写真:NASA/ESA/W. SPARKS (STSCI)/USGS
速報です!!エウロパから水蒸気が噴出しているとの発見が、本日、公表されました!
原文:http://www.bbc.com/news/science-environment-37473617
木星の衛星エウロパは表面を分厚い氷に覆われていますが、その下に広大な地下の海が広がっていることがほぼ確実で、地球外生命がいる可能性が最も高い場所であると考えられています。エウロパが木星の前を通過する様子を、ハッブル宇宙望遠鏡で10回、紫外線で観測しました。するとそのうち3回で、上の写真の「7時の方向」になにやら指のようなものが突き出しているのが観測されました。しかもその「指」の場所が3回とも同じだった。こりゃ間違いない、という経緯だそうです!
これは疑う余地無く重大な発見です!なぜなら、2020年代に打ち上げが予定されている探査機「エウロパ・クリッパー」に水蒸気の中を突っ切らせることで、エウロパの地底の海の組成を直接観測できるからです!!探査機に積まれている質量分析器(どのような分子があるかを調べる装置)を使えば、水蒸気の中に、有機物や、あわよくば生命の存在を強く示唆する物質が混じっていることが見つかるかもしれません!!!!さらに将来、水蒸気が噴出している割れ目から氷の層に侵入し、地下の海にロボットを送り込むこともできるかもしれません!
ますます太陽系探査が楽しくなってきました。もしかしたら僕が生きている間、いや、あと10年か20年の間に、初の地球外生命体の存在が確認されるかもしれません!それは人類始まって以来の大発見の一つとして、文明が続く限り、永遠に記憶されることでしょう。
コラム『一千億分の八』が加筆修正され、書籍になりました!!
〈著者プロフィール〉
小野 雅裕
大阪生まれ、東京育ち。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程終了。慶應義塾大学理工学部助教を経て、現在NASAジェット推進所に研究者として勤務。
2014年に、MIT留学からNASA JPL転職までの経験を綴った著書『宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由』を刊行。
本連載はこの作品の続きとなるJPLでの宇宙開発の日常が描かれています。
さらに詳しくは、小野雅裕さん公式HPまたは公式Twitterから。
■「宇宙人生」バックナンバー
第1回:待ちに待った夢の舞台
第2回:JPL内でのプチ失業
第3回:宇宙でヒッチハイク?
第4回:研究費獲得コンテスト
第5回:祖父と祖母と僕
第6回:狭いオフィスと宇宙を繋ぐアルゴリズム
第7回:歴史的偉人との遭遇
第8回<エリコ編1>:銀河最大の謎 妻エリコ
第9回<エリコ編2>:僕の妄想と嬉しき誤算
第10回<エリコ編3>:僕はずっと待っていた。妄想が完結するその時まで…
《号外》史上初!ついに冥王星に到着!!NASA技術者が語る探査機ニューホライズンズへの期待
第11回<前編>:宇宙でエッチ
第11回<後編>:宇宙でエッチ
《号外》火星に生命は存在したのか?世界が議論する!探査ローバーの着陸地は?
第12回<前編>:宇宙人はいるのか? 「いないほうがおかしい!」と思う観測的根拠
第12回<中編>:宇宙人はいるのか? ヒマワリ型衛星で地球外生命の証拠を探せ!
第12回<後編>:宇宙人はいるのか? NASAが本気で地球外生命を探すわけ
第13回:堀北真希は本当に実在するのか?アポロ捏造説の形而上学
《号外》火星の水を地球の菌で汚してしまうリスク
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第24回:宇宙人生ーセンター・オブ・ジ・アイシー・ムーンズ (Journey to the Center of Icy Moons)