大西卓哉宇宙飛行士長期滞在ミッション報告会☆東大と共同で開催！

大西卓哉宇宙飛行士長期滞在ミッション報告会☆東大と共同で開催！

2017.06.16

text by：編集部コルク

こんにちは。スタッフのゆみです＾＾
宇宙に関わるものをお伝えするべく、毎週記事をお届けしています。
その中でJAXAの天体イベントをご紹介していますが、先月ご紹介した「大西卓哉宇宙飛行士長期滞在ミッション報告会」を取材してきました！
日本初の民間航空機パイロット出身の宇宙飛行士である大西卓哉氏。
今回は、彼が遂行したISS（国際宇宙ステーション）でのミッション報告についてご紹介します☆

東大で行われたミッション報告会

6月12日（月）、大西卓哉宇宙飛行士によるISS（国際宇宙ステーション）での長期滞在ミッション報告会を、東京大学大学院工学系研究科と宇宙航空研究開発機構（JAXA）が共同で開催。
会場は、彼の母校である東京大学内のレトロな内装の安田講堂。ほぼ満席のこの報告会は、総合司会に宇宙飛行士の山崎直子さんを迎えて豪華に行われました。
2016年7月7日〜10月30日までの115日間宇宙へ旅立ち、そこでの生活や実験について、臨場感とユーモアをたっぷりに報告していただきました！

地球とは勝手が異なる、無重力下での生活

宇宙での生活は、私たちの普段行っている生活とは異なります。
缶詰やレトルト食品、フリーズドライで主に食事をし、筋肉量の維持のため毎日2時間半の運動が欠かせないようでした。
無重力の空間でむずかしいタスクとなったのは、意外にもトイレ。ホースを使用するようですが、紙も持たなければならないし、そもそも座ることすらむずかしいとのこと。
宇宙環境下での生活は、やはり地球とはまるで違うんですね。

大西卓哉宇宙飛行士による宇宙での生活について、こちらでも記事に取り上げています☆
＞＞詳しくはこちら

ISSでどんな実験をしていたの？

骨や筋肉量が急速に減る宇宙では、地上の高齢者や寝たきり状態に類似した現象を活かすことができます。
様々な病態をもつマウスを用い、骨量減少、筋萎縮、免疫低下の状況とエピゲノムなどの生体内情報との関係調べることで、加齢性疾患の早期診断因子の特定など、加齢研究の一環として医療に役立てるため実験を行いました。
大西宇宙飛行士は35日間12匹のマウスを飼育し、世界初の全数生存帰還に成功しています。

また、高品質タンパク質結晶生成実験も行われました。
これは、創薬研究への貢献を目指し、微小重力下を利用して質の良いタンパク質の結晶を生成し地上へ持ち帰ることで、院内感染などの原因である多剤耐性菌への抗菌薬や、歯周病治療薬の開発の研究に役立てるものです。
こちらも無事に結晶サンプルを持ち帰ることに成功したようです。

その他にも、静電浮遊炉の初期検証や、燃焼実験というものも行われました。
また、アジア圏の各国の学生を筑波宇宙センターに招待し、リアルタイム実況による微小重力簡易実験も行われたようです。
世界の注目が集まる様々な実験を担っていたようで、彼の成果による今後の技術発展にも期待が高まりますね！

私たちの夢をのせて

大西卓哉宇宙飛行士もこの報告会で話していましたが、ISSを初めて見た時には、「こんな所に、こんな大きなものが存在するなんて」と、宇宙技術の偉大さに畏敬の念を感じたようです。

報告会の終盤に、来場者に向けた質疑応答が設けられました。
たくさんの質問が繰り広げられる中、大西卓哉宇宙飛行士はどんな子供でしたか？という印象的な質問がその中で出ました。
「どこにでもいるような目立たない子でしたが、苦手なことも一生懸命やる子でした。自分の好きなことは誰でも頑張れるけれど、苦手なことを頑張ってきた経験が今を作っている」。彼はそう答えました。
そのような彼の粘り強い生き方が、宇宙への夢を実現しているんですね！
これから宇宙飛行士を目指す子供たちにとって、励みになるようなメッセージとなりました。

私たちの夢をのせて、宇宙の技術は発展し続けている。
高さ100キロメートル以上を定義されている宇宙は、壮大でとても遠くのものに感じられます。
しかし、そこでの実験を通して私たちの生活の一部に役立てられようとしていることを改めて知り、宇宙を身近に感じられる、そんなミッション報告会でした。
ISS滞在の報告会などは、少しハードル高く感じられるかもしれませんが、意外とそんなこともありません。
無料で参加できるので、またこのような機会がありましたら、ぜひ気軽に参加してみてくださいね☆