"北村絵名の妹。初登場時19歳。
ショートカットで、目元が絵名によく似ている。３人の兄たち――特に次兄のキクオからは「女っぽくない」と言われている。
やかましい兄たちに囲まれ育ったこと、「ケイ」という名前が男女どちらかわかりにくいことで「女っぽくない自分」になったことを少し気にしている様子。

宇宙飛行士候補生となった姉の絵名が渡米前に実家で過ごした際、絵名のためにハンバーグを作り振舞う。大好きな姉から「美味しい、お店の味みたい！」と言われとても喜ぶ。

姉を駅まで送りながら、自分の将来はどうやって決めたのかを思い切って相談したケイ。

「何になりたいかとかよくわからない」というケイに、絵名は「『できるようになりたいこと』……ならどうよ」と真摯に言葉をかける。
例えばピアノが弾けるようになりたい、英会話をマスターしたい。時間も忘れて続けられるようなものが１コでも見つかればいい。

１コでもいい。

その言葉に、迷いが晴れたようなケイ。駅での別れ際、彼女は少し照れながら笑顔で絵名にこう伝える。
「私……お姉ちゃんよりおいしい料理作れるようになりたいんだ」
妹の真っすぐな言葉に、絵名は言う。
「ケイちゃん　さっきのハンバーグ　アレさ……お金とれるよ」
ニンマリするケイ。“１コでもいい”“できるようになりたいこと”が掴めた瞬間だったこ
とだろう。
（※宇宙兄弟メシ第8回参照）

幼い頃のことである。
カモンライダーαのショーを見ようと姉や兄と訪れた炎天下の公演。
人だかりで前が見えないからと、自分を背負ってくれた姉。炎天下、ショーが終わるまでの約40分間5歳前の自分を背負い前の人の背中を見続けるしかなかった姉。
その日、自分のヒーローは絵名だとケイは思った。

そのとき姉の頭にきらりと光っていた太陽系の惑星ヘアピンは姉のお気に入り。
手作り雑貨の店で買ったため同じものがもう手に入らないため、ケイは似たビーズでその時のピンに似せてヘアピンを作り宇宙へ行く姉にプレゼントした。

ケイの想いがつまったヘアピンは、ISS滞在中の絵名が無重力でふわっとする髪をまとめるのに大活躍した。ちなみにこのヘアピンは27巻特別限定セットで発売され、その後も再版された大人気商品である。

自分にとってのヒーローである姉が宇宙へ旅立つその瞬間を真っすぐに見つめたケイ。光り輝くロケットは、あの日姉の頭で光ったヘアピンのようだった――。

時は少し経ち。
“できるようになりたいことが１コでも見つかるといいよね”。その言葉をもらったケイは自分の道へ進んでいた。現在料理人を目指し、とある町にある洋食レストラン『ふぇるま～た』にて絶賛修行中だ。

姉に「お金をとれる」と褒めてもらったハンバーグ。マスターにしごかれ一層のレベルアップをしており、今やアルバイトながら任されるようになった。
現在“虹ハンバーグ”としてメニューに並び、店の名物“茜色のトンカツスパゲッティ”を超える勢いで注文されている。

ちなみに“虹ハンバーグ”は左から星型ニンジン、野菜上から複数枚並べたトマト、カボチャ、アボカド、ブロッコリー、そしてメインのハンバーグの、まさに虹のような美しい彩だ。野菜の内容を考えたのはアシスタントをしている　あさころさんの考案。
“虹ハンバーグ”をはじめ『ふぇるま～た』のメニューは41巻新巻祭でも盛り上がっており、いつか宇宙兄弟コラボレーションで食べられるかも！？と期待大である。

姉の絵名からもらった言葉を思い出しながら厨房に立つケイ。セリフこそ少ないものの、厨房に立つ姿や『ふぇるま～た』のマスターやスタッフの言葉、美味しそうに食べる客の姿などから彼女の成長を感じられる。

ケイには内緒で店を訪れた姉の絵名は、“虹ハンバーグ”を美味しそうに食べている客の姿にニヤリ。目の前に運ばれてきたハンバーグの美しさと美味しさに大感動。
手書きの感想と「WE ARE SPACE BROTHERS」のステッカーをスタッフに預け店を出た。

スタッフを介して受け取った感想を読み、姉が来ていたことを喜ぶケイ。
彼女が作る美味しいハンバーグは、今日も『ふぇるま～た』を訪れる人を幸せにしていることだろう。"