- 所属
- NASA管制官
フライトディレクター
- 好きなモノ・得意なこと
- ド派手なネクタイ・バスケットボール
- ド派手なネクタイ・バスケットボール
- 嫌いなモノ・苦手なこと
- 小さい声で喋ること
- 小さい声で喋ること
- 誕生日
- 1971/4/13
- 身長
- 188cm
- 家族構成
- 妻
- 妻
- 初登場
- #239~
words言葉
「さあ~ ドカンと行こうかぁ!」
「想定外の波は来るもんだ」
「……俺が思うに こちらから与えずとも 本人が勝手にうまくやっちまうんじゃないか…?あの男の兄貴だぞ。エディ・Jは」
「“SHARON”のために EVAは必要だ。説得してくる」
「語らずとも そこにいてくれればいい。彼らはよくやった」
「それより我々は……“ジョーカーズ”というチームを もうちょい買いかぶってやってもいいんじゃないか?」
「2人以上が 同じことを褒めてくれたなら――それは間違いなくお前の真実だ。信じていいんだ」
「ただ……進んだ先でどうにかするだけだ」
「我々に間違いさえなければ 彼らならやってのけてくれる」
「いいねえ今日は!」
profileプロフィール
ムッタたち“ジョーカーズ”の月ミッションを担当するフライトディレクター。管制官のメンバーたちからは“ボス”と呼ばれる存在。元宇宙飛行士。
体格、器、声すべてが大きく、クジョーには「声やらなにやら4割抑えて」と苦情がでることも?
左手薬指には大きな宝石のついた指輪、管制チームのメンバーからは「今日“も”派手なネクタイ」と言われるなど、派手な小物を好む。ジョーカーズ打ち上げ時のネクタイは「パーティ(打ち上げ)仕様」。
バスケットチーム「ヒューストン・ロケッツ」のファンであり、優勝戦は仕事をサボって観に行った。NASAのハガードの部屋にはグッズや選手とのツーショット写真が飾られている。
また、昔からサーフィンも嗜む。
ハガードが指をボキボキならしたときは、彼の“やる気スイッチ”が入ったときである。皆その音をきいてハガードのスイッチが入ったことを理解する。
素早い判断力と決断力を持つ。周囲が戸惑う場面でも大胆に決断をくだす。
大胆な冒険気質を持っているハガードは、慎重に慎重を重ねるバトラー室長とは対極的だ。
その対照的な部分は、2人が宇宙飛行士御用達の店『アウトプット・タヴァーン』で飲むシーンが描かれたエピソードから見てとれる。
ハガードは十中八九新メニューを頼む。この日頼んだのは新作の“スパイシー・スペーシースパゲッティ”。冒険をしたおかげで「この店で一番うまいもん」に出会えたのである。
ハガードが担当するCES-66ミッションは、月面着陸の段階から様々なトラブルが発生した。
しかし最高のチームワークを見せるジョーカーズとそれをサポートし決断をするハガードと管制によって、多くのミッションが進んでいった。
「デカい波が好き」。サーフィンを嗜むバトラーらしい例えである。
月面着陸時の困難、シャロン天文台建設に欠かせないアンテナの行方不明――。それらの“想定外”にクルーたちはベストなパフォーマンスをみせ、そのトラブルがあったからこそ「月の洞窟の発見」と「水の存在の可能性」という “大波”を掴む。
人類にとっても大きな発見となるかもしれない“デカイ波”。
月の洞窟を探索し水の存在を確認する――そのプランを組み込もうとハガード達NASA側はスケジュール調整に入っていた。
しかし気になる情報があがってくる。大規模な太陽フレアが起こったのだ。
月面基地ではヒューストンとの通信が途絶えた。ジョーカーズは通信が断絶している間、ミッションをどうするか話し合う。
太陽フレアでは外での活動は難しい。基地内タスクに切り替える方向でいこうとなりかけた際、ムッタが切り出す。
CES-66での大きなミッション、シャロン月面天文台の完成。
そのメインコンピュータ“SHARON”が、翌日予定していた接続準備のため月面上に裸のまま置かれていることを。
そのままにして太陽フレアが降り注げば、“SHARON”はただの箱になってしまうかもしれない。ムッタは“SHARON”を基地まで運ぶことを提案する。
月面と地上、通信はできない状態だ。しかし時間がない。
「ハガードなら“GO”と言いそう」
カルロの言葉にエディは“SHARON”を運ぶことを決断する。
ハガードならそう判断し、そう言ってくれる――ジョーカーズの全員がそう思える、ハガードへの信頼が見えるシーンである。
太陽フレアが降り注ぐ想定時刻まで動ける時間は限られている。
ムッタとエディが“SHARON”回収に向かうが、ここでもトラブルは続出した。
過電流によるローバー電源の故障。
基地帰還までの電力を得るため、かつてヒビトとダミアンが落ちたリッテンディンガー峡谷にあるバギーに残されている電源を使おうと向かった先で、エディが怪我を負い意識がなくなりチアノーゼを起こしてしまったこと。
しかしムッタの行動力とブギーの的確な診断によってエディは基地帰還の途中で無事目を覚ます。
もちろん電源は無事確保し、“SHARON”も一緒に基地へ向かう。
月面基地へ戻る途中、2人はある場所へ寄り道した。
かつてブライアンが立った場所に、エディも立つ。
地球が見える場所に立つブライアン人形。その隣に、エディが持ってきた人形を立たせる。J兄弟の子どもの頃からの約束が叶ったのだった――。
実はエディが月に行くことが決まった際、バトラーがブライアン人形とエディが対面できる時間を組み込まないかと相談していた。
だがハガードはバトラーにこう想定して返している。
「本人が勝手にうまくやるんじゃないか」と。エディは「あの男の兄」だからだ。
月面との交信が途絶えた間に月面基地で判断された“SHARON”の運搬。
途切れ途切れながら復活したヒューストンとの交信だったが、このときエディは累積した被ばく線量が高いことを理由にメディカルから船外活動を反対されていた。
しかし通信が完全に復活し、約10分ほど前の映像がヒューストンに届く。
その映像の中でエディの嬉しそうな表情と準備された荷物を見たハガードは、エディがブライアン人形の置かれているあの場所へ行こうとしていることを察する。
そのエディの想いに応えるため。J兄弟を再会させるため。
ハガードはメディカルを説得していたのだった。
太陽フレアが降り注ぐ前に、エディとムッタは無事に月面基地に戻って来た。
宇宙服に搭載されているカメラの映像を見て、2人に何が起こったのかを知り察するハガード。
バッテリーのために谷を降りた勇気、遂にブライアンと“対面”したエディの姿に、ハガードは満足そうな表情を浮かべる。
「彼らはよくやった」。
そう労い、まずは2人をゆっくりと休ませるよう指示した。
だが太陽フレアの影響はまだまだ続く。
船外活動が制限を受けている中ジョーカーズ地球帰還の延長が決定され、それにより遅れていたシャロン天文台の建設が完了させられる可能性が出てきた。
帰還への不安、そして本来予定していたミッションが完了させられるかもしれない喜び。
ハガードは伝える順番に配慮したビンスの手腕に「さすが」と感嘆する。
放射線の次に襲い掛かるプラズマは月面基地に停電を起こす。
通信も不可能になり、ジョーカーズの生命維持も心配された。焦る管制官たちにハガードは「もうちょい買いかぶってやってもいいんじゃないか」とどっしりとした態度をとる。
“世界一大きい宇宙飛行士”の称号を持つハガード。
ジョーカーズの一人であり幼いころから体の大きさが悩みだったアンディには、ハガードとの大切な思い出がある。
「あの人怖い」
ハガードとアンディ、体の大きな2人が周囲からよく言われてきた言葉だ。
ハガードと出会ったのは面接のとき。アンディは大きな体を丸めて縮こまり、常に自信がなさそうだった。
ハガード自身が持つ“世界一大きい宇宙飛行士”の称号は、自分より2cm高いアンディにいつか奪われるだろうと笑った。しかしアンディは「功績を含めた称号であり身長だけでそう呼ばれることはない」と恐縮しきりだ。
ハガードはアンディに尋ねる。
「“2人以上”の誰かに――同じことを褒められた経験はあるか?」
宇宙飛行士になっているアンディにとって「今はもう……“そよ風”です」。
その言葉を聞いたハガードはニヤリと笑う。ある日 “2人以上に褒められた経験”を教えてくれたアンディに、ハガードは言った。
「2人以上が 同じことを褒めてくれたなら――それは間違いなくお前の真実だ。信じていいんだ」
月で活躍するアンディを見て、ハガードは言った。
「俺の称号だったフレーズは 今日からお前のモンだ」。
体が大きいハガードはとにかく目立つ。
その“目印”は何かトラブルが起こるたびに“原因”とされ「問題起こるところに“ビル・ハガードあり”」「“トラブルビル”」と陰口をたたかれてきた。
無数の因縁にハガードは聞こえないフリを極める。
ハガードが見つめていたのはトラブルの向こう側だった。
数々の因縁も、彼には実際どうでもよいのだ。
“トラブルビル”の名は管制官になってもなお囁かれた。しかしハガードはそんなものは気にしない。
彼が見ているものは、いつだってトラブルの向こう側なのだから。
ヒューストンと連絡が取れない中、続出するトラブルに管制官であるハガードの苦労を思うジョーカーズ。
宇宙飛行士時代を知るエディは、ハガードが解決した数々の実績を語る。
ISSの太陽パネルが作動せず電力がダウンしそうになたときISS全体を回転させて電力を回復させたこと。
“トラブルビル”などという周囲が勝手に持った印象とは異なり、ハガードはそんなトラブルを解決した実績をいくつも持つ。
「ハガードの本当の“デカさ”ってのは――いろんなもんを飲み込めるデカさだ」
エディは続ける。
自分が見られていることを知っているから、誰よりも強く責任感を持ってトラブルと向き合う姿勢を貫いてきた。
毎回堂々と豪快にトラブルを乗り越えてきた。
だからこそ周囲の人間に評価されるのだ、と。
月でエディたちがそんな話をしている頃、NASAでは太陽フレアによる今後の影響を考慮し、人命最優先でミッションを中断しクルーを緊急帰還させる決定がされかけていた。
人命は最優先。しかし、彼らがどんな想いで何のために月へ行ったのか。
天文台は完成間近、サイエンスを止めてはいけない――。
帰還までの数日間、帰還準備とともに天文台建設を進める。
それが、人命を最優先し、宇宙飛行士の想いと彼らの力を信じ、かつ科学を止めないと決めたハガードの“デカい”決定だ。
しかし、ここからさらなるトラブルがジョーカーズを襲った。
ベティがタンク破裂の事故に遭い大怪我をしてしまう。
カルロの手により緊急手術はひとまず成功したものの、レントゲンやCTのとれない月ではどんな状態か確認しようもない。
絶対に揺るがない“人命優先”。今度ばかりはクルーの帰還が決定だ。
ところが、政府がそれを許さなかった。
メインミッションの天文台建設が完了していないとなると、CES-66=失敗となってしまうからだ。
今後の予算獲得のため、ベティの怪我を打ち消す成果がなければならない。
最終的に4人は帰還、2人は月面に残るという決断がくだされた。
しかし2機ある帰還船オリオンの制御系にも太陽フレアの影響と思われるトラブルが発生。ベティの体調から、月面基地に引き返す選択肢はない。
残りの1機を使い、ベティら4人は地球への帰還を急ぐ。
だがベティの容体が悪化、急遽ISSでの手術が行われることとなった。
「“前例” を作ってもらうぞ。クジョー」
不敵に笑うハガード。やりましょうと笑うクジョー。史上初の試みに、スタッフの想いが一丸となる。
地上のクジョー、ISSのカルロの手により、手術は成功した。
だが刻一刻と変化する状況、起こり続ける事態に、ハガードは常にフライドディレクターとして対応し続けなくてはならない。
ムッタたちの帰還のため、技術者たちとの会議も同時進行しながら月面基地と交信し各所調整に奔走しながら準備とを進めていく。
しかし太陽フレアの影響はあまりにも大きい。
新たに送った帰還船はLGPS(月のGPS)の故障で予定のポイントを大きく外れ、さらに基地からも遠い場所に降りた。
船外活動で往復するにはあまりにも遠く、誰も経験したことのない距離だ。
詰まれている食糧をはじめとした物資も早く基地に補給しなくてはならない。
船外活動の被ばく量、ビートルの電力、宇宙飛行士の体力…。
どんな方法ならば帰還船と月面基地を往復することが可能だろうか。NASAは策を練る。
そこで出されたのが、予定外のポイントにある帰還船と月面基地の中間地点にあるハビタットという施設を使いキャンプして往復させる案だ。
彼らならやってくれる。ハガードはそう確信し、すぐさま準備に入った。
地上で結成された、ムッタとフィリップを救出するための“タイガーチーム”が結成され、タイガーチームに志願し参加したケンジと新田によって月面基地からのルート途中にある高い山脈を乗り越える方法も見つかった。
月面に2人だけのムッタとフィリップ。
地上からの大きなサポートとプランによって、彼らはともに在るような心強さを感じたに違いない。
無事ハビタットに辿り着いたムッタとフィリップは大きなドッキリに遭遇する。そこには旧型のジョック(ロボット)がまるで人のように座っていたのだった…。
時間をかけたその壮大なイタズラが大成功し笑いが止まらない紫と、しれっと加担していつものように無表情でいるビンス。
ハガードだけが珍しくなんとも言えない冷ややかな表情で、笑う紫を見つめているのだった…。
かくしてハビタットを経て無事に帰還船へ移動したムッタとフィリップは、地上から届いた船の中に熱い仕掛けを目にする。
それは2人を支える人々からの手書きメッセージが書かれた大きな垂れ幕だ。
感動する2人の姿を見てハガードはニヤリと笑う。
大きな字で、ハガードはこう書いていた。
「このCES-66は過去最高の成果と飛躍のミッションとして間違いなくNASAの歴史に残るだろう。
我々は君たちが帰還するその時まで共にいる。」
物資とメッセージを受け取ったムッタとフィリップには笑顔が増えるようになっていた。2人を無事に帰還させるため、ハガードたちは動いていた。
ロシア側ではヒビトらマクシム4が打ちあがり、途中トラブルはあったものの無事に月面へ。
そして遂に、南波兄弟は再会を果たした。
「いいねえ今日は!」
彼らの再会、ジョーカーズとマクシム4の集合には大きな拍手と笑顔が溢れた。
それは歴史的な一日だ。
長らくムッタとフィリップだけだったマクシム4が集合し月面基地は一気に賑やかになった。
久しぶりの船外活動に全力で喜び楽しむヒビトの姿にNASAの管制室には笑顔が溢れる。心配して見にきたバトラーに、ハガードは何も心配いらない、という風に微笑む。
日々はあっという間に過ぎ、遂に帰還の日を迎えた。
ムッタたちを乗せ、遂に打ちあがり月面から離れる帰還船メドヴェージ。
居残りの事態にならずに済んだことにホッとするハガード。
しかし帰還船オリョールに移動するためハッチを開けた吾妻に、火事と思われる煙が襲い掛かる…。
“想定外”が起こり続けるCES-66。
数多くのトラブルに向き合い、そのたびに真摯にそして大胆に解決してきたハガードの“デカさ”。
彼の決断と器に、多くの宇宙飛行士や管制官たちがその命を、その想いと信頼を預けてきた。
アメリカ、日本、そしてロシア。
3つの国が協力する救出ミッションで、ハガードが決断する大きな波は続く。