＜せりか基金通信＞治験ってなに？薬はどうやってできるの？―ALS治験勉強会に、せりか基金メンバーが参加しました。

＜せりか基金通信＞治験ってなに？薬はどうやってできるの？―ALS治験勉強会に、せりか基金メンバーが参加しました。

2018.03.28

text by：編集部コルク

宇宙兄弟は「せりか基金」を立ち上げます。
シャロンが患って闘っているALS、せりかのお父さんが患って亡くなった病気であるALS。未だに原因も治療法も解明されず、徐々に体の運動機能を失っていく恐怖や、知力、痛み、かゆみ、寒さなどの体の感覚が保たれたまま意志を伝えることができなくなる恐怖、自分の命の意味と闘うALS患者の方の、希望を叶える支援をしたいという想いがあります。せりかの夢の実現を現実のものに。

こんにちは、せりか基金メンバーの松岡です。

昨年、日本ALS協会の理事であり患者である嶋守さんにお声がけいただき、ALS治験勉強会に参加してきました。

現在ALSの治療薬として認可されているラジカットもリルゾールも、病状の進行を遅らせる効果はありますが完全な治療薬とはいえないようです。

原因は謎が多く、治すことができない病気とされている難病、ALS。
治療薬の開発のために行われている、治験とはなにか？
勉強会を通じて学んだことをお伝えしたいと思います。

＜＜治験ってなに？＞＞
治験（ちけん、Clinical trial）とは、医薬品もしくは医療機器の製造販売に関して、医薬品医療機器等法上の承認を得るために行われる臨床試験のことである。――Wikipediaより

治験とはつまり、治療薬の開発のために、患者さんに試験的に薬を投与して研究に協力もらい、薬の効果を証明すること。

治験ではこういったステップを踏む必要があります。

第１層　人間に初めて投与してみて影響を見る
第２層　その病気に効果があるのか（有効性）、投与量・間隔・期間などを調べる
第３層　多くの人に飲んでもらって副作用がないか（安全性）など最終的な確認をする

治験の前にまず動物実験が行われます。そして人体を通じて行われる治験が成功すると、厚生労働省の認可がおり医薬品として製造販売できるようになります。こうして様々な段階を経て、沢山の患者さんの病状を救える薬が出来上がっていきます。

ALSは病状の進行が早く、いつ手足が完全に動かなくなるか、呼吸が出来なくなるかわかりません。
治験にかかわる患者さんたちは、日々そういった恐怖と戦いながら、研究内容に即した投与スケジュール、受診、経過観察などに忍耐強く取り組んでおられます。その先にあるのは、自身が治ることへの希望と、薬によって他の患者さんが治ることへの希望です。

また、今回の勉強会では、下記のテーマで各先生方から治験に関するお話を伺いました。

ペランパネル治験・遺伝子治療について（東京大学郭伸先生）
ペランパネル治験について（東京医科大学相澤仁志先生）
メコバラミン治験について（徳島大学梶龍兒先生）
既存薬による治験について（慶應義塾大学岡野栄之先生）
HGF 治験について（東北大学青木正志先生）

専門的な内容を多く含むため詳細は省きますが、それぞれの観点での研究の根拠や、現在行われている治験のスケジュールや開発段階などを聞かせていただきました。

研究者の方々が、沢山の患者さんの診療をしながら慎重に試験を重ね、トライアンドエラーを繰り返し、難題に取り組み続けておられることに敬意を表します。
患者さんの多い病気だと薬自体の需要が多く研究資金も集まりやすいのですが、ALSの治療研究は決して恵まれた環境の中で行われているものではありません。

私たちには理解が及ばない点も多く難しい内容ではありましたが、勉強会を通じてわかったのは、いま全国でALSに関する様々な研究がされ、治験が行われ、沢山の方がALSの治療に向き合っているということ。

いろんな治験が進んでいますが、どれもまだ完全に治せるとは言えません。
様々なアプローチによる研究が進められる中、せりか基金が支援をさせて頂いたタンパク質やゼブラフィッシュの研究もとても貴重です。
少しずつではありますが、よりALSに対する理解を深め、患者さんや研究者の方々の希望になるような「せりか基金」にしたいという気持ちが膨らんだ一日でした。

今後の研究が進むことへの期待と、一日でも早く治る日が来ることを願って、せりか基金の活動を続けさせていただきます。

嶋守さん、お声がけ頂きありがとうございました！