第25回 カルロの“ゴールド”なパスタ
“ゴールド”を身につけたカルロ。
24巻#230に登場。ムッタたちメンバーやNASAの上層部に何も言わずイタリアに行っていたカルロが帰ってきた。以前と変わらない気取った笑顔と態度。変わったことと言えば以前はつけていなかったゴールドの指輪を身につけ“L”のミドルネームが入ったネームワッペンが加わった。そんな“いつものようなカルロ”とムッタたちの食事シーンでカルロが食べていたパスタだ。
不思議とカルロのいたジョーカーズはパーフェクトだった。
月ミッションを取り戻し、宇宙への秒読みが始まっていたジョーカーズ。訓練が進んでいく最中カルロが訓練に顔を出さないという事態が何日も続く。
メンバーも上層部も、カルロが来ない理由を聞かされていなかった。リーダーのエディを除いては。
カルロは平気な顔をしてウソをつくから、何が本当かわからない。
でも、エディは本当の理由を知っているんじゃないか。
それを教えて欲しい、とムッタはエディに尋ねた。どうしてそう思うのか、目を見ればわかると。
だがエディはあっさり見抜く。お前あの時聞いていたな?と。
ハッキリとは聞こえなかったけれど、ムッタはコックピットで聞こえてしまっていたのだった。聞いちゃマズイっぽい…と思いながら。
しかし音沙汰のないまま時が過ぎ―カルロの変わりに訓練に入っていたバックアップクルーのモッシュが正式にプライムクルーとなることが決定した。カルロは正式にジョーカーズのメンバーではなくなった。
独特のペースを持ち、噛み合わないモッシュに苛立つクルーたち。
カルロのいたジョーカーズは不思議とパーフェクトだったことを知る。
それでも徐々に、何とかモッシュのペースを掴み始めるメンバー。
様子を見ていたバトラーも噛み合わなさは感じつつ、何とか馴染み始めているメンバーで最善を尽くしてもらわないと、とエディと話す。
もちろんそのつもりだ 決定したメンバーで最善を尽くすさ
だがバトラー
カルロが今帰ってきたら どっちを選ぶ?
チームとして、リーダーとして、決定したメンバーで最善を尽くす。それは当たり前のことだ。しかし本当の“最善”とは何だろう。
強すぎる個性の寄せ集めだったジョーカーズが訓練を重ね、取り消されたミッションアサインも力を合わせ取り返した。訓練を休んでまで戦わなくてはならないものがカルロにはあった。そしてカルロは必ず戻ってくることを、エディは確信している。
“パーフェクトなジョーカーズ”の姿が、エディには見えているのかもしれない。
だが…本当の“最善”のためなら
“決定”なんて 何回したっていいんじゃねえの?
カルロは帰ってくるのか。“パーフェクトなジョーカーズ”が来る日はあるのか。
月ミッションが間近に迫ったジョーカーズの行方は、単行本で確かめてほしい。
材料(2人前目安)
★基本のトマトソース | |
---|---|
ホールトマト缶 | 1缶 |
にんにく | 1片 |
玉ねぎ | 小1/4程度 |
オリーブオイル | 大さじ3 |
塩 | 小さじ1と1/2程度 |
★その他 | |
スパゲッティ | 150g程度 |
バター(あれば) | 10g |
モッツァレラチーズ | 市販のもの1袋(100g程度) |
生バジル | 4~5枚、お好みで |
粉チーズ | お好みで |
作り方
【1】
まずは基本のソースから。玉ねぎとにんにくをそれぞれみじん切りにします。小鍋にオリーブオイル、にんにく、玉ねぎを加え、全体的に平らに伸ばして全体に火がいきわたるようにし、弱火で温めます。
【2】
フツフツとして色が変わってきたらホールトマトを加えます。この時点では、まだトマトを潰す必要はありません。中火で15分ほど煮詰めましょう。
【3】
その間にモッツァレラチーズ、バジルを用意します。モッツァレラリーズは原作イラストのゴロゴロ感を出すため大きめにちぎりました。全体的にモッツアレラチーズを絡ませたい場合にはサイコロ状に小さく切るのもオススメですよ。バジルも手で一口大にちぎっておきます。
【4】
15分経ったらトマトを泡だて器などでつぶします。塩を加え全体を混ぜ合わせましょう。この時味見をしてまだ酸味が気になるようであれば、もう2~3分ほど温めてみてください。
【5】
スパゲッティを茹でます。大き目の鍋に約2lの水と塩大さじ2を入れて沸騰させます。沸騰したらスパゲッティを放射状に入れ全体を混ぜ、メーカーの記載にある時間で茹でましょう。概ね7~9分です。
【6】
フライパンにバターを溶かし、そこにトマトソースを入れます。茹で上がったスパゲッティを入れ、モッツアレラチーズを入れて全体的にさっと混ぜ合わせましょう。時間をかけないよう注意してください。
【7】
お皿に盛り付け、バジルを散らして完成!お好みで粉チーズをかけて召し上がれ。
父から譲り受けた“ゴールド”を身につけて。
飄々としていて常に自信に満ちた笑顔。言動はいちいち気取っている。
そんなカルロだが、24巻では今までに見せたことがない怒りや憎しみの表情を見せる。
エディにだけは理由を告げてイタリアに戻ったカルロだが、その理由は公になればクルーどころか宇宙飛行士名簿からも外されてしまうだろう、という深刻なものだった。
カルロの本名はルチアーノ・ゴッティ。彼の父であるリベリオ・ゴッティはイタリアのマフィアであり、カルロは父をずっと軽蔑して生きてきた。リベリオが暴力を振るう現場を見てきたからだ。
”マフィアである父”と離れる決意をしたルチアーノは16歳で家を出てカルロ・グレコと名を変え、アメリカ国籍を取得し宇宙飛行士となる。
リベリオが危篤であるとの報せを受けたカルロは、マフィアであるリベリオの死を見とどけ晴々と宇宙へ行くために、父と完全な決別をすべくイタリアに戻った。
リベリオがヒーローと呼ぶ職業はたった2つ。サッカー選手と宇宙飛行士だ。
16歳で家を出てった一人息子が
宇宙飛行士(ヒーロー)になって帰ってきやがった
はっはっ
これ以上の親孝行はない
嬉しそうに言うリベリオにカルロは吐き捨てるように言う。あんたとはもう親子じゃない―と。名前を変え国籍も変えた息子に、賢明な判断だと応えるリベリオ。
そして―恐らくこれで会えるのは最後だと思ったのだろう。リベリオは自分がずっと身につけていた指輪をカルロに渡す。指輪は金庫の鍵。そこには、自分の人生が詰まっていると。
リベリオから受け取ったゴールドの指輪を見つめる。
そして、16歳の時に受け取ったゴールドのライターを見つめながら、記憶を巡らす。
“ゴールド”を身につけろ
暴力を使う父を激しく軽蔑していた。
それなのに、どうしてあの時このライターを受け取ったのか。ぼやけた記憶を探っている時―父リベリオの部下であるサンドロから訃報を受け取る。
父の死を確認したカルロは葬儀も出ずに帰ろうとする。人殺しまでしたであろう男を土に埋めてやるのもどうかと吐き捨て。
ところが―サンドロから告げられた組織でのリベリオは、カルロが記憶していたものと随分違っていた。
人殺しどころか脅しすらやっていない。組織の方針を一人で変えようとし、上の人間からは“腰抜けリベリオ”とまで呼ばれていた。
カルロはかつて自分も住んでいたリベリオの家を訪ね、金庫を開ける。そこで発見したものは…潜入捜査の為に“リベリオ・ゴッティ”となった父が警察官であることの証拠の数々だった―。
本名はレオ・グレコ。カルロが適当に思いついて付けたと思い込んでいた“グレコ”という名は、ゴッティと名を変える前の父と自分の本当の名だった。
ルチアーノ・グレコの名を一生懸命練習していた記憶が蘇る。“グレコ”は父と自分の大切な名前だった。
ビデオの中で、警察のヒーローになれるぞ、と同僚に言われた父は言う。ヒーローと呼べる職業はサッカー選手と宇宙飛行士の2つだけだと。
自分の息子がそのヒーローと呼べる宇宙飛行士となっていたことをどれだけ喜び誇りに思っていたのか。カルロは気付いただろう。
それでも、父の暴力行為が頭から離れないでいるカルロに、リベリオの秘密を知ったサンドロが言う。
見たのか?リベリオが人を殴るところを
俺は見たことはないぞ
止められたことはあるがな
軽蔑していた父“リベリオ”の姿が、想いが、子どもの頃からの思い出と父が伝えたかった本当の自分がカルロの頭の中を駆け巡る。警察官であることを息子にすら言えないまま獄中死した父を想う。
墓の場所を…教えてくれ
それで俺は――晴々と月へ行けるようになる
アメリカに帰国したカルロが身につけたゴールドの指輪。そして“L”が追加されたネームワッペン。“ルチアーノ”と“レオ”のLだ。
“LG”と刻まれていた父の指輪も、息子であるルチアーノと自分の本名であるレオへの想いが込められていたのかもしれない。
父を誇りに想い、カルロは、晴れ晴れとした笑顔で訓練にのぞむ。
NASAにはミッションポスターというものがあり映画やCDのジャケット風に演出されたポスターが作られる。アメリカらしいユーモアに溢れ世間からの評判も上々、打ち上げ秒読み段階に入ったクルーの紹介にも一役買っていた――。
これは作中だけの話ではなく、油井宇宙飛行士がスター・ウォーズ風ミッションポスターでジェダイの騎士になっていたことを覚えている人も多いだろう。
今回ジョーカーズが扮したのはパイレーツ・オブ・カリビアン風。ムッタがジャック・スパロウに扮しているが、これはムッタ役の平田広明さんがジャック・スパロウ役をやっていることと結び付けた小山先生の遊び心だと思われる。ちなみに過去パイレーツ・オブ・カリビアン風ポスターも実際に制作されている。
NASAが以前公開していたミッションポスターのサイトは2017年9月現在閲覧ができない為リンクは控えておくが、ぜひ「NASA ミッションポスター」で検索して過去のポスターを色々楽しんでみて欲しい。
理由も告げず突然いなくなったカルロ不在のまま、ジョーカーズは月ミッションの訓練を続けていた。ムッタはカルロがいなくなった本当の理由を知っているのではないかとエディに問うが…。一方、カルロはイタリアで父に会いに行っていた。
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樹咲リヨコ(きさき・りよこ)
デザインやイラスト、ナレーションなどを仕事にしているフリーランス。宇宙兄弟や宇宙が大好きで、宇宙兄弟や宇宙の魅力をもっとたくさんの人とわかちあいたいと思っている。特に好きなキャラクターはムッタ、好きなセリフは「人生は短いんだ。テンションのあがらねえことにパワー使っている場合じゃねえ」。いつか宇宙に行ってみたい。
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