ロケットはひとの手と心でつくられている。ーH-ⅡBロケット打上執行責任者が感じる、仕事のやりがいとは?【激レアバイト】
私は元々宇宙が好きで、今は大学で地球惑星科学を学んでいます。
大学で学んでいることをもっと楽しく吸収できるかもしれないと思い、この激レアバイトに応募しました。
今回打ち上げ予定のH-ⅡBロケットの説明とその機体公開のあと、ロケット打ち上げの責任者である三菱重工の二村さんにお話しを伺いました。ロケットを間近に見ることができて、それを実際に打ち上げる方にインタビューさせていただき、この記事を書いている今もまだ胸がどきどきしています。
今年宇宙へとびたつH-ⅡBロケットとは?
今回取材したH-ⅡBロケットについて知ることのできた情報を私なりにまとめたいと思います!
今回のH-ⅡBロケットは6号機になり、宇宙ステーションへ物資を送る補給機「こうのとり」を搭載して宇宙へ飛び立ちます。H-ⅡBロケットは今年2月に打ち上げられたH-ⅡAロケット30号機と同じように液体水素を使ったエンジンを利用しています。ただH-ⅡAと違うのは第一段についているエンジンが1つから2つになったということ、それに伴って使う燃料が増え、第一段の長さが1m、太さも一回り大きくなったということだそうです。
話を伺った三菱重工の二村さんとH-ⅡBロケットの模型。
下の長い部分が第一段、くびれの部分が第二段、
一番上の部分がフェアリングという貨物を載せる場所。
2つ搭載されたエンジン
軽く!安く!質を高く!のために
見た目はあまり変わっていないようでもロケットは少しずつ少しずつ進化しています。1g単位の軽量化とコストダウンにつなげていき必要最低限で最大の性能を発揮させることを目標に日々研究をしているということで、さまざまなところに人の知恵や熱意を感じました。第一段エンジンに化石燃料ではなく液体水素を利用しているのも水素が軽く、またクリーンな燃料であることが理由ということでした。
いらなくなった部品はどうなるの?
ロケットの部品はいらなくなればそのたび切り離されていき、それらは迷惑のかからない海に落とされるそうです。
過去にはその時使っていたH-Ⅱロケットが2回連続失敗したときにエンジンを海底から拾って原因を究明しようとしたこともあったそうで、そういった経験も今の打ち上げ成功率97%につながっているのだろうと感じました。
人がかかわっていると体感したこと
機体公開のために工場にはいったとき、ロケットの大きさにまずびっくりしました。その次に印象的だったのはその機体や工場のいたるところに「頭上に気を付けろ」とか「この順番に動かせ」といった注意書きがテープで貼られていたことです。「ああ、本当に人が手づくりしているんだ」と体感できてとても面白かったです。
工場内にある注意書き
ロケットを打ち上げるときの思いとげんかつぎ
二村さんはロケットを打ち上げるとき最後にGOサインをだす人です。色々な部門の人から状況を聞いて最終的に1人で判断する瞬間は孤独な闘いだけれども、ロケットが打ちあがった瞬間それまでのしんどさがリセットされてもうHAPPYになる、とおっしゃっていました。そういったメリハリのある仕事はなかなかない、ということでとても誇りとやりがいを持っていると思いました。
またロケット運搬用コンテナに京都にある飛行神社のおふだを貼ったり、二村さん自身は打ち上げの前日喝を入れるという意味でカツカレーを食べたりといったげんかつぎもするということで、とても心がこもった仕事であることを感じました。
宇宙にかかわりたい
初めに述べた通り、私は宇宙にかかわっていきたいと思っています。たぶんそういった人は少なくないと思い、二村さんに何が大切かを聞きました。答えとしてはまず語学力。さまざまなフィールドの人と国際協力をしていくためにもっとも重要で、必要な知識は都度学んでいけばいいそうです。
興味あることを深く掘り下げていく意志、そしてその半ばでめげない心があれば後はどうとでもなる!という熱いメッセージをいただくことができました。
(激レアバイト 参加者 Uさん)
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