
- 所属
- NASA CES-56
JAXA宇宙飛行士
- 好きなモノ・得意なこと
- いたずら・バスケ(フェイント)・ラジオDJ・機械いじり・プログラミング
- いたずら・バスケ(フェイント)・ラジオDJ・機械いじり・プログラミング
- 嫌いなモノ・苦手なこと
- 薄いリアクション・いたずらが途中でバレること
- 薄いリアクション・いたずらが途中でバレること
- 誕生日
- 1990/4/1
- 出身地
- 日本
- 日本
- 身長
- 176cm
- 家族構成
- -
- -
- 略歴
- 1990年生まれ。JAXA宇宙飛行士。同期に宮田アツシ、木崎サナエがいる。 長らくアサインされずにいたが、CES-56クルーとして任命され日本人3人目として月面を踏んだ。 数々の事故や太陽フレアの影響で地球帰還が困難となっているムッタとフィリップを救出するため、主に月面での作業を遠隔操作でアシストしている。
- 1990年生まれ。JAXA宇宙飛行士。同期に宮田アツシ、木崎サナエがいる。 長らくアサインされずにいたが、CES-56クルーとして任命され日本人3人目として月面を踏んだ。 数々の事故や太陽フレアの影響で地球帰還が困難となっているムッタとフィリップを救出するため、主に月面での作業を遠隔操作でアシストしている。
- 初登場
- #50~
words言葉
「本気でやった場合に限るよ。本気の失敗には価値がある。」
「俺の敵は 大体 俺です。」
「宇宙服は俺らの味方だ。」
profileプロフィール
主人公。初登場時31歳、シャンプーがよく泡立つモジャモジャ頭。日本人最年少宇宙飛行士であり日本人初のムーンウォーカーである南波ヒビトの兄。
好きなスポーツはサッカー、得意な楽器・トランペット。料理はヒビトよりうまいらしい。
尊敬している人物として天文学者・金子シャロンの名を挙げている。
12歳の時にヒビトとUFOのような光を発見。ともに宇宙へ行く約束をするも、いつの間にか宇宙飛行士になることを諦めて過ごしてきた。自動車の設計に携わり、出向先で出会ったメンバーと共に新世代の自動車を提案する“グッドイカスカー賞”を受賞するなど輝かしい受賞歴もある(※アニメ映画『宇宙兄弟#0』)が、ヒビトの悪口を言った上司に頭突きしクビになってしまう。
退社後しばらくフリーターとして過ごしていたが、ヒビトと母の計らいによりJAXAの宇宙飛行士選抜試験で書類審査を通過。どうせ自分なんかと思いながらも、仲間との良き出会い、シャロンからの応援などを受け無事合格。
うまくいかない事を何かと「ドーハの悲劇」生まれのせいにし、優秀な弟と比べ常に自己評価が低くネガティブ思考だったが、その発想力やハッタリは時に周囲をハッとさせ、本人も意識しないさりげない気遣いと優しさで周りを助けていたことも多い。
宇宙飛行士選抜試験合格後様々な訓練を経て、自分が今置かれている状況や何か求められているか何をすべきかを理解し、解決するため前向きに行動できる人になっていった。
試験中に出会った真壁ケンジとは歳が同じということもあり意気投合、唯一無二の親友である。また閉鎖環境試験で出会った仲間たちはそれぞれにとって一生の友人である。
場を和ませようとハッタリをかましたりするため誤解されることもあるが、南波ムッタと深く関わった人たちは彼に厚い信頼を寄せている。
無茶を突き付けられた時にも何とかしようと考え、動く。より良い方向へ行くため希望を現実にする為の道を模索し、可能な限りの方法を生み出していく。そんな彼の周囲には自然と人が集まるのだ。
また、工学部出身で自動車開発に関わっていたことから技術方面も得意で、様々なアイデアを思いつき、その実行力で周囲を驚かせる。技術者たちからの信頼も厚い。
技術者寄りのムッタの考えはピコとビンスの幼馴染であるリックにも通じる部分があり、ピコとビンスとはムッタを気に入り一緒に飲む仲となった。
宇宙飛行士選抜試験から同僚である伊東せりかに淡い恋心を抱いている。
一度ISS行きを提案されたムッタは、せりかがどれほどISSに人生をかけているのかを近くで見て知っていたため譲れるものなら彼女に席を譲りたいと申し出た。
同時期、一度はアサインされた月ミッションを“ジョーカーズが新人だらけ”という理由で別のチーム“ボルツ”に渡ってしまう。それを奪還するためISS廃止署名をボルツと競うようゲイツに指示されるが、せりかのISSへの情熱を知っていたムッタは「ISS存続のための署名」を集めるために尽力した。
せりかの方もムッタが空に描いたのがバルタン星人ではなくハートマークだったことにISS滞在中に気付き徐々に意識し始め、少しずつ距離が縮まっている。ムッタとせりかの恋の行方が楽しみである。
シャロンとは小学生の頃シャロン天文台を訪ねた頃からの長い付き合い。英語を始め、たくさんのことを学び相談しており、ムッタとヒビトにとってはもう一人の母のような存在である。
夫が見つけた小惑星“シャロン”の姿を見るため月に望遠鏡を建てたいというシャロンの夢を、少年時代のムッタは自分が叶えると約束した。
一度は諦めたものの数多くの挑戦と様々な困難を乗り越えて宇宙飛行士となったムッタは、シャロンの夢を叶えるため月行きを目指す。
シャロンがALSにかかってからはその想いが更に強くなり「誰よりも早く月に行ってシャロン天文台を建てる」べく奔走。計画書やシャロンが録音していた建設方法を何度も読み、聴き込んだ。
その努力と情熱で月ミッションへの切符を再びジョーカーズの手に戻し、遂に月面へと降り立った。
いよいよ月に降り立ったムッタだったが、月面第一歩目は転倒してしまい“人類初の月面第一「手」”を残すという歴史的記録を残す。
天文台建設作業が進む中、天文台に必要なパラソルアンテナが消失。その捜索をする最中、カルロとともに月の地下空洞を発見する。その洞窟は「カルロム洞窟」と命名された。第一発見者である自分の名前が「ム」しか入っていないことがちょっぴり不服だったムッタだが、「ムッタさんの名前が入っている」というせりかの言葉に喜ぶ。
その後も天文台建設は様々なトラブルに襲われる。
太陽フレアが起こり、翌日のミッションで接続するため月面に出しっぱなしだったスーパーコンピュータ“SHARON”が磁気嵐に遭うかもしれない危機。ただの箱にするわけにはいかない。リミットの12時間以内に基地まで運ぶため、ムッタはエディと共に“SHARON”へ向かった。
途中、同じ “兄”同士であるエディとはたくさんの話をした。途中、故障したバッテリーを取り換えるためにリッテンディンガー峡谷へと立ち寄る。ヒビトが事故により落下した、あの深い峡谷だ。
底に降り改めて、事故に遭い酸素が少なくなり、ここから怪我をした仲間を連れて生還したヒビトの凄さを想った。
ヒビトには昔からコンプレックスを抱きつつ、誰よりもヒビトを理解しヒビトを想い、応援し信頼している。
13歳の誕生日にヒビトからプレゼントされた「ドーハのきせき」のDVD-Rを大切に持ち続け、いつか自分が持って帰るからと月へ行くヒビトに預けた。そのDVDを月面基地内で見つけたムッタは、パニック障害でNASAを去ったヒビトが、月面基地に確かに居たことを感じた。
宇宙飛行士となったムッタは、支えられる側の想いを受け止め叶えるために自分ができる方法で叶えていこうとする。
天文台は自分たちのミッションで完成できる――筈だった。
太陽フレアの影響が容赦なく襲い掛かる。
月面の滞在日数の延長、船内での活動の決定――。ヒューストンから伝えられる内容に、天文台完成は間に合わないのではないかという不安がよぎる。
キャプコムのビンスは伝える。
外に出られる時期が来たら天文台建設を再開すること。
太陽フレアの放射線量が落ち着くタイミングで船外活動を実行してもらうこと。
天文台建設のための延長ではないが、延長することによってシャロン天文台を完成させられる可能性が出てきたこと。
――そして、ヒューストンは最後までやり通すつもりであること。
宇宙行き延期よりも地球行き延期の方が辛いだろう。
自身も宇宙飛行士であるビンスが配慮した、伝える順番。天文台完成の目標ができたことで、士気があがっていく。
だが想定外はまだまだ起こる。
太陽フレアによる放射線の次は、過去最高レベルの大量のプラズマ放出だ。
月面基地は停電。バックアップがすぐに動いたものの、再び停電。
「もしものもしものもしも」まで想定されて作られているマニュアルで訓練を続けていたジョーカーズは暗い不安の中でも非常事態を受け入れ冷静にやるべきことを行っていた。
非常灯で過ごす月面基地。修理ができるタイミングを待つムッタとフィリップ。シャロン天文台についての情報を眺めているムッタに、フィリップは尋ねた。
「シャロン天文台 やっぱ完成させたい?」
そりゃそうだよ、と即答するムッタ。
なぜなら、自分が宇宙飛行士になった一番の目的だから。
もちろん次のチームが終わらせてくれればそれでよいけど、できれば自分が月にいる間に「完成したよ」と伝えたい。
笑顔で話すムッタの言葉を聞いて、フィリップは「ムッタの夢を俺の次の夢にしよっ!」と決める。
『シャロンの夢』であった月面天文台。『ムッタの夢』『天文学者の夢』となり、それが仲間の夢になる。
少年ムッタとシャロンが交わした夢は、いつしか『皆の夢』となっていた。
放射線量の影響が低くなり、待ちに待った天文台ミッション再開の日がやってきた。
ムッタ、フィリップ、アンディの3人は天文台建設地へと向かう。
再開はソーラーパネルの設置から。やっていることは、電気工事士のような仕事。
けれど舞台のせいか衣装のせいか――なにかとんでもない、それこそ世界を救うような…そんな大それた使命感を感じかけたところで、ムッタはとどまる。
大それた使命感に囚われるな
俺のやっていることが…世界の為になるかどうかは――「結果」だ
「結果」でいい――
俺はただ―― 一人を思ってやればいい
交代で3日かけてソーラーパネル設置とケーブルを接続。
天文台の中心にスーパーコンピュータ“SHARON”を設置し起動させれば、いよいよシャロン天文台は完成となる。
建設作業が続く中、せりかと絵名がISSから地球に帰還する時がきた。
ムッタは月面で発見したハート型の石をISSの方向に向け、せりかの無事の帰還を祈る。
作業終了後ブギーを通して帰還映像を見届けたムッタは喜びに満ちていた。その様子を見ていたカルロにせりかと絵名でリアクションに差があると突っ込まれ、ブギーには「(伊東せりかを)モシカシテ…好キナンジャナイノ?」とツッコまれ慌てている。
太陽フレアが落ち着いてからのミッションは概ね順調に進んでいた。
再び太陽活動が活発になり始めたため、フレアの影響を強く受ける前に帰還することが決定。残り5日間で天文台を完成させる。すべてが急ピッチで動き出した。
エディの最後の船外活動は、ムッタ、アンディの3人でスパーコンピュータ“SHARON”を設置すること。
向かう途中、ムッタも聞きたかった「最後の船外活動はどんな感じか」をブギーが問う。
エディは答える。
ずっと「これが最後かもしれない」と思いながらやってきた。いつもと変わらない、と。「お疲れ様――エディ」。
ずっとエディの姿を見つづけ、最後の船外活動を共にしたムッタは、エディの最後にそう声をかけた。
引き続きムッタとフィリップが天文台建設ミッションを進めている裏で、月離脱ステージ「ライブラ」の様子がおかしいという報告を受け様子を見に行ったベティとカルロ。
タイミング悪く破裂したライブラによって、ベティが大怪我を負ってしまった。カルロによる緊急手術により一時的に乗り越えたものの、大変危険な状態であることは変わりない。
帰還予定日まで1日を残し、話し合いの末、政府とヒューストンは「ベティの命を最優先」のためベティを含む4名を緊急帰還、「天文台を完成させる」ため2名を月に残すことを決定した――。
誰が月に残るか?ベティとカルロを除く4人全員が挙手。そこで更に高く手を挙げたムッタとフィリップ。
残りの天文台建設に誰が適任であるかを考えたら、答えはもう出ていた。
「俺ら2人が残るんだ」。ビートルの中で、2人はそう決めていたのだ。
決めるなら、“意志の強さ”で選んで欲しい。さっき挙げた、“手の高さ”で。
月面に残るムッタとフィリップ。別れを惜しみ、エディら4人は地球へ帰還する。
ムッタはエディからコマンダーを任された。それはムッタと共に月面に残り、今回はムッタを全力で応援すると決めたフィリップからのたっての願いでもあった。
エディから受け取ったコマンダーとしての“印”。
エディが宇宙飛行士になった年からずっと着けていた、アポロ11の時バズ・オルドリンガ着けていたのと同じ時計。
「地球に帰って必ず返せ――約束だ」
そして4人は帰還へ。
「どこにいようと最後の最後まで――俺たちは“ジョーカーズ”だ」
とうとう、月面にはムッタとフィリップ2人だけになった。「私もイマスヨ(by ブギー)」。
天文台建設はラストスパート。
だが、電力不足という表示とともに光る筈のアンテナが途中で止まってしまう。
原因不明のため、一度基地に戻るよう指示されるムッタとフィリップ。
「今日で終わる」
そう思っていたところで、どっと疲れてしまった。
「くたびれた」
思わずそう口に出そうになったが、ムッタはぐっと飲みこむ。
言わねえぞ
このミッションが――シャロンとの約束が――ちゃんと全部光り輝くまで「くたびれた」とは言わねえぞ
口には出さないものの、ムッタとフィリップは空も見えないのに天を仰ぐ時間が多くなった。ベティたちへの想い、太陽フレアや帰還への不安。そんなものが頭をよぎる。
ムッタとフィリップに配慮してISSでベティの手術が行われたことを黙っていた帰還組だったが、ベティの体がもう心配なくなり2人に月離脱後の顛末がエディから伝えられた。ジョーカーズの不安が一つなくなったことに喜ぶ2人。久しぶりの船外活動にもテンションがあがる。
2人が感じているであろう様々な不安を払しょくさせるように、地上で公表されている内容や帰還準備のことを淡々と伝えるビンス。
その無表情が、こんな時こそ優しいとムッタは感じた。
ムッタとフィリップの帰還のため、地上ではアメリカ、ロシア、日本、3カ国が合同となる史上初のミッションが進む。そのミッションで打ちあがったロケットには、かつて一緒に試験を受けた福田の尽力もあった。
天文台建設は今度こそ本当に最後の時に向け途方もない作業をする2人。フィリップの「これって意味あんのかな」に、ムッタは福田の話をする。
自分たちを助けるために日本のロケットで打ち上げられたソユーズ。
初の試みに相当なプレッシャーがあったであろうこと。
そのための途方もないチェックを一つ一つやったであろうこと。
その結果自分たちが助かるから、福田さんの仕事はすごく意味のあったこと。
俺たちもそれでいいんだよ
自分のやってることの“意味”を探す必要はない
やったことの結果が誰かの“意味あること”になればいいんだ
それは殆ど自分への言葉だった。意味など探すな、自分が楽しんだ結果喜ぶ人がいる。これ以上のことがあるか…?これが、私の天職だ――!
最後の調整を終え、ムッタとフィリップはお互いの仕事をたたえ合った。
私たちが来なければ ここは暗闇だった。私たちが来なければ ここは動かない景色だった。“シャロン天文台”という私たちがここに来た証を点灯します。
月面のパラソルアンテナのすべてに光が灯る。
思わず目を閉じてしまうほどのまぶしい景色。
シャロンとの約束が、遂に果たされた瞬間だった。
「くたびれた――」
誰が見てもハッピーエンドなこのシーン。
地上にいるシャロンを思いながら、ムッタたちは基地へと帰る。
ビートルに乗る前、振り返り天文台を眺めたムッタは、不思議な気持ちに包まれていた。
約束を果たした安堵感だけではなく、“ザワザワ”したような“ワクワク”したようなそんな感じ。ワクワクを超えて、心が“ブクブク”したんだ。
天文台完成を受けてシャロンから届いた動画は、ムッタの肩を震わせ、目頭を熱くさせた。
辛い現実が悩ませたでしょう。だけど、少年の頃の夢のまま約束を叶えてくれたことが本当に嬉しいこと。
必ず帰ってきて、もう一度笑顔を見せてほしいこと。ついでにハグもして欲しいこと。
天文台の夢を叶えたムッタに、シャロンとの新しい“約束”が交わされた。
地上と月面で帰還の準備は進むものの、試練は続く。
だが今が耐え時であるとも知っている2人は、できることを進める。
ヒューストンから着陸船の確認が取れ無事であるとの連絡が届く。同時に、ムッタは驚きの光景を目にする。
自分たちを救うためのミッションのためロシアで組まれた“トルストイ4”。
そのメンバーにはかつて弟を救ってくれた吾妻、そして弟ヒビトがあった。
「宇宙飛行士としてダメになってた僕を 兄はフワッと救ってくれました
今度は僕が――兄を救いに行く番です」
画面の向こうには、当然のように“らしい”ヒビトがそこにいた。
天文台建設という大きな目標を終え “やりきった感”で次への意欲を失いかけていたムッタ。しかしヒビトが来る知らせに、小さな火種が燃える音が聴こえた。
ゴールラインは、次へのスタートラインだ。
ジョーカーズ帰還組4人は無事地球へ。それは「自分の一部がちゃんと地球に還った感じ」であり「自分の一部がまだ月に残っている…」。
ジョーカーズはまだ誰も“卒業”できてないままなのだ。
地球への帰還を待つムッタとフィリップ。
ヒューストンでは2人が長距離移動をするためにサポートする「タイガーチーム」が作られ、希望したビンスの他、ケンジ、新田が選出された。
月面と地上。画面越しに握手するムッタとケンジ。
MEEMO訓練で一度は心が離れた2人にとって、大きな意味を持つ握手だ。
月面基地から帰還船までの長い長い月面移動の道のり。
ケンジと新田が何度もシミュレーションを重ね開いた、帰還へのルート。
友が示してくれた道を信じ、ムッタとフィリップは月面基地を出発した。
中継地では先輩宇宙飛行士・紫三世が仕掛けた2年越しのイタズラに驚かされ笑いながら、順調にルートを進んでいく。
月面での遠隔作業を可能とするために、紫はどれほど準備してきたのだろう。イタズラっぽい面だけでなく、元々の運動神経や才能だけで片付けてはいけない。
ムッタはそんな「フェイクに見せて、“本物”」な先輩に想いを馳せた。
月面で共にミッションにのぞむ仲間がいる。
地上で応援し力を尽くしてくれる管制チームがいる。
ヒューストン、JAXA、ロシア。国を超えて、多くの力が結集する。
宇宙飛行士の仲間、ジョーカーズの仲間、スイングバイや、宇宙に関わるたくさんのスタッフ。地上でムッタたちの帰還を待っている人々。
ムッタとフィリップを地球に帰すため、たくさんの人々の想いが2人の道をひらく。
ロシアからはマクシム4が打ちあがった。
地球に向かうヒビトの様子が月まで届く。嬉しそうな表情に、ムッタまで嬉しくなってしまう。
その日の眠りにつく中で、ムッタは思った。
この世のすべての夢を手にしたみたいな、あの頃のヒビトがやってくる気がした。
ヒビトを待つ間、月面での作業は続く。難しい作業ではなかったが、実家から緊急の電話が入る。
「後で伝えても構わない」。
ということは、大したことないこと。そう判断したムッタだったが、やはり作業に集中できずに簡単なミスを犯し、作業は予定より1時間も遅れてしまった。
「人生は勉強だぞ」
ちょっとした失敗をするたびに思い出す父の言葉。
基地へ戻ったムッタは、翌日電話を繋いでもらう。しかし――
「やっぱり……ほらやっぱり――!!」
緊急の知らせは、父 長介がギックリ腰で入院した、ということだった。
以降無表情で父と母の言葉を聞いていたムッタだったが、残る言葉があった。
「“パンをかじる”くらいのことが最後の一押しになりうるということだ」
ちょっとしたことが、最後の一押しに。今日の失敗を思い出すムッタ。
人生は勉強だと改めて思うのであった――。
ヒビトとの1年半ぶりの再会の日。
今まであったこととか何もなかったような顔をして、当たり前のように家のように扉を開ける――そんなヒビトの姿が見えるような気がした。
月面着陸を待つ。
だがロシア側のなんらかのトラブルにより通信が遮断。ヒビトたちの様子がわからなくなった。地上側は原因と復旧を急ぎ、マクシム4は手動で着陸するだろう。
作業を進めながら、ムッタはヒューストンからの連絡を待つ。
予定場所に先行させたギブソンのカメラでは、着陸が確認できなかった。
作業を終えたムッタは自分たちも向かうことをヒューストンに提案。酸素生成装置のブライアンも共に向かわせる。
しかし…そこにもヒビトはいなかった。
ムッタとフィリップは二手に分かれ、アンテナを使い着陸船の電波を探す。
電波をとらえた方向へ、歩みを進める。
昔ヒビトとした会話を思い出しながら。
宇宙雑誌を読んでいた小学生のムッタは、地球ができて生命が誕生する確率がどれほど奇跡的なことであるかを知る。
「地球ができて生命が誕生したのが“奇跡”ってことは それ以降に起こったことも 全部“奇跡”ってことだよな」
ヒビトは言った。
自分とヒビトが兄弟になったこと、宇宙を好きになったこと。
今まで自分たちに起こったこと。月で会うこと。そのすべてが。
「まあどっちでもいいんじゃない?奇跡かどうかは」
“必然”と考えればそれもそう。だからどちらでもいい、会えるなら。
宇宙飛行士となったヒビトも、小学生のあの日と変わらない答えを言う。
雑音とともに、よく知っている弟の声が聞こえる。
降り向かえば、後ろから歩いてくるヒビトの姿がある。
兄弟は、遂に月で再会を果たした。
今の心境を尋ねたビンスに、ムッタはこう答えた。
もう…なんて言っていいのか…
宇宙に来てからずっと…地球を眺めるたびに――
関わって来たたくさんの人たちに“仲間”以上の何かを感じていたんですけど
日々人と再会して…そして『マクシム4』に出会えてその気持ちが何か分かりました――We are “Space brothers”(僕たちは“宇宙兄弟”です)
マクシム4を新しい基地へ案内する2人。
終始嬉しそうに、そして懐かしむヒビトを、ムッタも嬉しそうに見つめる。
歓迎会を行い酒を酌み交わす。
地上との通信で家族も再会だ。
「存分に楽しみ直せよ」
父の言葉、マクシム4のワクワク感。
地球が恋しくなっていたムッタだったが、もう一度月を楽しみ直す。
新しく更新された日々が始まった。
帰還が最大の目的だが、せっかくの月だ。NASA、ロスコスモス、そしてJAXAが調整して月面の“水資源調査”が行われることになり、ムッタはEVAの指揮をとることとなった。
アポロ月面着陸から60周年。
60年後、月面でNASAクルーとロシアクルーが合流した。
日本人飛行士であるムッタの言葉を、NASAのエルドン長官は宇宙開発における世界共通の合い言葉として残したいと各国のリーダーと話し合い、シンボルマークを作った。
ケーキ形の模様は一つのpiece。“世界各国”や“我々一人一人”を表している。
“We are Space brothers”。
60年後も続いていることを願って――。
ムッタの月面ミッションはまだまだ続く。
カルロム洞窟の水資源調査。先行しすぎて通信が途切れ、月面事故とパニック障害の感覚を思い出しそうになるヒビトの背中を照らす光――。
それはまるで小学生の夏休み、京都へ向かったあの自転車旅のような。
これから兄弟2人で行う初めての“同じ任務”には、ワクワクがたくさん待ち受けているに違いない。