- 所属
- ロスコスモス LPK-29
”マクシム4”JAXA宇宙飛行士
- 好きなモノ・得意なこと
- 宇宙関連全般・野球・自転車・ギター
- 宇宙関連全般・野球・自転車・ギター
- 嫌いなモノ・苦手なこと
- 細かい作業・面倒なこと
- 細かい作業・面倒なこと
- 誕生日
- 1996/9/17
- 「栄光の日」生まれ(ムッタ談)
野茂英雄投手がノーヒットノーランを達成した日 - 「栄光の日」生まれ(ムッタ談)
野茂英雄投手がノーヒットノーランを達成した日
- 出身地
- 日本・東京都出身、実家はたけのこニュータウン。NASAを去り現在ロシア・モスクワ在住。
- 日本・東京都出身、実家はたけのこニュータウン。NASAを去り現在ロシア・モスクワ在住。
- 身長
- 182cm
- 家族構成
- 父 長介、母 真弓、兄 六太、アポ
- 父 長介、母 真弓、兄 六太、アポ
- 略歴
- 大学卒業後JAXA宇宙飛行士選抜試験を受け合格。
ブライアン・Jのバックアップクルーとして訓練を重ね、CES-51として月面に降り立った。日本人最年少宇宙飛行士であり、史上最年少ムーンウォーカーの記録も打ち立てた。
月面でのクレーター落下事故から奇跡的な生還を果たすもパニック障害を発症。リハビリ訓練の末現役復帰試験をパスしたもののNASAでの宇宙飛行士現役復帰を見込めずロシアに渡る。ロシアでの訓練に参加し、月ミッション“トルストイ4”のバックアップメンバーに選ばれアストロノートからコスモノートになる。
太陽フレアの影響によりアクシデントが起き帰還が困難となったNASA月面ミッションクルー“ジョーカーズ”のムッタとフィリップを帰還させるため、NASA・JAXAとの協力体制ミッションFMTEに任命される。“マクシム4”のクルーとしレスキューに特化した訓練を行い、遂に自身2度目の打ち上げへ。
懐かしい月で宇宙飛行士 南波日々人は復活を遂げた。ムッタらと合流し、帰還の準備を進めつつ水資源調査タスクほか各ミッションを遂行。
ミッションをすべて終えたクルーたちは遂に月面を離れるが…。 - 大学卒業後JAXA宇宙飛行士選抜試験を受け合格。
ブライアン・Jのバックアップクルーとして訓練を重ね、CES-51として月面に降り立った。日本人最年少宇宙飛行士であり、史上最年少ムーンウォーカーの記録も打ち立てた。
月面でのクレーター落下事故から奇跡的な生還を果たすもパニック障害を発症。リハビリ訓練の末現役復帰試験をパスしたもののNASAでの宇宙飛行士現役復帰を見込めずロシアに渡る。ロシアでの訓練に参加し、月ミッション“トルストイ4”のバックアップメンバーに選ばれアストロノートからコスモノートになる。
太陽フレアの影響によりアクシデントが起き帰還が困難となったNASA月面ミッションクルー“ジョーカーズ”のムッタとフィリップを帰還させるため、NASA・JAXAとの協力体制ミッションFMTEに任命される。“マクシム4”のクルーとしレスキューに特化した訓練を行い、遂に自身2度目の打ち上げへ。
懐かしい月で宇宙飛行士 南波日々人は復活を遂げた。ムッタらと合流し、帰還の準備を進めつつ水資源調査タスクほか各ミッションを遂行。
ミッションをすべて終えたクルーたちは遂に月面を離れるが…。
- 初登場
- #1~
words言葉
「ムッちゃん 俺今なんとなく 将来は宇宙飛行士になってさ。月に行くような気がしたよ」
「もし諦め切れるんならそんなもん夢じゃねえ」
「だって…天国も地獄もどっちも生きてる時に見るもんだ」
「ブライアン…やっぱり来てくれるんだな あんたは」
「俺らは生きて一緒に月面に立とうぜ」
「楽しいだろ?宇宙って(ムッタの月への打ち上げ時メールにて)」
「だけど心配はいらねーよムッちゃん 俺の未来はどうにでもなる それじゃまたムッちゃん 月面で会おう(ムッタへメール)」
「俺がラインの上を真っすぐ歩けたのは 飛行訓練のおかげじゃない。PDの時と比べれば 大したことないなって気付いたからだ」
「諦められないことのために 諦めることもあるんだよ」
(握りしめたんだよな オリガ…… “絶対”を)
(一生消えないなら 受け入れるしかない 内ポケットの不発弾も月まで連れて行く)
「宇宙飛行士としてダメになってた僕を 兄はフワッと救ってくれました 今度は僕が――兄を救いに行く番です」
「いいぞ上がれガンガン上がれ!宇宙へ行く 俺はまた宇宙へ行く このまま行け!!」
「奇跡的な“偶然”といえばそうだろうし“必然”だって考えればそれもそうなんでだからどっちでもいいですね会えるなら」
「60年後の――宇宙飛行士へ」
「そういえばさムッちゃん 二人でこうやって同じ任務(ミッション)してるって “初”だね なんか不思議な感じする…」
「あ……僕の名前の”日々人”は多分そんな意味です “日々を生きる人”的な…」
「シャロ~ン 見てる?俺も”シャロン天文台”のメンテをやったよ~ イエ~イ」
「一緒に写真撮ろう」
「みんな――!消火器は出したよ 俺はすぐいける!」
「じっとしてんのは怖いんだよ “行く”ことより」
「でもこれで 外に出る“勇気”出たよな」
profileプロフィール
南波兄弟の弟。
JAXA史上最年少で宇宙飛行士となり、日本人初のムーンウォーカーという記録を持つ。
<真っすぐに宇宙飛行士を目指して歩んだ少年時代>
小学生の時に兄弟で見たUFOらしき光。その光を見たヒビトは「自分は将来なんとなく宇宙に行く気がし」、宇宙飛行士となることを決意する。
自分の中に『絶対』を持ち続け、ヒビトは宇宙に向かって真っすぐに歩んできた。
兄弟で宇宙に行くと約束をしたその日から兄ムッタも宇宙飛行士になるのだと信じて疑わず、迷い立ち止まっていた兄を様々な形で引っ張っていく。
好きなスポーツは野球。高校時代のポジションはピッチャー。
渡米後は体力づくりを兼ね自転車で自宅からNASAへ通うなど、訓練以外でも常に体を動かしている。ロシアでももちろん自転車を愛用。
子どもの頃からシャロンとムッタと共に音楽を楽しんできた。得意な楽器はギター。
CES-51打ち上げ前のバーベキューパーティーでもその腕前を披露している。
<ブライアンとの出会い、宇宙飛行士としての成長>
明るく天真爛漫で天才に見られがちだが、その実誰よりも努力し苦労を周囲に見せない。ただし基本的にはおおざっぱな性格で、細かい部分を面倒くさがる癖がある。マニュアルもあまり読まず体で覚える実践派。
NASAではサムライ・ボーイと呼ばれており、多くの先輩宇宙飛行士・同僚から親しまれていた。
誰もが憧れるJ兄弟の弟であるブライアン・Jとは特に親しく、ヒビトの積極的な姿勢を買ったブライアンは新人のヒビトを自身のバックアップクルーとして大抜擢。
原作連載開始時ヒビトは宇宙飛行士としてまもなく月へ向かう直前であり、ヒビトはムッタが追いかける対象であったが、アニメ映画『宇宙兄弟#0』ではまだ宇宙飛行士として未熟なヒビトの新人時代、NASAの同僚たちとの時間、ブライアン・Jとの日々、南波家の何気ない日々の物語を観ることができる。原作第一話に続く物語なので未見の方はぜひご覧いただきたい。
ちなみに『宇宙兄弟#0』ではアポとの出会いも描かれている。
元々ブライアンの家で飼っていたパグのジェミニ。ソノジェミニがブライアン逝去後まもなく産んだうちの一匹がアポである。左前脚にハートマークがある仔をヒビトが譲り受けた。
名前の由来はアポロ宇宙船から。アポロの「ロ」を省略し「アポ」と命名された。
<初めての宇宙と月面での大事故>
訓練を続けたヒビトは遂に月へ。
既に宇宙経験のあるバディですら月への旅の途中若干酔っている中、まったく宇宙酔いをすることなく宇宙を楽しんだ。それもそのはず、ヒビトもまたムッタと同じくT-38飛行訓練でデニール・ヤングに師事。初フライトで何度も吐くも、もう一度乗せろと嬉しそうに言った、という話がデニールの口から語られている。その訓練の成果か否か、ヒビトは最初から最後まで宇宙酔いすることなく月へ到着した。
順調な日々を過ごしていたヒビトだが、月面でのミッションのさなか、ダミアンとともにリッテンディンガー峡谷の谷底へと落ちる大事故に遭う。
ダミアンの宇宙服体温調節機能の故障、ヒビト自身の宇宙服の酸素ボンベの破裂など大変な命の危機にさらされる。
本来事故の場所で待機するのが鉄則だが、通信ができず宇宙服が故障したため移動し脱出を急ぐしか道はない。
持ち前の前向きさと困難に向き合う強い心を持ち決して諦めないヒビトはダミアンと共に無事峡谷から脱出。しかしヒビトの酸素は既に尽きかけていた。自身の死を悟ったヒビトは、再び谷底に落ち満点の空を見ながら死のうとしていた。
そこでキラリと光るものが目に入った。死ぬ前にその光の正体を確認しようと向かったヒビトが目にしたもの――それは、先輩宇宙飛行士ブライアン・Jが月面に置いたブライアン人形だった。
一方ヒビトの状況を知りJAXAに向かったムッタは、ヒビトはじっとしておらず移動すると考え、脱出ポイントを予測。
先輩宇宙飛行士である吾妻はムッタの提案を受け酸素生成ローバー「BRAIAN」を向かわせる。
死のうとしたヒビトを呼び止めたブライアン人形、ブライアンの名を冠する酸素生成ローバー、その酸素生成ローバーを向かわせてくれた吾妻とムッタ。
自分の命を助けてくれた3人に、ヒビトは心から感謝するのだった。
そしてヒビトとムッタは「いつか兄弟で月面に立とう」と固く約束する。
<パニック障害と向き合う日々>
ヒビトを主人公として制作されたTVアニメ「Mr.ヒビット」。
明るく天真爛漫、勇気と元気を持つニンジン大好きな主人公の宇宙ウサギのMr.ヒビットと、CES-51クルーがモデルの動物たちが繰り広げられる物語。
『宇宙兄弟』TVアニメではこの『Mr.ヒビット』のショートアニメが制作され、他にも動物になったキャラクターたちが登場する。
世界中で大人気となったヒビトだが、事故の後遺症でパニック障害を発症。宇宙服を着ると呼吸困難になったり、心臓がドクドクしたり、冷や汗などの症状が出るようになってしまう。
大きな困難に立ち向かい、いつも前向きに走り続けていたヒビトから笑顔が消えた。彼が初めて見せる苦しみは読者にとっても大変つらいものだった。
宇宙飛行士であることを諦めない。
ヒビトはバトラー室長に必ず復帰すると宣言。パニック障害を克服するため吾妻の紹介で単独ロシアに渡り、ロシアの英雄イヴァン・トルストイのもとで訓練を始めた。
イヴァンの父もまたパニック障害で苦しんだ宇宙飛行士だった。
宇宙服を着て歩くという当たり前の感覚を取り戻すためヒビトの極秘訓練が始まる。
イヴァンの娘オリガとの出会いもまたヒビトに良い影響を与えた。小さい頃からバレエに邁進したものの、途中で一度辞めてしまったオリガ。
走り続けた日々、一度やめたこと、再び踊り始めた彼女は、今や舞台で主役として踊る。そんな彼女の成長記録がヒビトの心を奮い立たせた。
だが現実は無常だった。NASAに呼び戻されたヒビトは二度と宇宙飛行士としてアサインされる可能性がない役職を与えられる――実質の飼い殺しであった。
アメリカに帰ったヒビトの元に、イヴァンから荷物が届く。
中にはリハビリに使っていた防具や衣装が詰まっていた。ヒビトはローリー、オリビアの協力を経て再び極秘のリハビリを開始、宇宙飛行士復帰への道を探る。
だが再び発作が起こった。吾妻の言葉と天国のブライアンの言葉に促され、ヒビトは遂に兄ムッタにパニック障害を告白。
――宇宙服は俺らの味方だ。
小学校時代の兄弟の思い出や兄の言葉が、不安でいっぱいだったヒビトの心をほぐしていった。
<復活と挑戦>
ヒビトは再び宇宙飛行士復帰試験に臨み、遂に突破。
宇宙飛行士としてもう一度歩みだせる――誰もがそう確信したが、NASAは残酷にも今後ヒビトをアサインしないと決めた。
その知らせを受けたヒビトは誰にも何も知らせずある日姿を消した。
その間アメリカをフラフラとし死んだように生きるも、ヒビトは宇宙への道を探り、もがき、再び歩き始めた。
姿を消してしばらく。ヒビトはムッタに一通のメールを送る。
「月面で会おう。」
アストロノートからコスモノートに変わる決意をした“決して諦めない”ヒビトらしいメールだった。
NASAを去りロシアの宇宙飛行士として一からのスタートを始めたヒビト。
ロシアの英雄であるイヴァン一家との接触を禁じられ、アメリカとはあまりにも違う人との温度や環境に戸惑いつつも「キノコと名乗ったからにはカゴに入れ。」というイヴァンからのメッセージを受け、一歩ずつ一歩ずつロシアの宇宙飛行士としての歩みを進める。
よく考えたら一人で宇宙に行くわけじゃない。
そう気づいたヒビトは積極的にマクシムたちと交流を深めていく。酒を酌み交わし、会話をし、会うたびに少しずつ心の距離を縮め人としての温度を上げていった。
諦めきれないことの為に諦めることもあった。
その悔しさを抱きながらも、ヒビトは自分の中にある“絶対”を何度も握りしめる。
そして遂にヒビトは遂にアストロノートからコスモノートへ。そこにはパニック障害などなにも関係ない評価があった。
ロシアの(ちょっとだけ色味の違う)ブルースーツを纏い、“トルストイ4”のバックアップクルーとして月面ミッション特別訓練のステージへと進む。
<兄ムッタを救出するべく月へ>
ヒビトがロシアで訓練している間、ムッタたちジョーカーズには次々と重大な問題が起こっていた。
太陽フレアの深刻な影響、ベティの大怪我、それによるクルー四名の緊急帰還。前ミッションのオリオン帰還船の故障により、天文台建設組の二名の帰還船がなくなってしまったこと。
天文台建設組の二人を無事に帰還させるにはどうしたらよいか――。
NASAはロスコスモスそしてJAXAと協力し二人を帰還させるためのミッションを立ち上げた。
それはロシアの帰還船を譲り受け、日本のロケットで日本から打ち上げ、アメリカのミッションコントロールによって月に残っている二人の宇宙飛行士を地球に帰還させるというもの。
国を超えたこの協力体制は、史上初の試みである。
ロシア上層部は本来先に月へ行くはずだった“トルストイ4”のメンバーを総入れ替えすることを決定。
そのミッションには若き宇宙飛行士であるマクシム、フランツ、そしてヒビトが選ばれた。この若きメンバーに加えベテランの吾妻がクルーとして加わり、チームの名は“マクシム4”と名付けられた。
NASAでの宇宙飛行士復帰試験直前の雨の夜以来パニック障害の発作は起きていないが、不発弾が埋まっているような感じは未だに持っていた。
自身が抱えている一生消えないかもしれない不発弾。だが、それをクルーの皆は受け入れてくれている。
皆が受け入れてくれるように、自分も受け入れよう。
内ポケットの不発弾も月まで連れて行く。ヒビトは月を見上げ、そう決意する――。
ムッちゃんが待ってんだ…
行くんだ 俺も
月に行くんだ
“マクシム4”の記者会見でヒビトが見せる姿は、かつてNASAで行った第一話の時のように堂々たるものだった。
今 月にいる兄への気持ち、思いはという問いにヒビトは答える。
「宇宙飛行士としてダメになってた僕を 兄はフワッと救ってくれました 今度は僕が――兄を救いに行く番です」
この会見を月面から見ていたムッタは、ロシアの宇宙飛行士となったヒビトの姿を、ごく当然のようにそこにいるヒビトを、どれほど嬉しく思い、どれほど誇らしく思ったであろうか。
そしてヒビトは二度目の宇宙へ。
小学生の夏休み、自転車で京都へ向かう途中でライトが切れてしまい、真っ暗な道を後ろから照らしてくれた兄。
「もしもあなたが止まってしまったらその時はきっと後ろからムッタがあなたの背中を押してくれる」というシャロンの言葉。
エンジンが点火した。その衝撃を背中で受けながら、ヒビトはぐんぐんと打ちあがる――。
いいぞ上がれガンガン上がれ!
宇宙へ行く 俺はまた宇宙へ行く
このまま行け!!
ロケットは一気に宇宙空間へ。
「ははっ はああ~ 来ちゃったあ!」
宇宙に上がった実感を得て、ヒビトは目を輝かせて笑う。
<トラブルを乗り越え、遂に兄弟で一緒に月に立つ>
月面着陸まであと11分というところで地上との通信断絶が起こる。
「手動操作に切り替えて予定通りしちゃおう」
昼メシのレストランを選ぶノリでヒビトが提案。
ここを逃すと周回がずれて明日に持ち越しとなる。“マクシム4”は手動着陸することを決め、実行した。
以前、宇宙飛行士が兄弟で同時に月面に立つことの奇跡、その意気込みについてインタビューされた時のことである。
“奇跡”という言葉に、ヒビトはムッタを思い出した。
地球ができて生命が誕生する“奇跡的な”確率。
それは、プールの中に腕時計のパーツを投げ込んで水の流れだけで時計が組み上がるくらいの確率だ。
少年時代、その奇跡に感動するムッタの隣で絵を描いていたヒビトは、あっさりと言う。
「星の数ほど無限に時計のパーツがあったら何個かできるんじゃない?時計くらい」
地球ができて生命が誕生したことが“奇跡”ならば、それ以降に起こったことも全部“奇跡”。ムッタと兄弟になったことも、宇宙を好きになったことも全部奇跡だ。
だから、会えることも奇跡。
会えるのなら、それが偶然でも必然でもどっちでもいい。
そんなことを思い出したヒビト。
予定より離れた場所に降り立ったヒビトたちは、基地に向かう途中ムッタたちを発見する。そして兄弟は、遂に月面で再会を果たしたのだった。
「来ちゃったねえ…」
兄弟はしばしの間、一緒に地球を見つめた。
月面でクルーが全員集合。地上では大きな拍手が巻き起こる。
管制室のスタッフはもちろんのこと、兄弟を幼い頃から知りずっと見守ってきたシャロンや星加は目頭を熱くしてその瞬間を喜んだ。
ビンスに今の心境を聞かれたムッタは、こう答える。
「宇宙に来てからずっと…地球を眺めるたびに――
関わってきたたくさんの人たちに“仲間”以上の何かを感じてたんですけど
日々人と再会して…
そして『マクシム4』に出会えてその気持ちが何かわかりました――
We are “Space brothers”(僕たちは“宇宙兄弟”です)」
ヒビトも嬉しそうに頷く。
俺も…同じこと感じてたよ。
月へ来て嬉しかったことがいっぱいだ。
このメンバーでこれたこと。むっちゃんたちに合えたこと。
何気に“月面で宇宙服でいるときに”兄貴に会えたこと。
「“宇宙服は味方”だって感じながら基地の方へ向かってた 気持ちよかったなあ~」
ヒビトは宇宙飛行士史上最も楽しそうにその日の船外活動を終えた。
ムッタもバトラーも、感慨深く誇らしくヒビトの姿を見つめる。
ロシアンライトニングゴールドの宇宙服を着て、月で飛び跳ねるヒビト。
宇宙飛行士 南波日々人の復活だ――。
1969年7月20日。60年前のこの日、人類が初めて月面に立った。
2029年7月20日、ムッタが考案した“We are space brothers”の新しいシンボルマークがお披露目された。
ケーキのピース一つ一つが世界各国や一人一人を表し、中央の白い放射線は星が輝くことを意味し、今光り輝ことをイメージしたシンボルマークだ。
バズとニールが月面に立ったその日に、ヒビトはアズマと船外活動を行う。
月にいながら月を想う、静かで特別な日。
ムッタからこっそり置いてくるようのワッペンを受け取ったヒビトは吾妻と一緒に月面基地の屋根にワッペンを投げた。
「60年後の――宇宙飛行士へ」
“We are Space brothers”。
その言葉が、60年後も続いていることを願って――。
<兄弟一緒のミッションと大発見>
クルーが揃い、帰還準備と同時に新たなミッションが加わった。
それは月の水資源調査だ。
ムッタがコマンダーとなり、ヒビト、マクシム、フランツの四人はカルロム洞窟へ向かう。
発作のことをすっかり忘れているであろうヒビトは、テンション高く洞窟を進んでいく。
まるで小学生の頃の兄弟がそのままいるかのようにムッタとヒビトは「どちらが先にキラキラを見つけられるか」競争を始めた。
早速見つけたヒビトの「キラッと」の範囲を採掘調査し始める三人。
ヒビトは管制の指示により、さらなるキラキラを見つけるため奥へ奥へと進む。そこは全体が光るキラキラゾーンだった。
だが突然懐中電灯が切れ通信が繋がらなくなった。
奥へ来すぎた…ヒビトは引き返そうとするが似た風景が広がる洞窟内で方向がわからなくなってしまう。
目印にライトを置き、ある程度進んでも通信が戻らなかったら引き返す作戦を実行。どんどんと歩みを進めていくが…。
暗闇と通信断絶の静けさがヒビトを包む。胸の奥の不発弾が動き出しそうになり、鼓動が早まる。
そのとき背中を照らす明かりが――。
通信途切れたら戻って来るだろ、めちゃくちゃ走ったと怒るムッタに「ごめん」「サンキュサンキュ」と返すヒビト。
今まで何度も繰り返してきただろう兄弟のやり取りが、ヒビトを落ち着かせる。
兄ムッタは、この日もヒビトの背中を照らしてくれたのだった。
「そういえばさ ムッちゃん 二人でこうやって同じ任務(ミッション)してるって “初”だね なんか不思議な感じする…」
ヒビトが見つけたさらなる「キラキラ」の部分を採掘するクルーたち。
2029.7.23カルロム洞窟。自分たちがここに来た印を残し、ムッタ、ヒビト、マクシム、フランツの四人は洞窟を後にする。
採掘したサンプルの岩石に水資源があるのか否か、期待が高まるなか月面基地で測定が開始。なんとヒビトが見つけたポイントの岩石から少量の水が発見される。
この大発見に世界が沸いた。
今回発掘したサンプルの中に含まれる水の量はおよそコップ半分と推測される。その日の夕食は水で乾杯だ。
水の貴重さを改めて実感したクルーたちはちょっとずつ大切に飲む中、ヒビトだけは遠慮なく水をゴクゴクと飲む。そして机にこぼす。
それを見たムッタとマクシムは怒られるヒビト。
「どっちかっつうと…発見した分増えてんだけどな水…」と呟く。
「そういう問題じゃねーんだよ」とムッタに突っ込まれる姿が、とても兄弟らしくて面白い。
<月との別れ、兄弟の思い出>
とある配信の中で、南波兄弟は自身の名前の由来について語っている。
月に来られるまでの期間を考えると、二度目の月は短期滞在であっという間だ。
その分濃密で楽しい日々を過ごしている。
自分の名前の“日々人”は多分そんな意味。 “日々を生きる人”的な。
この話を聞いたムッタは「そんないい感じの意味だったの?」と驚き、自分なんて当時雑誌に載ってた父ちゃんのラッキーナンバーの“6”からきてる、と語る。
そんな兄弟のやりとりを、南波父と母は嬉しそうに見守っていた。
そして遂に月面船外活動ミッション最後の日。しばらく無人になる月面基地には次に来るクルーのためにしておく作業がたくさんある。
タンク圧をあげるミッションでは、ベティの事故のこともよぎってか慎重に進めるムッタ。しかし終わらせたくなくて時間をかけてる…周囲からはそんな風にも見えた。
ヒビトはどんどん進めようと提案。無意識に「終わらせたくない」と思っていたことに気付いたムッタは、ヒビトの笑顔を見て気持ちがスッキリしたのかどんどん進めていく。
続いて南波兄弟はシャロン天文台の無人化とメンテナンスへ向かう。
パラソルアンテナの光に興奮するヒビト。
中心部からの景色は圧巻で、これだけのものをやりとげたムッタの日々を思い出し熱くなる。相当達成感あるよな、いいなあ自分も関わりたかったなあと思いを馳せる。
そんなヒビトの様子を察してか、ムッタはパーツ交換をヒビトに任せた。
シャロンのことを思いながらパーツ交換を済ませたヒビト。ふと顔を上げると、自分が撮影されていたことを知る。
少し考えたヒビトは、カメラに向かってメッセージを送った。
「シャロ~ン 見てる?俺も”シャロン天文台”のメンテをやったよ~ イエ~イ」
その弟の嬉しそうな顔を見て、兄ムッタは微笑む。
基地への帰り道。ヒビトはローバーを停め、「一緒に写真撮ろう」と三脚を取り出した。
あの京都での夏の日のように、兄弟の月の思い出を記録した。
<地球への帰還と困難>
そして帰還の日。
月面の風景を目に焼き付け、ブギーとの別れを済ませ、ヒビトたちを乗せたメドヴェージが打ち上がった。
帰還船オリョールとのドッキングも成功。しかしオリョールに乗り移るためハッチを開けた吾妻に火の手が襲い掛かる。オリョールはドッキング前に火災が発生していたのだ。
通信障害が発生し地上との連絡が取れない中、クルーたちは即座にハッチを閉める判断をする。指を挟んだ吾妻に替わり、ムッタとフィリップがハッチを閉じる。
すぐ火を消す必要があるが、地上側で空気を抜き消火を行うかもしれない。
通信ができない中、どう動けばよいか…。
「消火器は出したよ 俺はすぐ行ける!」
ほかのクルーが考えているその一瞬に、ヒビトはもう消火器を手にしていた。
危険だとわかっていながらも「じっとしている方が怖い」というヒビトの意志を尊重し、ムッタたちはヒビトとマクシムをオリョール側へと送り出す。
そして無事鎮火。
「ボヤだったよ」
かつてのブライアン・Jのように。みんなのヒーロー、Mr.ヒビットのように。
ヒビトの真っすぐな勇気と判断力が皆の命を救った。
だが、火災が起きたオリョールは無事とはいかなかった。
換気システムで排気している間、何度も姿勢が傾く。やがて酸素漏れの警告が鳴り響く。排気の際に閉じなかったタンクが煙と共に空気を出し続け、タンク一本分の空気がなくなってしまったのだ。
結果地球帰還に必要な六人分の酸素がなくなり、余裕を持てるのは四人分となった。
NASA、JAXA、ロスコスモスで対策を話し合った結果、四人が帰還船に残り、二人が旧型ソユーズに乗り移って帰還する――。太陽フレアも迫る中、大きな決断がされた。
誰が残り、誰が乗り移るか。
吾妻は怪我を、フランツは医師として吾妻とともに。マクシムはキャプテンとして残る必要がある。そしてフィリップは宇宙服の冷却システムが故障し、船外活動を行えない。
旧型のソユーズは日本に引き渡され、管制はJAXAが対応することとなっている。
「JAXAの管制なら 俺とムッちゃんでちょうどいいじゃん」
ヒビトはニヤリと笑ってそう言った。
そして、睡眠をとったのち、限られた短い時間でソユーズへ飛び移る船内訓練が始まった。徐々に感覚を掴んできたヒビト。問題は宇宙服を着ても同じ動きができるのか、だ。
いよいよソユーズが近づいてきた。
宇宙服を着、準備を始めるヒビトに吾妻が話しかける。本来なら自分が行くべきであるのに、怪我をしてしまったせいで…申し訳なさそうな吾妻にヒビトは宇宙遊泳の夢が叶うと笑い、手が治ったらキャッチボールしようと約束。
クルーたちはそれぞれに、しばしの別れの挨拶と再会の約束をする。
ムッタとヒビトは推進剤の入ったジェットアームをお守り代わりに二人でわけた。
メドヴェージのハッチを開く前に、二人は “無重力版勇気のポーズ”をとる。
小学校のあの夏の日、どこんじょ豆腐を買うために二人でとった“勇気のポーズ”。
そのおかしさに二人は笑い合い、“外に出る勇気”をもって兄弟は遂に宇宙空間へ―