- 初登場
- 宇宙兄弟#0
words言葉
「海老夫に聞いたべ。俺のマイカーも見てくれんかの」
「フロントの駆動をインホイールモーターでハイブリッド化すりゃ下のトルクも補えるっち思うけんど」
「いや、それが面倒だからハンドルだけプッってとって『はい』つってさあ」
profileプロフィール
海老じいの友人。海老じいには「蟹ちゃん」と呼ばれ、海老じいのことは「海老夫」と呼ぶ仲。
太いつり眉、目じりにシワ、耳たぶ大きめ。
ハンチング帽をかぶり、ライダースジャケット、折り目のついたスラックス、とがった革靴を履いているなどオシャレにはこだわりがある様子。
海老じいの愛車・エビザベス号を修理してからしばらく。自分の車も直して欲しいと海老じいとともにミラクルカー梅茶菓支店を訪れる。
蟹じいの愛車も海老じいと同じ“トラクター”だと思っていたムッタと宗片はトラクター説明書を手にし意気揚々と向かった。
ところが、蟹じいが直して欲しいと言った車はレトロなオープンスポーツカー。名を“W65GG-R(ダブリュ・ロクゴォ・ジージーアール)”。ナンバーは「梅茶菓300 も04-14」。色々とお金をかけ、今は600馬力である。
フロントの駆動は。モーターだけにすれば。などなど “W65GG-R”を前に意見を交わし合う蟹じいと海老じい。専門用語が繰り出し、車の構造をしっかり理解していると思われる二人のやりとりに「お二人だけで直せそう」と呟くムッタ。しかし「それは無理」「口だけだっぺおらたち」と返ってくる。
蟹じいと海老じい二人のやりとりは更に続くが、その会話の中でムッタはふと気が付く。一度は間寺役員に否定されたアイデアを、グッドイカスカー賞のコンペにぶつけられるのではないだろうか。
そのアイデアとは、ハンドルの付け替えを簡単に行えるようにすること。助手席に持っていったり真ん中に付けることも可能であること。形すらも丸である必要がないということ。
ボタン一つで車の構造を変更できる電子制御で、今まで運転を楽しめなかった人――足の不自由な人も手の操作だけで運転ができるようになることをプレゼンする。
コンペ会場には海老じいと共に駆け付け、会場で見守る蟹じい。
ムッタのプレゼン中にある「世の中には車好きで純粋に車好きで運転を楽しみたいという人も大勢居ます」という言葉に、二人は大きく頷いた。
チーム梅茶菓のコンペ案に、会場は大いに盛り上がる。
電子制御カー・#6(ナンバー・シックス)受賞が発表されると、蟹じいと海老じいは立ち上がって喜び、盛大な拍手を送った。
このコンペを機にミラクルカー本社に戻ることが決まったムッタ。
ムッタが支店を去る日、蟹じいは直してもらったオープンカーで駆け付けムッタを送った。もちろん海老じいも一緒だ。
蟹じいは今日も運転する喜びを感じながら、梅茶菓の街をオープンカーで走っていることだろう。
※プロフィール画像は#0製作時に小山さんにより描かれた下絵のもの。