【KAGAYAフォトエッセイ『一瞬の宇宙』】はじめに 空の宝探し | 『宇宙兄弟』公式サイト

【KAGAYAフォトエッセイ『一瞬の宇宙』】はじめに 空の宝探し

2018.07.12
text by:編集部コルク
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『宇宙兄弟』の公式サイト連載がきっかけで出版されたKAGAYAさん初のフォトエッセイ、『一瞬の宇宙』。

忙しかったりつらかったり、悩んでいたり、ひたむきにがんばっている方にこそ、ほんのひと時でいいから空を見上げてほしいーー

宇宙兄弟公式サイトでは、世界中で星空を撮り続けるKAGAYAさんのこのフォトエッセイを大公開します。

「空をご覧ください」

これは、わたしがいつも情報発信をするときに添える言葉です。

空を見上げることは、とても簡単で誰にでもできることですが、忙しい日常ではなかなかできなかったりするものです。

けれど、忙しかったりつらかったり、悩んでいたり、ひたむきにがんばっている方にこそ、ほんのひと時でいいから空を見上げてほしいのです。

「空をご覧ください」

はるかな宇宙の姿が見えるから。

わたしたちは夜空を見上げるだけで、地球の外に広がる遠くの星々の世界を見ることができるのです。これはれもない宇宙の姿です。夜空は頭上に大きく開かれた、宇宙を見渡す窓なのです。誰もがすでに宇宙の観覧席にいるのです。

「空をご覧ください」

それは今しか見えないから。

太陽、月や星、空の雲は絶えず動いていて、その組み合わせでつくられる光景は、今この一瞬にしか見られない一期一会のものです。永遠に続く、二度と同じ繰り返しのない宇宙の舞台。名場面の中にはあらかじめ日時がわかっているものもあって、それをみんなで一緒に見られたら素敵だなと思います。

また、偶然すごい場面を見かけたらそれを誰かに知らせたい。遠く離れていても同じ空を見上げることができるから。

「空をご覧ください」

それはわたし自身がいつも空から勇気をもらっているから。

夜空を見上げて大いなる宇宙の姿を見たとき、自分の小ささや弱さを知ると同時に、自分もこの宇宙の一部なのだと思えるようになりました。わたしはつらいとき「この宇宙に生まれてこられたことの幸運に感謝」して、落ち着いて前に進むことができるようになりました。空から勇気をもらっているのです。

空を見上げることをきっかけに広がる世界は果てしなく、人の心を少なからず豊かにすると思います。

わたしが様々な光景を求めて旅するのは、そんな空からの贈り物をみなさんと一緒に楽しみたいからです。この本ではそんな空の宝探しの旅がどんなふうだったか、そこで何に出会ったか、発表している写真にたどり着くまでのことを思いつくまま書いていきます。

一人でも多くの方が、空を見上げるのが好きになることを願って。

 

KAGAYA

(つづく)

 

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KAGAYAプロフィール
1968年、埼玉県生まれ。
絵画制作をコンピューター上で行う、デジタルペインティングの世界的先駆者。
星景写真家としても人気を博し、天空と地球が織りなす作品は、ファンを魅了し続け、Twitterフォロワー数は60万人にのぼる。画集・画本
『ステラ メモリーズ』
『画集 銀河鉄道の夜』
『聖なる星世紀の旅』
写真集
『星月夜への招待』
『天空讃歌』
『悠久の宙』など