【宇宙兄弟×ユーザブルIoT コラム #003】19巻に出てくるUFOのライトをベースに作成した新製品「UFO SC APOシリーズ1」の舞台裏
もし、宇宙開発でもIoTが発展したらどういったことができるようになるのか? そんな想像を働かせて、”もしかしたら”の未来を描くたなPのコラム3回目は特別企画!
… ついにIoT技術で「UFO」を製作することが決定!? その真相は……?
こんにちは、たなPです。
今日4月1日はエイプリルフールですね。
本日、弊社エスキュービズム・テクノロジーのサイトに宇宙兄弟とのコラボで実物大UFOを作り、販売開始するというプレスをアップしました。
プレスリリースは「【宇宙兄弟コラボ】実物大UFO SC APOシリーズ1販売開始のお知らせ」こちら。
今回はいつものような妄想ではないのですが、その新製品発売を記念して制作秘話を紹介したいと思います。
■宇宙兄弟でUFOといえば出だしのシーンが有名
宇宙兄弟の中でUFOといえば物語の出だしに出てくる、六太や日々人が月に憧れを抱くきっかけになったと言われるあの名シーンが思いつきます。
UFOって神秘的な感じがしてなんとも言えない魅力がありますよね。
そんな魅力にとりつかれて製作をした「UFO SC APOシリーズ1」。
今回は販売記念スペシャルコラムとして、弊社のモノづくりに対してのこだわりやぶつかった壁など、モノづくりエンジニア「さた」へのインタビュー形式にて紹介をさせていただきます。
弊社モノづくりエンジニアさた:
たなP:まず、自己紹介をお願いできますか?
さた:
僕は新規プロジェクト推進部に所属していて、最近はIoTソリューションを中心にものづくり、開発を行っています。
■19巻にでてくる1コマのライトを忠実に再現
たなP:今回UFOを作るという話はどういう具合で始まったんですか?
さた:
「19巻#187ピンチ男とビンス家」の六太、日々人の回想シーンに出てくる、UFO型シーリングライトがあるのですが、以前小山先生やコルク編集部の方が再現しようと試みたみたいなんですね。
ただ、その時の製作見積もりがかなりの額になってしまい断念したとのことでした。
で、今回、弊社とコラボコラムを行うにあたり、上述の通り弊社IoT製品の開発など、ものづくりも行っている会社なので、作成できないか?という相談をもらったという流れです。
たなP:なるほど。そういう経緯だったのですね。
実際に出来上がったUFOを見てみると、原作のモデルをかなり細部まで再現されていますけど、どういう手順で作成を行っていったんですか?
さた:
まず、モデリングデータを作りました。
初期に作成したモデリングデータ
■幾つか課題があったが電球の熱設計にはかなり気を使った
で、作るべき方向のイメージあわせを行ったのですが、その時に課題になったのが以下の3点でした。
・スケジュールがタイト
エイプリルフールにリリースするのが決まっており、話が来たのが2月の頭。
約2か月で設計ー製造、動作確認までを行う必要がありました。
・そのスケジュール感にあう、加工ベンダーの探索、選定
詳細設計や簡単なパーツ作成はもちろん社内で作れるのですが、歪曲したライトのカバー部分などはどうしても専用の工具が必要になり、そこは加工ベンダーに依頼する必要がありました。
・ライトの仕様と熱処理について
要望として、UFOポイ感じでチカチカ光らせたいというのがあり、原作中に描かれているライトは5個必要なので、電気的だけではなく発熱に対する安全面の確認、いわゆる排熱設計が必要でした。
3点の課題の中でもこの部分が一番大変でした。
たなP:2ヶ月ってかなりタイトでしたね。
では、一番苦労されたと言っている、排熱設計時に考慮したポイントとかありますか?
さた:
えーと、まず、発熱部からの熱を上から外に逃がすという点です。
その時に暖かい空気が、電装部品などに当たらないように風の流れを設計しました。
また、そのためには穴を開ける必要があったのですが、外部から埃が直接電気的接点等に積もらないように配慮しました。
そして、仮で組み上げた後に実機での温度上昇の実証実験を繰り返し行いました。
(排熱を考慮した設計のモデリング)
■原作を忠実に再現しUFOぽさを追求したデザインがポイント
たなP:デザイン面で配慮したポイントなどありますか?
さた:
もともと外観は決まっていたので、それをいかに再現するかという点と、加工のしやすさとデザインに対して塗装処理のしやすさを考慮して、部品を分割できるようにしました。
UFO感を出すために各電球ごとに様々な色を出したかったので、それらが混色しないように設計しました。
(各電球ごとに仕切り壁を入れて混色しないように設計)
また、ライトが光る部分の半球状のカバーのところで苦労をしていて、電灯分の径と出っ張り具合を合わせたいと言う思いがありました。
丸物を作成するのはとっても難しく、時間的に有り物から切り出す方式になりました。
ただ、素材を切るために熱を加えると割れるなど、ベンダーさんと加工道具を含めて話し合い、作成になんとか漕ぎ着けることができました。
(加工前の球体部分)
(加工後の球体部分。上部のみをカット)
■当初かなり大きい物を考えていたが、天井から下げることを考慮してコンパクトに
たなP:製作したUFO大きさについては如何ですか?
さた:
今回作成した物はシーリングライト(!?)、天井からぶら下げる必要があるので、製作期間とコストとの兼ね合いで、3つの大きさを検討していましたが、コンパクトに収まる方向にしました。
(想定してた大きさのラインナップ)
その際、物量的にライトが入りきらなくて上に飛び出してしまいましたが(上図一番右参照)、ここはご愛嬌で(w)なるべくめ立たないようにしました。
たなP:なるほど、そういう経緯があったんですね。
逆に僕はこのカバーがあったほうがかっこいいなと思いました。
さた:
あ、そうだよねー。
■ほとんどのパーツは3Dプリンタで作成
たなP:ライト部分のパーツはわかりましたが、それ以外のメインのフレームなどの作成はどのように行ったのですか?
さた:
3Dプリンター、切削、板金加工を組み合わせて、各パーツを作り上げました。
今回すべてのパーツを切削で作ると加工時間がかかり過ぎてしまう為、3Dプリンターを活用することにしました。
今後、3Dプリンターはもっと積極的にモノづくりの工程に入れていきたいと考えています。
(牛の吸い上げパーツをプリントしている様子)
(3Dプリントされたパーツを研磨している様子)
たなP:なんか、今風な作り方ですね。
さた:
今後は避けて通れないからね。
ただ、3Dプリンタの弱点として、表面が凸凹してしまうのでセルフタップのネジだと締結力がバラついてしまうので、今回はわざと穴径を小さくして、後から適正な穴に加工する方式をとりました。
(穴を開けている様子)
■仮組みして動作チェック
たなP:一通りのパーツが出来上がったら組み上げですね。
そう。
最初は板金と電球部品だけを組み上げて、動作確認をしたんだよね。
(金属パーツの組み上げ)
問題がなければ、カバーを取り付けて、
(仮組み後の動作チェック)
設計図の通り一通り組み上げたところで、連続稼働をさせる。
その際に、空気の流れができているか、それに伴い電灯内部の温度が異常に上がらないか、など含め検証したんだよね。
(最終熱上昇実験の様子)
■塗装で最後の仕上げ
さた:
それらの確認をクリアしたところで塗装を開始。
今回は特別で原作の雰囲気やUFOぽさを出すところにこだわっていて、塗装後にラインを引いたりする等、最終的な仕上げをして完了!
(塗装を終えた各パーツ)
あ、そうそう、最後に牛が吸い込まれているのを表現する為に牛をつけましたw
■実際に動いている様子
うーん、、、怪しさ満点ですw
たなP:
あの動画の不気味な感じはこうして生まれたわけですね。
詳しく紹介いただきましてありがとうございました。
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如何でしたでしょうか?
熱設計などなかなか普段聞けない話や、モデリングデータから3Dプリントをするなどの様子を聞き僕はかなり興奮してしまいました。
ものづくりって面白いですよね。
って、あれ!?これ、実物大UFOじゃなくてUFO型シーリングライトじゃねーか!
すいません、そうなのです。
気づいてしまった、そんなあなたに朗報です。
■小山宙哉先生サイン入りUFO型シーリングライト1台限定プレゼント:
インタビューの冒頭でもお伝えしましたが、本シーリングライト、以前に小山先生と編集部で作成を試みて断念されたという経緯があり、いつもお世話になっている編集部の皆さんや小山先生を喜ばせてあげたいという思いでライトを作成しました。
そして、先日、小山先生にプレゼントに行ったところ、とても気に入っていただき、折角なので読者にもプレゼントしたらどうか?という方向になりました。
そこで、いつも読んでいたいている皆様にも感謝の意を込め、もう一台つくってプレゼントさせて頂くことになりました。
しかも小山先生のサイン付き!
小山先生にサインを書いてもらっている様子
宇宙中で小山先生しかもっていないライトをあなたも手に入れられるチャンスです。
以下のページのフォームよりどしどし応募下さいませ。
■Usable IoT(ユーザブルアイオーティー)
今回はエイプリルフール特別バージョンコラムでお送りしました。
紹介したUFOのようなものづくりを始め、「日常生活においてこれまでは体験できなかった便利さを実現する、誰でも簡単に扱えるモノ」としてエスキュービズムは「Usable IoT」という概念を提唱しています。
Usable IoTサイト