フィリップ・ルイス | 『宇宙兄弟』公式サイト
フィリップ・ルイス
Philippe Lewis
所属
NASA CES-66
"ジョーカーズ" 宇宙飛行士
嫌いなモノ・苦手なこと
踊らずに走ること
踊らずに走ること
誕生日
1990/2/6
出身地
アルゼンチン生まれ、アメリカ・ヒューストン在住
アルゼンチン生まれ、アメリカ・ヒューストン在住
身長
169cm
家族構成
父、母、兄、姉、弟
父、母、兄、姉、弟
略歴
アルゼンチンに生まれ7年、その後ブラジルに6年、他の土地も点々として過ごした為アイデンティティが曖昧なまま悩みながら過ごしてきた。そんな折NASAチャンネルでエディが言った言葉に感銘を受け、エディに憧れ宇宙飛行士を目指す。CES-66ジョーカーズとしてムッタらと共に月面ミッションへ。数々のミッションをこなす。
太陽フレアの影響やベティの怪我によりジョーカーズは帰還するAチームと月面に残るBチームに分かれる。Bチームが引き継いだ『シャロン月面天文台』を完成させた後、同じくBチームであるムッタと共に帰還を待つ。
アルゼンチンに生まれ7年、その後ブラジルに6年、他の土地も点々として過ごした為アイデンティティが曖昧なまま悩みながら過ごしてきた。そんな折NASAチャンネルでエディが言った言葉に感銘を受け、エディに憧れ宇宙飛行士を目指す。CES-66ジョーカーズとしてムッタらと共に月面ミッションへ。数々のミッションをこなす。
太陽フレアの影響やベティの怪我によりジョーカーズは帰還するAチームと月面に残るBチームに分かれる。Bチームが引き継いだ『シャロン月面天文台』を完成させた後、同じくBチームであるムッタと共に帰還を待つ。
初登場
#172~

words言葉

28巻
28巻

「ヤァマン」

頭は「NO」心は…「YES!」

「もう最高 ドレッド全開にしていい」

「ヤァムーン」

「OK手伝うよヤァマンムッタの夢を俺の次の夢にしよっ」

「エディの見てる景色を 俺も見たいと思った」

「国とか人種とか どーでもよくなる高さまで行って この地球を見てやろう――って」

31巻
31巻
#295

「俺 もう…… “地球人”でいいや」

「もうね… 帰りのビートルん中で『2人残る』――って聞いた時 覚悟決めたよね『俺ら2人が残るんだ』――って」

「エディと月まで来れて 本当 最高(ヤァマン)なミッションだったよ 楽しかった 俺をここまで連れて来てくれて ありがとう」

「それに俺は 今回のミッションはムッタのアシストに注力するって決めたんだ」

「ヤァマン 感慨深いな」

「“帰還ダンス”!ヘイムッタ!帰還ダンス!」

「すげぇな!良かったなムッタ!ヒビト超ヤァマンじゃん!」

「くう~っ なんだよこれ…っ 読むのに1時間くらいかかりそう…!」

「これだな…これだよなムッタ 『俺らのやったことが 誰かの意味あることになる』――ってのは」

profileプロフィール

アルゼンチン生まれ。父はジャマイカ人、母はアメリカ人で、アルゼンチン、ブラジル、アメリカを転々としながら育つ。感情豊かで、陽気。いつも音楽を聴いている。

トレードマークのドレッドヘアは5日に1回くらい洗っているとのこと。

自身らのミッションポスターの元となった映画ではタコの海賊が好きなため、ミッションポスターの髪型はタコにしてもらった。会見でのキャッチフレーズは「NASA一のリズム感を持つ男」。

CES-62のバックアップクルーとして任命される前は、陽気で騒がしいノリに周囲が誰もついていけなかった。個性的すぎるメンバーの一人として選出される。
騒がしい音楽で毎朝目覚めたり、走る訓練では半分踊っているなど自由であった。

月面ミッションのために訓練を重ねてきたジョーカーズだったが、アサインが取り消される事態が発生。ゲイツからはISS廃止の署名を集めろと言われるが、ムッタの強い想いと意向を汲み、ムッタ、アンディと共に“廃止させないため”に積極的に動き出す。

存続のための署名集めや、ミッションの理解度、コスト面などを叩き込み、ジョーカーズは晴れてCES-66月面ミッションへの切符を手に入れる。

月面ではムッタと共に技術面を担当。

多くのトラブルに見舞われる月面ミッション。自分たちの担当期間では天文台が完成しきらない可能性もある。シャロン月面天文台完成を目指すムッタの姿を近くで見て、改めて天文台に対するムッタの気持ちを尋ねたフィリップ。

自分が月面にいる間に完成させたいというムッタの想いの強さを知ったフィリップは、ムッタの夢を自分の次の夢にすることを決めた。

そしてムッタから何故宇宙飛行士になったのか尋ねられたフィリップは、自分のことを話し始める。

両親共に違う国で生まれ、子どもの頃からいくつかの国を転々として過ごしたこと。「何人だよ」「国へ帰れ」など、どこに行っても“よそ者代表”として悩みながら過ごしたこと。

そんな折NASAチャンネルで、ISSで活躍するエディの姿、「我々は孤独だ。だが独りではない」という言葉に感銘を受け宇宙飛行士を目指したことを話す。
きっかけとなったエディと同じチームで、エディの見ている景色を自分も一緒に見ていること。宇宙から地球を眺めたら自分がアメリカ大陸の上から下まで制覇していることに気が付いた。

「俺 もう…… “地球人”でいいや」

アイデンティティの悩みを抱えていたフィリップは答えを見つけたのだ。

数々のトラブルに見舞われながらもジョーカーズは数々のミッションをこなす。しかし太陽フレアの影響は大きく、予定通り進まないミッション、滞在期間の延長などいくつかの不安が彼らを襲う。

太陽フレアが落ち着くタイミングでの帰還が決まり、ジョーカーズは残り数日以内に天文台を完成させるため残りの各ミッションのスピードを上げる。

ところが、月離脱ステージ“ライブラ”の様子がおかしいため確認に向かったベティが大怪我をしてしまった。すぐに基地内でカルロによる緊急手術が行われるも、予断を許さない状況だ。

ベティの怪我、手術、そして帰還チームと月面チームに分かれることを、ムッタとフィリップはその日のミッションを終え基地に帰還するビートルの中で聞く。
誰が残るか。怪我を負っているベティと医師のカルロを除いた4人で行われた会議では全員が手を挙げた。

ムッタは改めてそれよりも一段高く手を挙げ、フィリップもムッタに続く。

適任は誰か。エディは被ばく量の関係でもうEVAはできず、天文台建設に関わる技術関係は元々ムッタとフィリップの担当分野だ。残った場合スムーズな帰還は約束されないと言うエディに、ムッタとフィリップは答える。

帰りのビートルの中で覚悟を持って決めていた。「俺ら2人が残るんだ」と。
ムッタとフィリップ。月に残るメンバーは決まった。

その夜、フィリップはちゃんとあいさつしておこうとエディの元を訪れる。エディと月まで来れて最高のミッションだったこと。自分を連れて来てくれたお礼。
そして――ムッタをコマンダーに選んでほしいというお願い。順当にいけば訓練歴の長い自分の方が普通だろう。でも、ムッタがとった数々の行動は自分ではできる気がしない。適任だと思う、と。

そして天文台建設にかけるムッタの想いの強さを知ったフィリップは、今回はムッタのアシストに注力すると決めていた。

Bチームのコマンダーはムッタ。基地を出発するAチームを見送り、Bチームは天文台建設を再開する。無事に帰還船に乗り込んだ報告を受け、帰還船は月面から出発した。

天文台は遂に最終工程に。シャロン天文台の電源を入れる。ところがアンテナ点灯は途中で止まり、一定以上進まなかった。ケーブルの断線か、接触不良か。
今日で終わると思っていたムッタとフィリップは肩を落とし、力なく基地へと帰る。

天文台の不具合をヒューストンで調査している間ムッタとフィリップは、しばし休暇のような時間を過ごしていた。映画を観たり、体力維持をしたり。フィリップは2人になってから時々天を仰ぐようになる。

ベティたちのことを想ったり、太陽フレアの不安があったり、帰還船はいつ来るんだろうかと考えたり。フィリップの心の中は恐らく自分と同じだ、とムッタは思った。

ベティたちの帰還の情報もあがらず不安な中、遂に天文台パラソルアンテナで怪しいと思われる箇所が特定できたとの連絡を受ける。

該当箇所に向かい出発した2人は、ビートルの中でAチームがISSに立ち寄ったこと、ベティの緊急手術を行ったとエディから連絡を受ける。驚きと共に安堵する2人。ジョーカーズの不安が一つなくなり、ムッタとフィリップに笑顔が浮かぶ。

ヒューストンではBチームの帰還準備が着実に進んでいく。なんとロシアの旧型ソユーズが、自分たちの帰還船として日本から打ちあがった。

2人は天文台の完成に向けて仕事をこなしていくが、ケーブルの不良部分に一つ一つ対応していく中でフィリップは自身の思いをムッタに漏らす。基地でのチェックも含め、途方もない作業をしていることに意味があるのかと考えてしまう、と。

ムッタは自分たちの帰還船を打ち上げてくれた技術責任者の一人、福田さんのことを話し始めた。

日本のロケットでソユーズを打ち上げるという試みに対する途方もないプレッシャーを抱えながら安全に関する項目など途方もないチェック項目を何回もシミュレーションしたと思うこと。打ち上げ成功して自分たちが助かるから、結果としてすごく意味があった。

「俺たちもそれでいいんだよ 自分のやってることの“意味”を探す必要はない
やったことの結果が 誰かの“意味あること”になればいいんだ」

そのヤァマンな言葉にフィリップはしびれる。さすがBチームのコマンダーだ。

2人は最後の修復作業を行い――遂にシャロン月内天文台の点灯式が始まった。ジョーカーズAチームの面々やヒューストンが中継で静かに見守る中、すべてのパラソルアンテナが点灯。シャロン月面天文台は完成を迎えた。

ソユーズで帰還するためのVR訓練をしながら、太陽フレアの落ち着きを待つ日々が続く。そんな中、自分たちの食料等を積んだ着陸船ルナランダーが到着する日が来た。クリスマスの雰囲気で、ムッタサンタとフィリップトナカイの格好で到着を待つ2人。

ルナランダーは無事月面へ着陸…したかに見えた。ところが、LGPS(月のGPS)の故障で着陸船は予定と違う場所に着陸してしまう。

基地より80km以上離れた場所に到着したという調査結果を聞かされた2人は、がっくりを肩を落とす。自分たちがビートルで移動した最長距離は64km。それは“往復”での距離だ。

「あぁ~…ダメだ…遠すぎる」陽気なフィリップだが、絶望的な気分が襲い掛かる。

地上ではムッタたち救出のための策が練られていた。ムッタたちは自分ができる訓練を続ける。そこにヒューストンから報せが届く。

一つは、ギブソンによりルナランダーの正確な位置がわかったこと。
二つめは、ロシアの記者会見の動画が送られてきたこと。

ムッタとフィリップを救うためのレスキューミッション。そこに映っていたのは、ヒビトだった。

興奮するムッタにフィリップは「すげぇな!良かったなムッタ!ヒビト超ヤァマンじゃん!」と声をかけた。嬉しそうに画面を見つめるムッタを、フィリップは静かな笑顔で見つめる。

やがてジョーカーズAチームの地球帰還の時が来た。

ISSに立ち寄っていたAチームと「今まではまだ“同じ宇宙にいるチーム”という感じがあった」。しかし、遂にAチームは地球に還る。

「2度目だなこの感じ」

月面の2人、帰還の4人。中継を見守っているムッタとフィリップが飲み切れなかった、それぞれのタピオカ。

流れる沈黙の間に、エディたちから通信が入った。
「お前たちが還って来るまで 俺たちはジョーカーズのままだ!」
エディたちがジョーカーズのマークが入ったグローブを掲げる姿を見て、ムッタとフィリップの表情は明るいものに変わる。

「ヤァマン!」

地球で再会する。ジョーカーズの心が改めて一つになった瞬間だった。

Aチームは無事に帰還。

月面から見守る2人も安堵の表情でいっぱいだ。
2人は大いに喜び、月面で帰還ダンスを歌って踊った。
実は少し“置いてけぼり”を感じるかと思ってた、と吐露するムッタ。
フィリップもまあ、俺もだけど、と返す。

基地を離れるとき、宇宙から帰るとき。そんな置いてけぼり感を二度感じた2人。
Aチームの帰還は「自分の一部がちゃんと地球に還った」。
しかしエディたちからすれば「自分の一部が」「まだ月に残ってる…」。
そんな気持ちだろうと、ムッタは、そしてフィリップも思っていたに違いない。

地上では月面からムッタたちを帰還させるため、問題解決のために動く“タイガーチーム”が結成される。物資のあるルナランダーまでどう安全に往復するか。
タイガーチームに志願したケンジと新田によって、基地とルナランダーのルートが何度も何度もシミュレーションされていた。

悪路が多い中、遂にルートが決定。
VR訓練で示された道を見て、その滑落箇所の多さ、絶壁にフィリップは驚く。
「すげえこと考えるなレイジたち ヤァマンだわ」

遂にルナランダーへ出発。

途中ハビタットという中継地点でキャンプしながら彼らの示してくれた道を進む。中継地点ハビタットに無事到着したムッタとフィリップは思わぬ“先客”に驚く。

帽子とかつら、ジャケットを身につけた人のような後ろ姿――旧型のジョック。紫が2年前に仕掛けたイタズラだった。

「ムラサキとは“久しぶり”なんだけど もうそういうのどうでもいいな このヤロウ…」管制室で爆笑している紫を見て冷めた顔で呟くフィリップ。翌日もムラサキにドッキリとかすんなよ、とぼやくフィリップであった。

そして――ケンジと新田が提案したルートと、紫ジョックの大活躍によってムッタとフィリップは無事ルナランダーに到着。

その中にあったのは、たくさんの物資と、多くのメッセージが書かれた垂れ幕だった。

「くう~っ なんだよこれ…っ 読むのに1時間くらいかかりそう…!
泣かせにきやがって ドッキリ好きな奴らだな」

陽気なフィリップも思わず涙ぐむような、NASAからのサプライズだった。物資を積み替え無事に基地に戻った2人は、一時間かけて垂れ幕をゆっくり読んだ。月面にいる2人にとって手書きのメッセージは大きな力になったことだろう。

帰還に向けての訓練が続く中、シャロン月面天文台のセレモニーが行われる。シャロン月面天文台の性能チェックとなる最初の天体を映し出すファーストライト。沸き立つ会場の様子を見たフィリップは、ムッタにこう話す。

「これだな…これだよなムッタ 『俺らのやったことが 誰かの意味あることになる』――ってのは」

実現させたことが必ず未来に繋がっていく。
多くの人の思いや、シャロンの言葉。
ムッタの夢をアシストしたフィリップ。
誰かの意味のあることになったその事実を、熱量を、誇らしい思いで感じていたに違いない。

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