担当編集コムロとムネのトークショー「宇宙兄弟制作裏話」をレポート!
「キャラクターに会いに行く。」
「ストーリーはキャラクターが動かしていく。」
漫画家・小山宙哉は、『宇宙兄弟』を執筆する際、そのように表現します。40巻で多くのファンを興奮させたセリフ「We are Space Brothers」も、小山が主人公・ムッタに会いに行き、受け取ったものとのこと。
そんな『宇宙兄弟』の制作裏話が満載のトークショーが3月28日に阪急うめだ本店で開催されました!今回は、その一部をご紹介します!
◎打ち上げシーンにいた、あの人は
コムロ:
みなさまこんにちは。
阪急うめだ本店さんで宇宙兄弟のイベントを開催させていただくのは、もう3年目になります。宇宙兄弟担当編集のコムロです。
担当編集と言っても、作家さんによって仕事は全然違いますよね。主に、ストーリーを作る相談相手になる編集者もいるし、資料を集める編集者もいる。
作家さんのマンガの作り方は千差万別で、それに合わせて編集者の仕事も多岐に渡る。なので、編集者の仕事について聞かれると、けっこう説明が難しいですよね。
小山さんの場合は、小山さんの脳内と現実世界を繋げるサポートが、担当編集の一番大きな役割かなと思いますね。必要に応じて動いています。
ムネ:
担当編集のムネです。
僕は、宇宙で何かが起きたときに対処する方法や地球との違いなどを、JAXAや専門家に相談した情報を小山さんに伝える担当をしています。あとはコヤチュー部プレミアムや、オンラインコヤチュー部室で、ファンの方たちとわちゃわちゃしています。
コムロ:
さて、今日は宇宙兄弟40巻のことを話していくのですが、まだ読んでいない方がいたら、耳をふさいでおいてださい(笑)。
この方、みなさんご存知ですか?
ムネ:
NONSTYLEの井上さんですね。
コムロ:
そうです。2019年の秋に、東京の神田明神で開催したイベントで小山さんと井上さんが対談したのがきっかけでしたね。神田明神ということで、井上さんに願い事を書いてもらったんですが、「宇宙兄弟に出たい」と。
モブでもいいから出してほしいって。打ち上げでロケットをぼーっと見ているやつとかでいいんですって、おっしゃってたんですよね。
ムネ:
そのままですね(笑)。
コムロ:
そう(笑)。小山さんに聞いたら「そう言ってたんで」って(笑)。まさか本当に出れるとは思っていなかったと、井上さんご本人も喜んでいらっしゃいましたね。
ムネ:
小山さんはよく、身近な人や知り合いをマンガの中に描いてますよね。40巻だと、宇宙開発全般を監修してくれている山方健士さんも登場していますね。
コムロ:
3月で交代されますが、報道ステーションの富川キャスターも37巻で登場していますよね。南波家に父と母の取材にきたキャスターとして描かれています。
ムネ:
41巻にもいろんな人が出てくるので、また話したいですね。
◎小山宙哉は「キャラクターに会いに行く」
コムロ:
毎巻何人か、出てきます(笑)。小山さんは、ストーリーとあまり関係がないところで遊ぶんですよ。遊び方も、独自にあみ出しています(笑)。
さて話を進めて、最後のほうの話をしましょうか。
ムネ:
このシーンでは、月から見える地球にどれくらい影がかかっているかを調べるのが僕の仕事でした。
コムロ:
そう。そういうのを調べるのがムネの仕事なんです。
ムネ:
あと、ヒビトが着ている宇宙服はオーランという、ロシアの宇宙服をモデルにしています。宇宙飛行士が火星で生活するための訓練で使われていた宇宙服なんですよ。
この宇宙服にどうやって入るのか、とか、宇宙飛行士が入ったときに視界に入るものが何かを聞かれるわけですよ。小山さんに。
それを、すぐ調べます。
こういうシーンで、たくさん資料をお渡しするのですが、小山さんは目の前にない背景を描くために、想像力をはたらかせて描いているんですよね。すごい。
コムロ:
そういう資料を知っていくと、ヒビトがどんな気持ちで着ているのか、どういう動きをしていくのかが、脳内で鮮明になっていくらしいんです。
そうすると、ヒビトの方からセリフが出てくるというふうに小山さんは言っていますね。
キャラクターに出会って、ストーリーはキャラクターが動かしていくものだっていう作り方です。
ムネ:
キャラクターが触れているもの、履いているもの、見ているもの、五感全部を資料にしてお渡しして、小山さんがそこからキャラクターの中に入っていって、全てが動きだすんですね。
コムロ:
そう。「会いに行く」っていうふうに言われますよね。一番近い表現が、「会いに行く」だと言われていて。ムッタに「こういうときなんて言う?」って聞きにいく。ムッタが「We are Space Brothers」って言ったからそうなんだって。
ムネ:
39巻で、ヒビトが月に行く前にNASAに行って、昔の同僚たちにあいさつするシーンには、僕らもびっくりしたんですよね。小山さんに聞いたら、小山さんも「ヒビトが行くって言って僕もびっくりしました」って言ってましたね。
◎「あと一話入るんですか!?」
コムロ:
本当にそう言うんですよ。
そこがマンガ家という仕事をされている方と我々との大きな違いだなと思います。
そうそう。小山さんは、375話で単行本収録分は終わりだと思ってたんですよ(笑)。※実際は376話まで40巻に収録。
ムネ:
「あと一話40巻に入るんですか!?」って。
コムロ:
演奏でいったら、じゃーんって弾ききってるんですよね。「単行本はここで終わりじゃーい」って描いて出したら、「あと一話あります」っていう。
ムネ:
どないしようって思ったって言ってましたよね(笑)。
確かに、これ描いたら終わりだと思うんですけどね(笑)。
コムロ:
このネーム見た瞬間に、「もしかして、小山さん40巻ここで終わりだと思ってるんじゃないか」って、慌ててアシスタントさんに連絡してね。そしたら、小山さんも終わりだと思ってた。
それで、そのあと描いた話がですよ……(つづく)
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小山さんから376話のネームを受け取ったコムロとムネ。この続きでは、そのときの衝撃を語っています!
他にも、初代担当編集のサディこと佐渡島さんから聞いた、小山さんとの”約束”のエピソード、小山さんのこだわりを感じる背景の修正エピソードなど、貴重なネーム画像とともにおしゃべりしました。
全容は、コヤチュー部プレミアムで!
その他にも、小山宙哉のラクガキ漫画や宇宙兄弟イラストが掲載されているギャラリーや小山宙哉による制作シーンの配信など、ファンクラブでしか見れないコンテンツをたっぷり公開しています!
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