小山宙哉の発言集 Vol.7
背中を押してくれた「あの人」の手
『スラムダンク』『バカボンド』をはじめ数多くの傑作で有名な井上雄彦さん。小山宙哉のプロフィールには、影響を受けた作家として井上雄彦さんの名前が挙げられています。そんな小山と井上さんの出会いを元にしたシーンが『宇宙兄弟』の中に描かれています。それは1巻 第1話〈弟ヒビトと兄ムッタ〉で、宇宙飛行士の毛利さんが子供時代の南波兄弟の背中に手を添えて写真を撮るシーン。じつは先日ご紹介した盟友・ツジトモさんと小山が新人の頃、井上さんと一緒に写真を撮る機会がありました。その時、井上さんは小山とツジトモさんの背中にそっと手を添えてくださったそうです。この時、小山は「井上さんが見てきた風景を僕らも見られるようになりたい」と感じたそうです。そして、ツジトモさんも自分と同じ気持ちになったと感じ、あのシーンが生まれました。
作品で描かれている毛利さんの存在は、小山とツジトモさんにとっては井上さんになります。実際に撮られた写真を見ると、六太側に小山、日々人側にツジトモさんが描かれています。
そう思って読み返すと、なおさら印象深く思えてくるワンシーン。
第1話、ぜひこちらから読み返してみてください!
▼『宇宙兄弟』第1話試し読み
〈漫画家紹介〉
・井上雄彦さん
1967年1月12日生まれ。1988年手塚賞入選作『楓パープル』でデビュー。1990年から連載を開始した『SLAM DUNK』は累計1億部を越える大ヒット。現在、週刊ヤングジャンプで『リアル』、週刊モーニングで『バガボンド』を連載中。