あなたは何問解ける? ストーリーを楽しく深掘りする『宇宙兄弟クイズブック』ができるまで | 『宇宙兄弟』公式サイト

あなたは何問解ける? ストーリーを楽しく深掘りする『宇宙兄弟クイズブック』ができるまで

2025.11.11
text by:西谷涉
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こんにちは。スタッフのアユミです。

街を歩けば金木犀の香りがただよい、秋の深まりを感じるこの頃。
『宇宙兄弟』の物語の舞台に、私たちの現実が追いついた2025年も、残りわずかとなりました。

メモリアルな一年のムッタの誕生日(10月28日)を記念してつくったのは、
小山宙哉と10年をともに歩んできた担当編集者がプロデュースする『宇宙兄弟クイズブック』です。
本づくりに込めた想いとその魅力を、さっそくご紹介いたします。

検定でもなく、図鑑でもない
気軽で楽しいクイズブック

突然ですが、『宇宙兄弟』のクイズ、あなたは答えられますか?

「『ドーハの悲劇』生まれはいつの出来事?」

「六太や日々人の実家がある町の名前は?」

「CES-51クルーでの記者会見で、ヒビトが記者に注意された行為は何?」

パッと答えが出てくる方もいれば、すっかり忘れていたり、
そんなエピソードもあったなと懐かしく感じる方もいるのではないでしょうか。

『宇宙兄弟』のキャラクターたちの言葉や行動にちなんだ、
150問以上のクイズを収録した『宇宙兄弟クイズブック』
昨年の『宇宙飛行士 1st フォトブック 南波六太』につづき、
小山宙哉の担当編集・ユヒコが手がける、コルクのオリジナル書籍です。

物語のクライマックスに向けて、原作をもう一度振り返りながら楽しめようにと、
たどり着いたのが「クイズブック」という形でした。

「最初は検定本を考えていたんです。でも、勉強させたいわけでもないし、『あなたがこれを解けば⚪︎級です』という形式は、最終巻が近づく今のタイミングじゃなくてもいいかも…と思って」とユヒコはいいます。

次に図鑑というアイディアもありましたが、最終的にクイズ本という形にまとまったのは、イベント会場でクイズがとても盛り上がっていた経験がきっかけでした。

「『宇宙兄弟』のファンの方とクイズは相性がいいんです。イベント会場に無料のクイズブースを設けたり、私の司会でクイズ大会をしたこともありますが、『面白い、やりたい』と積極的に参加してくださる方が多くて。みなさんが楽しく解いてくれていたのが印象的でした」

そんな経験もあり、表紙にも“楽しさ”が伝わるように工夫し、
検定でも図鑑でもない、“ポップなクイズブック”を目指しました。

120ページ全編フルカラー!
ストーリーを楽しみ直すクイズ集

『宇宙兄弟』第1~9巻から出題されるクイズは、すべてコルクの宇宙兄弟チームが考えたもの。
漫画を読めば答えにたどりつける難易度で、ページをめくると答えが載っている気軽さも魅力です。

「実際につくってみたら、私がつくるからか、あまり堅苦しい問題はありません。
『宇宙兄弟』の原作を1、2回読んだ人も楽しく解けるレベルを目指しました」

出題範囲が1~9巻までなのは、単純にボリュームの都合ですが、
「最新刊を読んでいない人でも楽しめる」「10巻くらいまでしか読んでない人にも分かる」
そんな“みんなに開かれた一冊”を目指したといいます。

120ページ全編フルカラーなのは、オールカラー版の単行本を出している『宇宙兄弟』だからこそ。
懐かしいシーンを、カラーで楽しめる贅沢なクイズ集にしあがっています。
移動時間や旅先で、家族や友人とわいわい、一緒に楽しむのもおすすめです。

Q&Aで終わらない
作品愛が深まる解説つき

『宇宙兄弟クイズブック』の最大の見どころは、担当編集・ユヒコと宇宙兄弟コミックガイドも執筆しているライター佐久間氏による解説です。

一つひとつのクイズの答え欄には、答えにちなんだワンポイント解説を載せているのですが、
この解説こそ、ファンの方に届けたかったもの。

「クイズ本をつくった理由は、豆知識を書くためでもあります」

「たとえば、第1巻では、『ムッタがアルバイトをしていた「なんでも格安修理屋」の名前は?』というクイズがあって、答えは『シューリー吉原』。じつはこの会社の男性社員にはモデルがいて、当時モーニング編集部にいた吉原さんという方なんです」

そういう制作現場の裏話や、インタビューのこぼれ話など、長く担当を続けてきたからこそ語れるエピソードを盛り込みました。

「南波家が暮らしてる町の名前『竹の子ニュータウン』は、作者が育った京都の洛西ニュータウンが元になっています。実際に私も訪れたことがありますが、街の雰囲気がよく似ています」

「ムッタとせりかが出会ったJAXAの食堂のシーンで、せりかはブロッコリー山盛りのサラダを食べているのも、作者が実際にJAXAで見かけた光景なんです」

ほかにも、閉鎖環境試験で福田さんのメガネを踏んで割ってしまったやっさんが、新しいメガネをお願いするメモを書くシーン。その読みにくい手書きの文字は、初代担当編集・サディの直筆なのだとか。

クイズそのものは、漫画を読んでいると気軽に答えられるものばかりですが、背景にある制作秘話を読むことで、作品への理解がより深まります。担当編集・ユヒコならではの“つくり手目線の愛”がつまった一冊です。

“バナナ理論”を味い尽くす
遊び心あふれる一冊

『宇宙兄弟』と聞いて、まず思い浮かぶのは、シャロンやヤンじいの名言、ムッタやヒビトの挑戦と成長ーー。いくつもの感動のドラマかもしれません。

けれど同時に、南波父の「ニャンボ」や、ムッタの頭突き、ローリーのTシャツ、アポやブギーの登場シーンなど、思わず笑ってしまう場面もたくさんありますよね。

緊張感のある展開のなかにも、かっこいいセリフが飛び出すときも、ほっとゆるむユーモアが潜んでいる。その絶妙なバランスを、小山宙哉は“バナナ理論”と呼んでいます。

そんな作者の遊び心やキャラクターの細かな表情にも気づくと、『宇宙兄弟』がもっと楽しく、もっと深く感じられるはず。今回のクイズブックも、そんな楽しみ方をしていただけるとうれしいです。

初心者も、ファンの方も、
もっと作品を好きになる。

小山宙哉の創作を10年支えてきた担当編集・ユヒコは、
今回のクイズブックの制作をきっかけに、あらためて作品への理解度が深まったと語ります。

「豆知識や制作裏のエピソードをたくさん詰め込んだので、いろんな角度から原作を読み返してみてほしい。『宇宙兄弟』初心者からファンの方まで、幅広く楽しんでいただけるように工夫しました」

「いよいよ次巻完結が発表された7月以降、『作品が終わるのが淋しい』という声を多くいただいています。このクイズブックが、名残惜しさを“読み返す楽しさ”に変えるきっかけになればと思います」

『宇宙兄弟クイズブック』を読み終えた頃には、
きっとあなたも、もっと『宇宙兄弟』を好きになっているはず。

最終回を迎える前に、クイズを楽しみながら、
原作をもう一度読み直してみませんか。