NMB48山本彩が語る ムッタに教えてもらった“仲間と歩むこと”
小山 初めて『宇宙兄弟』を読まれたのはいつでしたか?
山本 2012年です。ミュージックビデオの撮影をしたときに、隣のスタジオで『宇宙兄弟』の映画を撮影していて。それがキッカケで読み始めました。
小山 読んでみて、いかがでしたか?
山本 あっという間にハマりました。私自身、グループの一員であるからか、自分に向けて言われているようなセリフが多いんですよ。印象的なシーンはスクショで撮って、ちょっとブルーな時に見返しています。
小山 それは嬉しいですね。たとえば、どんなセリフですか?
山本 いっぱいあるんですが……。日々人がムッタに言った「宇宙行くの夢なんだろ諦めんなよ もし諦めきれるなら そんなもん夢じゃねえ」(2巻P95)とか、「そうだな 世の中には“絶対”はないかもな でもダイジョウブ 俺ん中にあるから」(7巻P39)とかは、すごく印象的でした。
自分の中に揺るぎない軸があるということは、すごく大事なこと。私も自分のやりたいことをやっていますが、ときには心が折れそうなときがあるんです。それでいったん離れたとしても、ずっとモヤモヤが残り続けますよね。そのモヤモヤこそ、実は自分の軸というか、大切なものだと思うんです。それがあるからこそ、自分はあきらめずに頑張れるという……。
小山 おお。日々人推しですか。
山本 ちょっとネガティブで考え過ぎちゃうところがあるので、私自身はムッタ寄りなんですよ。だからこそ、日々人のプレッシャーを楽しさに変えられるところはすごく参考になります。カッコイイですよね。
小山 ほかに、カッコイイと思うのは?
山本 う〜ん、迷いますねえ。……新田さんかな。理由は弟に対する思いです。夢を投げ出せるくらい、人を大切に思っている心が素敵。あと、真壁さんの家族に対する思いにもグッときますね。私も、そういう人に守られたい、って思っちゃいます。
小山 山本さんはNMBのほかに、ソロでのライブやバラエティにも出てて、曲もつくっている。非常に多才ですよね。正直、アイドルに対するイメージが変わりました。キャプテンとしても大活躍ですし……。
山本 NMBには3つのチームがあるんですけど、それぞれのリーダーのカラーによって、雰囲気が全然違うんですよ。『宇宙兄弟』の宇宙飛行士たちもそうじゃないですか。そこも、「自分たちと似てるなあ」って。
小山 常に審査される、ってのも同じですね。
山本 そうなんです! 先のわからない審査が続いて、どこを評価されているのかもわからないのも同じなんです。ムッタたちと重なりますよね。でも、自分が審査する側になって初めて、大切なのは歌やダンスなどの技術じゃなくて、その人そのものを見ることなんだな、と気づきました。一緒にやっている仲間たちはみんな光るものをもっているだけでなく、グループへの熱い愛があるんです。
小山 そこも、ムッタたちと同じなんですね。山本さんは8年間、どんな気持ちでリーダーを務めてきたんですか?
山本 リーダーとして一番大切なのは、空気づくりだと思っています。みんな同じくらいの熱量で、同じ目標を見つめていく雰囲気をつくっていく。溝口さんが試験に落ちたとき、「理由は仲間を頼らなかったから」と示唆されるじゃないですか(8巻P41)。ライブなんかも同じで、1人で考えるとだいたいいい結果にならないんです。みんなの意見を聞いて一緒につくり上げていったほうが、絶対にいいライブができるんですよね。
小山 僕もチームでものをつくっているので、空気づくりっていうのはすごくわかります。しょうもないイタズラをしてそのリアクションを動画にとったり、いじられキャラのメンバーをいじってみたり、なるべく明るい雰囲気にしておきたいな、と。
山本 リーダーのカラーは本当に大切ですよね。今回、新書『宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない』の推薦コメントを書かせていただいたのも、仲間と歩むことの大切さを再確認できたから。ムッタの周りには、常に人が集まってきますよね。私も、そういうリーダーになっていきたい。人としてもキャプテンとしても、グループで生きる人間であることを大切にしたいんです。「山本彩が好き」ももちろん嬉しいんですが、「山本彩がいるNMB48が好き」と言われたほうがもっと嬉しい。ソロでの経験はチームに還元できると思うので、そちらも頑張っていきたいです。もちろんしんどいときもあると思うんですが、そんなときは『宇宙兄弟』を読んで、元気をもらいます! 何も考えずに「ぷっ」と笑えるシーンがたくさんあるので、すごく楽になれるんですよね。
小山 ありがとうございます。僕もそろそろ、「いい感じで終わりたいな」ということを意識し始めていて。描き切れていないキャラもいるので、スピンオフも描きたいですね。そのときは、新田のやつも、ぜひ(笑)。
山本 はい、ぜひお願いします!
(「コヤチュー部会報誌」vol.3より 2018年4月発行)
------
宇宙兄弟公式ファンクラブで発行している「コヤチュー部プレミアム会報誌」では、六太役を演じた声優・平田広明さんなどゆかりのある著名人へのインタビューを掲載しています。