夏らしい軽やかさと、柔らかな肌ざわりのバランスを大切に。今治タオル職人の矢野浩次さんインタビュー【宇宙兄弟×IKEUCHI ORGANIC タオルケット製作ストーリー】
こんにちは。スタッフのアユミです。
愛媛・今治のIKEUCHI ORGANICが手がけた
「宇宙兄弟 タオルケット」の製作ストーリーを全4回にわけてお届けしています。
こちらの記事では、IKEUCHI ORGANICのタオル職人の矢野浩次さんへのインタビューをお届けします。
今回の「宇宙兄弟タオルケット」作りにあたって、どのように『宇宙兄弟』の世界観をタオルに落とし込むのか、しあがりの細やかなこだわりや、作り手としての想いをお話いただきました。
職人風な佇まいで、一見物静かな印象の矢野さんですが、
タオルについて話し出すと、とっても熱くてかっこいいのです。
ぜひ、最後までお楽しみください。
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ふんわり柔らかなタオルから、
しっかりボリューミーなものまで。
その違いを表現する「設計」というお仕事
IKEUCHI ORGANICの中では、
タオルづくりに欠かせない「設計」と呼ばれる仕事をしている矢野さん。
いったいどんなお仕事なのでしょう?
「タオルの設計」と言葉で聞くと、理系の、少し難しそうな印象がありますよね。でも、おうちにあるタオルを想像してみると、とても身近に感じられるお仕事なんです。
タオルって1枚1枚、生地の厚みも、柔らかさも違いますよね。
汗を吸ってくれそうな吸水性に優れたものがあれば、お客さんがくる日に用意したい、なめらかな肌触りの高級そうなものもあります。
ひとつひとつ個性のあるタオルを
触り心地だけでなく、吸水性や速乾性などもひっくるめて、どんな風にしあげるかを考えて、実際に形にする人たちへの指示を出すのが矢野さんのお仕事です。
タオルのしあがりの風合いを決めるのは、
糸の太さ、パイルの長さ、糸の撚り(ねじり)方、糸の密度などで、それぞれ数値で表されます。それらのバランスを決める作業を、タオル業界では「設計」と呼んでいます。
ーーーまず、タオルづくりのなかで、矢野さんが担当されているお仕事について、もう少し具体的に聞かせてください。タオルの柔らかさは、どうやって表現するんですか?
矢野さん:まず、こういうタオルを作りたいというイメージを形にするためには「設計図」というものが必要なのです。
タオルの設計図というのは、まず糸から。うちの場合、オーガニックな有機栽培綿にこだわって使っていますが、オーガニックコットンとひとことで言っても、太さや撚り方などいろいろな種類があります。
軽めのタオルを作りたいと思ったら細い糸を使おう、とか。柔らかいふんわりした風合いにさせたいと思ったら、甘く撚ったり。逆に強めに撚ると、シャリ感のある、ざらっとした風合いのタオルになります。そういう要素を全部こちらで指定しているのです。
ーーーつまり、タオルのしあがりを左右する大事な役割なんですね。糸の太さ、撚りによってタオルのしあがりが変わるというのも初めて知りました。他にもありますか?
矢野さん:あとは織り物なので、縦糸と横糸の密度とか、そういうものも関係してきます。うちにはいろんな種類のタオルがありますけども、ひとつひとつ、糸の太さをこうしよう、横糸の密度はこうしよう、縦糸の密度はこうしよう、という設計図があるのです。
ホテル仕様のタオルというのは、シャリ感の強い、拭きごたえのあるタオルが多く、逆に家庭だと、甘めのふっかふかのタオルが好まれたりしますよね。ああいうのもすべて、撚る回数や、太さなど、糸の特徴を考えて作られています。
「宇宙兄弟タオルケット」は
やさしい肌触りと軽やかさのバランスを意識して
ーーーそのなかで、今回のタオルケットはどういうしあがりをイメージして設計されたんですか?
矢野さん:軽くて、さらっとしたタオルケットらしさをイメージして設計しました。
じつは、お話をいただいた当初、タオルケットもバスタオル同様にキャラクターデザインのモチーフだったんです。なので、イメージが変わらないように、バスタオルと同じ風合いをイメージして設計していました。
それが、今回のデザインに変わることになり、一色で染めて、パイル(輪っかのループ)があるないだけで、柄を表現することに。そうなったときに、あまりパイルが長いと柄がきれいにでなくなってしまうという懸念がありました。
色も爽やかなイメージなので、ごつめのタオルよりもさらっと軽いイメージに持っていければと思って、パイルの長さを下げました。
ーーー確かにすごく品のある色で、涼しげな印象を受けます。また、触ってみるとふんわりしていて、気持ちがいいですね。このふんわり具合はどうやって表現するんですか?
矢野さん:そこは企業秘密といいますか、すごく甘い撚り方にしているんです。ショートパイルでいくんだったら、強く撚ったシャリ感の方がより一層さらっとするんですけど、そこまでやるのは今回の場合やり過ぎかなと。逆に糸を甘く撚って、軽いんだけどふんわり感は感じられる、そのバランスをとりました。
ーーーバスタオルのときと、今回のタオルケットで、肌触りの違いなど工夫されたところはありますか?
矢野さん:バスタオルの場合、からだの拭き方も人によって、けっこう差があると思うんですよ。だけどタオルケットの場合、使い方は決まっていて、かけるだけですよね。だからタオルケットらしい、かけて暑苦しくない重さとか、シャリ感が出すぎると肌に当たったときにざらざらしてしまうとか、そのあたりのバランスを重視しました。
『宇宙兄弟』ファンの声を受け取った、2度目のタッグ
ーーー今回は、『宇宙兄弟』とのコラボということで、特別な思いはありましたか?
矢野さん:いちばん気をつけたのが、ファンをがっかりさせたくないということ。宇宙兄弟のファンの人にどうやったら気に入ってもらえるんだろうと、もうほんとそこしか考えてないですね。
僕、実は宇宙兄弟のファン歴、短いんです。コラボさせていただくまで、3巻くらいまでしか読んでいなくて。コラボのお話があがって、一気に読ませていただいたら、「これはおもしろい!」とハマってのめりこんで、ぜひ作りたいという感じでやらせていただきました。
ーーー矢野さんのサンプルをあげるスピードが圧倒的に早かったというお話も伺っています。
矢野さん:読んだらハマって、必死にやりました(笑)
ーーーシャロンのブランケットのときは、SNSにあがっている感想を全て社内で共有されていたそうですね。
矢野さん:そうですね。シャロンのブランケットの時の、ファンの方の感想を経験した上での今回、第2弾でした。前回は、原作に出ていたものがやっぱり喜ばれていた部分もあるし、それだけでなくて、IKEUCHIのタオルのクオリティというのも評価いただいていて、ありがたいお話でした。
それで、やっぱりタオルとして手を抜いちゃだめだなと思っていて、『宇宙兄弟』の世界観も表現しつつ、なおかつ、うちのタオルのクオリティも両立したい、と考えた末、バスタオルもよくあるプリントものではなくて、ジャカード織りという手法を採用しました。
小さい会社だからこそできることを、思いっきりやる。
IKEUCHI ORGANICという社風
ーーーコルクとしても、IKEUCHI ORGANICさんが速さやクオリティだけじゃなくて、『宇宙兄弟』のことをすごく想ってくださってるのが伝わってきて、だからまた頼みたくなるというお話が社内でも出ています。
矢野さん:うちのオフィスでは、わざわざ全作揃えてみんなに読めって持ってきた人がいたんです(笑)みんなやっぱりあったら読むし、読んだら気に入って、肩入れするじゃないですか。そんな風に現場の人たちが、『宇宙兄弟』の仕事に対して、熱を持ってくれている。僕が正直疲れて困るくらいです(苦笑)
ーーーひとつのものを目指して、同じ熱量をもって社員間で共有し合うって、企業だとなかなか難しいことだと思いますが、それが実現できる。
矢野さん:それは小さいからこそできる。小さいなりに、そこらへんの意識統一はしっかりしていますね。こんな話が来た、みんなで盛り上げよう!というような社風がある。
こういうコラボのお話をやらせていただく判断基準として、うちの会社では、たったひとりでも、このコンテンツを愛していて、熱を持って、僕が絶対やりとげる!っていうものしかやらないようにしようというのが、牟田口さん(営業部長)から言われていることなんです。
(過去にコラボした)『温泉むすめ』だったら岡本くんだったり、『宇宙兄弟』だったら牟田口さんだったり。だからとにかく、僕が引っ張る!ついてきて!っていう人間が出てこなければ受けない。
ーーー素晴らしい~~~~~!!!!!(取材陣みんな感動して拍手)
矢野さん:今やってるビートルズとのコラボタオル。あれは、池内代表自らが引っ張ってますしね。
ふつうお金のことがどうしても優先順位としてあって、社員にこのコンテンツが好きな人間がいるか、よりも、このコラボは儲かるか、で判断することが多いと思うんですけど、そうじゃない人が上にいるから、こういう風な動きになっちゃうんですよね、うちの会社は。
すでにあるコンテンツの世界観をどうやって表現するか。いちから考える過程が楽しい。
ーーーすごく素敵だと思います。最後に、矢野さんご自身がタオルをつくるときに、心がけていることとか、大事にしていることがあれば教えてください。
矢野さん:池内代表の暴走をどう食い止めるかということですかね(笑)
うちの会社って設計は僕なんですけど、ものづくりの発端は池内代表の方なんですよ。代表が、こんなもの作りたいんだよ。これ形にしてよ、って僕のところにくる。だから、僕はいかにして、彼の頭の中にあるむちゃぶりを現実的なところに落としこむかっていう。
これはさすがにコストパフォーマンスとか、現実的な部分を見て、これはちょっと切らしてもらうしかないな、ということもあれば、これはすごいおもしろい!なんとかして形にしよう。無理は無理なりに、ダメもとでやってみよう。あれ、やってみたら案外できた、みたいな感じで、おもしろい製品にしあがっているものもありますね。
一方で、今回のようにすでにあるコンテンツの世界観を表現するということに関しては、僕に完全に一任してくれています。いちから自分で考えて、会社内で好き勝手やらせてもらえるので、楽しいです。
ーーーありがとうございました。
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【宇宙兄弟×IKEUCHI ORGANIC タオルケット製作ストーリー】を読む
第1回:暮らしをもっと豊かに。オーガニックで心地いい、今治生まれのタオルケットができました。
第2回:愛媛・今治まで工場見学の旅。天然の軟水をたっぷり使った、タオルケットができるまで
第3回:夏らしい軽やかさと、柔らかな肌ざわりのバランスを大切に。今治タオル職人の矢野浩次さんインタビュー
第4回:IKEUCHI ORGANIC 創業65年。池内計司代表が伝えるタオルのたのしみかた
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『宇宙兄弟』の世界観にも、タオルの風合いにもこだわりました。ふんわり上質な今治タオルを暮らしのお供に♪ 宇宙兄弟10周年記念バスタオル