議は中断したものの、なおもジョーカーズをアサインさせるためチャンスを伺っていたバトラーは、ベティがテレビで「シングルマザーの宇宙飛行士」として特集されていること、カルロの写真集がバカ売れしていることを知り、それらの知名度と注目度をプレゼン。

ムッタからの「宇宙のなにが好きか」という問いや、アウトプット・タヴァーンで昔の同僚と会うことで宇宙への熱意を取り戻し始めていたゲイツは、バトラーの提案に頷き、
ジョーカーズをアサインすることに決定する。

効果てきめんなことに驚いたバトラーだったが、バトラー自身が諦めなかったこともこの結果に繋がったのだろう。

いよいよジョーカーズは動き出した。

一人一人にアサインを伝えるバトラー。
だが「当然の結果」と言い放つカルロや、ムッタと同じ場にいたフィリップ(アンディも)に「今きいた」と言われ、ガックリするバトラー室長の悲哀には、申し訳ないがちょっとクスリとしてしまうのだった。

以降のバトラーの言動には、ムッタへの信頼、ジョーカーズに対する思いが伺える。

ジョーカーズ記者会見で南波兄弟は仲違いしているのではといった旨の質問を鮮やかに返したムッタには、「さすが」といった表情を見せた。

連絡なく理由も告げずに訓練を休み続けたカルロの交代を決定するも、戻ってきたカルロに「戻りたいか?」と声をかける。
そして交代したモッシュの予期せぬ事故により、記者会見直前で再びカルロを加えた“完璧なジョーカーズ”を笑顔で紹介した。

打ち上げ前、エディが月行きを決めた理由がブライアン人形であることを伝え、彼がブライアン人形が待つリッテンディンガー横に行かせるEVAをプレゼントしてくれないかとハガードに頼む。

太陽フレアの影響により月面天文台建設は遅れるかもしれない状態。
天文学者が集まる会議では、このミッションで天文台が完成するか不安に思う彼らに、こう言葉をかける。
誰よりも熱い気持ちを持っている者が、今月面にいる宇宙飛行士だと。

だが――。月でのミッションは様々な“想定外”が起こる。

太陽フレアの危険が迫り、このままではクルーの人命に関わり、帰還させるのも難しい状況になるかもしれない。
バトラーはミッションを中断、クルーの緊急帰還を提案する。
しかしハガードの提案は帰還準備を進めながら天文台を完成させること。

大胆に、そして数々のトラブルを乗り越えいろいろなものを飲み込むデカさをもつハガードと、慎重にことを判断する室長バトラー。

しかし、状況は刻一刻と変化していく。
太陽フレアは月面上の機器に多大な影響を与え、それはベティに大怪我を引き起こす事態となった。
人命最優先。今度こそ建設を中止にしクルーを帰還させる――。そう決定したところ、今度は政府側から天文台を完成させることを命令される。

厳しい判断を迫られるバトラーたち。
ミッションを達成させ、クルーたちの命を守る――。彼は、建設チームと帰還チームを作ることを決めた。

室長として、常に慎重に、厳しく重要な判断を迫られるバトラー。
宇宙飛行士、NASA、政府、宇宙開発に携わる人々の想い…多くのものを背負いながら、彼は地上から宇宙飛行士たちを支え、決断していく。

ちなみに人には言えない事情は2コあるらしい。

もっと読む