第23回 ギャラクシースパイシーバーガー
うつむいて食べてはいられない
22巻#207に登場。OUTPUT TAVERNのオーナー、オーウェン・パーカーが考案した“元気が出る”新メニュー。ISSやアサインがどうなるか不安になっているムッタたちに「食べたらそんな風にうつむいていられなくなる」と元気が出るメニューとして提案。しかしただ辛いだけでオーウェンは味見をしていないらしい。ちなみに6.99ドル。
ウォルター・ゲイツを知る男。
ゲイツは冷酷で嫌な男。
ヒビトの宇宙飛行士復帰試験への対応やムッタらジョーカーズへの仕打ちなどを見てきた読者にとって、NASAのプログラムマネージャー、ウォルター・ゲイツはそんな風に映ってきたことだろう。
「ミスは許されない」「無理はしない」“失敗のない仕事”が大前提である男。そうして今の地位まで上り詰めてきたのがゲイツだった。一体彼はどんな男なのだろうか?22巻ではゲイツの過去を垣間見ることができる。
ある日ゲイツは懐かしい店を訪ねる。そこは一度閉店し火事で崩落した店だったが変わらぬ雰囲気にゲイツは驚く。NASAの宇宙飛行士たちが集い宇宙開発の為に熱い会話を繰り広げていた懐かしい雰囲気のままだった。
いらっしゃい ウォルター
ゲイツを呼ぶ男の名はオーウェン・パーカー。かつてゲイツと一緒にNASAで働いていた元同僚だ。彼はゲイツの一年先輩で部下からの信頼も厚く、パーカー自身も周りを信じやる気のある若い後輩たちにどんどん仕事を任せていた。しかしある日企画リーダーを任せていた部下が全てを投げだして失踪し、パーカーはその責任をとってNASAを辞めさせられてしまう。
ミスをしたものには仕事は任せられない。
組織の風潮があからさまに変わっていったことを感じ、ゲイツはパーカーのようにはなりたくない、と思うようになった。「一度たりともミスをしてはならない」ただその想いだけで生きてきたゲイツ。失敗しないよう失敗しないよう上り詰めてきたゲイツは、いつの間にか宇宙へ夢そのものも失ってしまっていた。
“宇宙”をテーマに生き宇宙飛行士達の救いになるような仕事がしたかったパーカー。夢破れた敗者ではない、今のこの店もそうだと気が付いた。
久しぶりに客として酒を飲みに来たゲイツに、パーカーは尋ねるのだ。
肝心なのは なぜ今日君が この店へやって来たかだ
思い出すためだろ?本当の自分を
いつの間にか布を被せ蓋をしてしまった自分の夢を、ゲイツは捲る。宇宙というだけで飛びつき、夢中になって作った月面基地のジオラマを。
材料(2人分目安)
★パティ | |
---|---|
牛挽肉 | 200g程度 |
塩 | 小さじ1/2程度 |
コショウ | 少々 |
★ソース | |
トマトピューレ | 100cc |
ジョロキアソース | 小さじ1/2程度 |
今回はジョロキアにしました。辛いので少しずつ入れて味を見ながら調整してくださいね! | |
塩 | 小さじ1 |
★挟むもの | |
レタス | 2枚 |
トマト(大) | 1/2個程度 |
玉ねぎ | 1/3個程度 |
お好みでアボカド、パプリカなどもどうぞ! | |
バーガーバンズ | 2個 |
バターorマーガリン | 適量 |
作り方
【1】
ソースを作ります。トマトピューレを鍋にかけて弱火で温め、塩コショウを入れて混ぜましょう。味が整ったらジョロキアを加えます。本当に辛いので味を見ながら少しずつ足してください。タバスコで代用してもOK!
【2】
パティを作ります。牛挽肉をボウルに入れ、塩コショウを加えて粘り気が出てくるまでよく混ぜましょう。
【3】
混ぜた挽肉を成形します。丸く、薄く形を整えていきましょう。焼くと縮んで膨らむので、薄いかな?と思うくらいで大丈夫です。
【4】
挟む野菜の準備をします。レタスはちぎり、トマト、玉ねぎは輪切りにスライスしておきます。アボカドやパプリカ、チーズやベーコンなどもお好みでどうぞ。
【5】バンズの内側にバターを塗り、トースターで2~3分焼きましょう。
【6】
温めたフライパンに油を加え、成形したパティを中火~弱火で焼いていきます。フライ返しでスッと返せるようになったら裏返して焼きます。裏面も同じくスッと返せるようになればOKです。
【7】
バンズが焼けたらレタス、パティ、ソース、玉ねぎ、トマトの順で乗せて完成!フライドポテトなどと一緒にどうぞ。
燃え上がる勇気。
ゲイツがずっと羨んでいた、NASAで一年先輩だったパーカー。彼はNASAの人間が集まっていた店「OUTPUT TAVERN」を復活させ、あの頃と同じようにNASAの宇宙飛行士達が語れる場を作った。
ゲイツさんは宇宙の何が好きですか?
勇気を手に入れるチャンスです!
ムッタからかけられたその言葉が何かきっかけになったのだろうか。
勇気が出るメニュー。そう言ったゲイツにパーカーはギャラクシースパイシーバーガーをすすめる。
羨んでいたパーカーとの再会。NASAの同僚たちとこの店で語りあったであろう時間。今の自分がどんな風に周りから見られているのか。信頼されている上司にはなれていないこと。仕事を一度も楽しんだことがないこと。
口をついて出てくるくずぶった思いたち。そんな愚痴を言えるのも共に働いたパーカーだからだろう。
パーカーもまたゲイツを知っている。
ジオラマを楽しそうにいじっていたところ、何回失敗しても作り直していたところ。材料費まできっちりつけるようなクソマジメなところ。
あのジオラマを現実にするために 君はNASAにいるんだと 俺は思ってたよ
布を捲った時に現れた、情熱の塊のようなキラキラしたジオラマ。失敗を恐れず何度も何度もやり直し細かく作り込んだ“宇宙”。
ギャラクシースパイシーバーガーを食べて湧き上がる熱が、ゲイツを変えていく。
CES-66はジョーカーズに。そして、この間に進んでしまったISS廃止を撤回させるために、ムッタからの提案を受けゲイツは動く。
ここから先は 私に任せてほしい
人と人が影響し合い、変わらないと思っていたことが動き出す。
ゲイツは夢中で作ってきたあのジオラマを実現すべく、勇気を持って進み続けるだろう。
OUTPUT TAVERN。宇宙兄弟の世界にある店。閉店しその後屋根の火事で崩壊してしまったが元NASAスタッフのオーウェン・パーカーが復活させリニューアルオープンさせた。
NASA大好きなパーカーによるNASAの宇宙飛行士やスタッフの為の店。
ゲイツがじっくりと見渡し驚くほど再現度が高く、雰囲気もそのままのようだ。前店主が当時の写真をたくさん持っており、再建したいと申し出たパーカーに喜んで見せここまでの再現度に至ったらしい。
ちなみにパーカーが喫煙しながら作ったほうがウマイという評判の為、開店当初は吸っていなかったが吸うようにした。灰はこぼさない。
ISS存続希望の署名が続々とジョーカーズの元へ集まっていった。署名と予算削減案を携えムッタたちはゲイツの元へ。ところが話が違うとつっぱねられてしまう。自分たちのアサインは、ISSはどうなるのか。不安を話すムッタたちに声をかけてきたのはOUTPUT TAVERNの店主、オーウェン・パーカーだった。
宇宙兄弟22巻、好評発売中!
樹咲リヨコ(きさき・りよこ)
デザインやイラスト、ナレーションなどを仕事にしているフリーランス。宇宙兄弟や宇宙が大好きで、宇宙兄弟や宇宙の魅力をもっとたくさんの人とわかちあいたいと思っている。特に好きなキャラクターはムッタ、好きなセリフは「人生は短いんだ。テンションのあがらねえことにパワー使っている場合じゃねえ」。いつか宇宙に行ってみたい。
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