宇宙兄弟公式HPで連載中『星を撮りたい僕は、地球を駆ける』のKAGAYAさん撮影密着取材を宇宙兄弟スタッフとライターで、10月下旬、石垣島で行ってきました。取材の裏側の様子を連載担当編集のユヒコがブログにまとめました!連載とともに、撮影の裏側もお楽しみください。
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「すごいです。荘厳だ。本当に綺麗だ。」
最終日、石垣島の岬にて。
真横で撮影されているKAGAYAさんが、心の奥の方から発した言葉を聞きました。3桁でもきっとおさまらないんじゃないかという数の絶景ポイントを周り、世界を駆け巡り、Twitterでアップされている素晴らしい景色の数々をおさめている方が、そう発してしまう景色。
KAGAYAさんの言葉のとおり、本当に本当に、美しいものが目前に広がっていました。
正確にいうと、月の出から日の出にかけた深夜の3時40分から早朝6時30分にかけて、広がり続けました。
その景色とは大きな岩の東から、地球照がみえる月が昇ってきて、雲と混じり合い、月の真下の海面に、光を反射させ月の道ができている景色でした。後日Twitterに上がっていたこの景色とこの月です。
今朝、石垣島で撮影した二十六夜の月の出です。
地球照を抱いた細い月に雲がかかると、雲は淡く五色に色づきました。
沖のサンゴ礁に打ち寄せる波音が心地よい、星と月の光に満ちた夜明け前でした。 pic.twitter.com/lqXnIPjZC1— KAGAYA (@KAGAYA_11949) 2016年10月27日
私は”チキュウショウ”も、月が今日、夜空のどの角度から出てくるかということも、星の名も、究極をいうと東と西という方向感覚も
ほとんど知識がありません。
東と西というよりも右や左と言ってしまうし、感動したときは、「すごい!きれい!ねぇ、きれい!ピカピカしてる!!」
というようなシンプルな言葉で感想を述べますし、文章もあまり書くことがありません。
けど、石垣島の旅が素敵だったということはもちろん、KAGAYAさんという人物があまりにも魅力的で…。
彼がどういった行動をしていて、どういった面白さを感じ、日々動き続けているのか、Twitterにアップされる絶景の背景に何があったのか。
今回密着取材として、一緒に過ごした5日間の中で感じたKAGAYAさんのことを、旅日記とともに記していければと思い、ブログを書くことにしました!最後までお付合いいただけますと幸いです。
(本格的なKAGAYAさんの撮影についてのコラムエッセイはこちらをお読みください→「星を撮りたい僕は地球を駆ける」宇宙兄弟HP)
奇跡が偶然起きてるんじゃなくて、奇跡の瞬間を確実におさえている。徹底した事前準備とスケジュール管理。
私がKAGAYAさんにお会いする前、KAGAYAさんのTwitterをフォローしていて、写真をみるたび思っていました。どうやってこの瞬間に出会ったんだろう。この写真を撮る技術がすごいんだ。って。
けど、それは違っていました。
もちろん、撮影技術は必要です。
でも、それ以前にその景色がみえる場所を事前に頭の中で描き、その描いた絵を実現できるよう、日程・撮影ポイントを決め、現場に赴く。
天体のあらゆる知識、天体図鑑に載っているすべてがKAGAYAさんの頭には入っていて、それを組み合わせ絵をつくっていき、人々が奇跡瞬間だといえるものを確実におさえていきます。
最果ての浜にて。
(日本有人最南端の波照間島にて先日撮影) pic.twitter.com/InoN4EzG0V— KAGAYA (@KAGAYA_11949) 2016年10月29日
その様子を、波照間島での撮影を例に流れをお伝えすると…
旅2日目波照間島にフェリーで12時ごろ到着。宿にチェックインし、ロケがはじまります。
KAGAYAさんが運転する車はあらゆる箇所で停車します。バタンとドアを閉めては景色を確認。iPhoneの方位磁石片手に地図とにらめっこ。
「うーん、ここからは見えないな。」
「ここだときっと、オリオンが良い位置にあがってきますね。」
「冬ならきっときれいにみえるので、次回チャンスがあれば…」
時には、
「ちょっと、ここで待っててください」
と、草むらの中へ消えていくKAGAYAさん。
きれいな景色がある気配がすると歩くスピードがグンっと上がります。
「あ!いまみつけたんだな!」と私も必死についていきます笑
常に“どこで、どういう景色がみえるか”
KAGAYAさんの持つ知識を現場での状況に応じて、アンテナをフル稼働し、私たちでは描くことができず、彼には想像できる起こりえる絵を、頭に描き続けてるようでした。
(頭の中で星空を描いているKAGAYAさん)
(スマホでも常に方角を確認)
事前に決めていたロケポイントを2~3つのカメラを背負いながら周ります。歩きかけでみつけたヤドカリ、花、木、など…あらゆるものが被写体になっていきます。
今夜の撮影場所を探してまわっています。波照間島にて。(iPhoneにて撮影) pic.twitter.com/1zOAB4PiJp
— KAGAYA work (@kagaya_work) 2016年10月24日
お昼間の写真は、iPhoneで撮影(KAGAYA works Twitterにロケ中の写真がアップされることが多いそう)
ロケが一通り終わると条件を整理!
ロケをした場所から夜、どこに撮影にいくのかを決めていきます。日の入りはここ。天の川はここ。月の出はここ。何時〜何時は休憩しましょう。といったような形で。もちろんご飯の時間もしっかり話します。
今日はホテルに戻れないと思うので買い込みましょう。という日も。石垣島は市街地以外、コンビニがないのでお昼のうちに買い込んでおかないと、深夜の空腹を乗り越えられません…焦
ちなみに、KAGAYAさんの買い物袋にはパンやお菓子(ポッキーなど)が入っていました。普段は撮影中も手軽に食べられるコンビニおにぎりも多いそう(カツ丼のおにぎりが美味しかった話で盛り上がりました)。深夜の撮影に備えた撮影機材の準備も重要で、車にある機材を何度も確認されていました。
この日は、昼ロケにいった場所で天の川を撮影、
波照間 天の川 pic.twitter.com/Pi2flw81F3
— ユヒコ (@Yuhiiiidayo) 2016年10月25日
天の川撮影後は、お昼にロケで立ち寄ったコート盛りでも撮影
ムッタおめでとう。#ムッタ生誕祭2016
(写真:波照間島にて撮影) pic.twitter.com/4CU8XWddQz— ユヒコ (@Yuhiiiidayo) 2016年10月27日
(写真:ユヒコ撮影)
KAGAYAさんはチャーミング。必需品はアイスクリーム!? そして撮影の方角を確かめているのかと思いきや…
美しい景色、見たことがない景色へのアンテナを張り続けるKAGAYAさん。想定できる条件から考え込んでいるんだな…と、スマホ片手に真剣な表情の彼のそばにいくと、
「ここ、たくさんポケモンいますよ!」
「ハロウィンが近いからゴーストポケモンがたくさんいます!」
とスマホの画面にはポケモンGOが!!
すでに日本で捕まえられるポケモンは、全部捕まえているKAGAYAさん。Twitterにアップされていましたが、こんな遊び心も。
一等星とよばれる明るい星の一覧です。(1.5等星よりも明るい21個の恒星)
明るい順に並べました。(CP値は適当なので無視してください)
日本から見えない星もあります。 pic.twitter.com/9Uk8nFE77a— KAGAYA (@KAGAYA_11949) 2016年7月29日
レベルは30を超えていました…。す、すごい。
さらに撮影に欠かせない、いや日常に欠かせないものがあるんです!とKAGAYAさんが語りだしたもの、それは冷たくて甘い…。
3日目、灯台の撮影ロケ地点に到着。バタンと車を降りて急ぎ足のKAGAYAさん。
向かう先にはアイスクリーム屋さんが!!
いい撮影場所がいくつも見つかりました。サトウキビとマンゴーのダブルでひと息。 pic.twitter.com/IcixEgHHCW
— KAGAYA work (@kagaya_work) 2016年10月26日
アイスクリームを手にしたKAGAYAさん。とっても嬉しそうな表情でした…笑
波照間でも黒蜜ソフトクリーム
(写真:ユヒコ撮影)
フェリー乗り場では練乳入りのいちごかき氷。
飲食店でもバナナフレッシュジュース。
さらに帰りの空港でもアイスをゲット。
道中で、KAGAYAさんがアイスと出会ってしまったら、絶対立ち寄るということがわかりました笑
ちなみに、仕事場の冷凍庫には、ガリガリ君ソーダ味が常備されているとのこと。(ガリガリ君に関しては”ソーダ味”というのが重要だそうです◎)
KAGAYAさんの撮影の力の源は、実はアイスなのかもしれません…。
今しか見れないものを、ただ見たい。そのためのすべてのコトが楽しい。
撮影は場所を決める。時間を決める。機材を決める。など、決断の連続ですし、なにより準備が本当に大事なんだなと一緒に撮影をまわる中で痛感。
1日の流れをざっとまとめると、朝9時か10時に集合し、16時くらいまでロケをし、日の入り(18時ごろから)に向け撮影を準備。さらに天候が良ければ良いほど、撮影チャンスは増え、時にはほとんど休憩することなく深夜に突入していきます。月の出、日の出もおさめようとすると、早朝まで撮影続きます。
車の中で仮眠をとることもしばしあり、もちろん機材も持ち運ぶわけで…。考えることは多く、体力もかなり、いや相当必要だということが今回の取材でわかりました。
ただ、今回の旅で感じたことは、
KAGAYAさんは「そのすべてを楽しんでいる」ことです。
撮影にはロケも含め、時間がかなりかかります。
でもKAGAYAさんにとっては、新しい場所に行き、開拓すること自体がワクワクするし、とても楽しい。
“ただ、美しい景色をみたい”
そのための素材を集めは楽しいし、時には想像を超える景色をみることができる。僕にとってはすべてが本当に楽しいと。
自分の心にある欲求を純粋に追い求めていて、そのこと自体を心から楽しんでいるKAGAYAさんの生き方は、本当に美しく感じました。
今回、写真でしかみたことないような景色を実際に自分の眼でみて、撮影をし、さらにカメラの中で星空が広がっていく体験は、非常に貴重なもので、気づくと私もKAGAYAさんのそばで、夢中になってシャッターを切っていました。
石垣の星空とKAGAYAさんと私 pic.twitter.com/y200US2M45
— ユヒコ (@Yuhiiiidayo) 2016年10月26日
世界を巡って撮影をしつづけている、KAGAYAさんの日常の一部を体験したことで、彼の目に見えている世界がほんの少し自分もみえた気がしました。
本当に楽しかった。
素晴らしい時間でした。
撮影中のKAGAYAさんの写真を最後にいくつか紹介
KAGAYAさん、取材を快く受けてくださり、貴重な体験をさせてくださったこと、本当にありがとうございました。
石垣島の旅の様子の連載は後日、「星を撮りたい僕は地球を駆ける」で更新する予定です!KAGAYAさん石垣島星空浴ツアーについても特集します。お楽しみに^^
ユヒコ
Twitter: yuhicork : 小山宙哉の担当編集。小説家 平野啓一郎の『マチネの終わりに』、マンガ家こやまこいこを担当。ブログは不定期更新、もっと更新しないとと思いながら時間は過ぎていく。ジョーカーズのエディの発言と行動が好き。