43巻発売記念!“新巻祭”作者と語ろう配信レポート【前編】 | 『宇宙兄弟』公式サイト

43巻発売記念!“新巻祭”作者と語ろう配信レポート【前編】

2024.02.08
text by:編集部コルク
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2023年10月29日、宇宙兄弟43巻の発売を記念して“新巻祭”が開催されました。

小山宙哉の仕事場から2時間以上にわたって中継された「祭り」の様子を記事としてお届けします。

視聴者から43巻に関して寄せられた質問に、小山宙哉さんがドシドシ答えていきます。

配信はこちらからお楽しみください

ここからは、配信内のやりとりを中心にお送りします。

オープニングトークで本日の企画を発表

コムロ:はい、始まりましたね。こんにちは。『宇宙兄弟』スタッフ、コムロでございます。こんにちは、もう始まっております。小山宙哉さんも今日は来ていただいております、こんにちは。

小山:こんにちは。

コムロ:皆様こんにちは。またあのアロハシャツを見られるとは!

小山:同じやつを着ています。単行本の色塗った時と同じ色やからね。
(43巻単行本着彩はこちら)

コムロ:単行本繋がりで。じゃあもう43巻といえばこれなんですね。

小山:まあね。ターコイズで。

コムロ:本当かどうか知らないけど、このアロハシャツの色を見て、塗るときに(43巻の表紙イラスト)この色塗られてたんですよね。で、今この単行本がこの色味の状態になったということです。

ムネ:時計のバンドも。

コムロ:そうなんですよ。

小山:色も合わせております。

コムロ:早速始めていきたいと思います。新巻祭りというタイトルで。今までコヤチュー部プレミアムというファンクラブの方で新巻祭をやってきていましたが、今日は誰でも見られる形式の配信でございます。新巻の裏話や、プレミアム会員限定にはなりますが、会員の中から電話をつないで生電話をするという企画もあります。あと事前にいただいた質問に答えたり、コメントの質問にもお答えできると思います。今日もよろしくお願いいたします。

小山:お願いします。

コムロ:放送のスクショはOKということになってましてね、小山さんのスクショとか(笑)

小山:スクショしてどうするん?

コムロ:描いてる姿もこの後に写りますので、スクショとかしていただいて。X、旧TwitterとInstagram両方で感想や実況などをしていただくことを大歓迎しております。
と言うことで、「宇宙兄弟43巻」、「宇宙兄弟新刊祭」というハッシュタグがありますので、2つのハッシュタグをつけて感想等つぶやいていただくとスペシャルなプレゼントがあります。
スペシャルなプレゼントが何かというのは後ほど発表させていただきます。
ということで、新巻の内容で質問を温めてきましたよという人は、そのままコメントの方に書いていただいて。事前にいただいた質問についてお答えしていこうかなと思いますので、じゃあさっそく時間の許す限り。

小山:行きましょう。

視聴者さんからの質問コーナー

Q1.396話で3ページ以上にも渡り、ヒビトが消化器を扱うシーンが描かれていて、このシーンはとてもリアルに感じました。こういうリアルなシーンを描くときにはどういう取材をされるのでしょうか? また、このシーンは特に細かく描こうなどページの配分を決める際にはどんなことを考えていらっしゃるのでしょうか?

小山:まず調べてもらったのが、NASAロシアで使っている消化器ですね。宇宙飛行士が使うような消化器について情報をもらって。一般的な消化器だと、消火剤みたいな煙みたいなのが出ますよね、粉みたいな。あれの代わりに泡が出る感じかな、泡状の消火剤が出る。その泡で消していくという動画を観たりとか。動画を1番参考にしたと思いますね、このシーン描くときは。

コムロ:実際に宇宙飛行士が使ってる消火器が何かをまずは聞く。そして、それをやっている動画を観る?

小山:そうそうそう。

コムロ:じゃあ割と本当に本物に近いものを描かれていると。

小山:そうですね。見た目もこんな感じでしたね、資料見て。えっと3ページ使ってっていうのはヒビトが噴射してからの事かな?これはまあ、割と火の勢いがあるっていうのと、泡をかけながらも隙間からちょっと火が漏れてたり。火が割としつこい感じっていうのを演出したかったっていう。すぐに消えない感じなので、ちょっと割としぶとくコマを割って長めに取りましたね。

コムロ:そうですよね。

小山:だから体感として火を消すのにちょっと時間かかってるなという。手こずっているなという感じを演出したかったということですね。

コムロ:質問されていらっしゃるように、このシーンは長く描こうというかね、ページを割こうとして割いているということではあるじゃないですか。そのページの配分をね。

小山:配分というか、全体のストーリーもありますから。そういう時はね、コマをちょっと多目に割るという感じでやってますよね。だからこのページとかね、結構多い。

小山:わりと細かくコマを割って、ヒビトの目のコマとかを小さく入れたりして、コマを増やして多めにしています。コマが多いと体感としては長く感じるので、多めにして。ページ数をできるだけ増やしたくないけど、時間をたっぷり見せたときはコマを増やすっていうやり方です

コムロ:ここのシーンはしっかり見せてるなって感じたっていうのは僕も一緒で、ページ数で見せる方法とコマ割でみせる方法もあるんだと。すごい。

小山:大きく見せたいコマとかもあるので、そのためにページを取っておかないといけないかったりするので、同じことをやってるようなコマは別に大きく描かずに、ちょっと小さめのコマで連続して時間を調整する感じですかね。

コムロ:その後のページで管制室のモニター越しにヒビト達が映っているコマとかもあって、ここでも一応消火を進行しているように見せてるじゃないですか。

小山:そうですね。時間かかっているっていう。

コムロ:管制室の様子も込みで使える、1コマで伝えようとする感じで。すみませんね、コヤチュー部プレミアムのノリで配信しているので、かなりコアな場面から入ってくる可能性があるんですけど。皆さんもね、単行本を観ていただいて。作者だからページ見せ放題なのありがたい(笑)作者がページを見せるの禁止だった大変ですもんね。

小山:フフ(笑)

コムロ:今みたいな細かい質問をいただいて、答えていくということを今までプレミアムの新巻祭でやってきましたので、質問はこんなの聞いていいのかしらと思うものでも書いていただいて大丈夫ですので。

小山:大丈夫ですよ。

コムロ:どんどん書いてくださいと言うことでございます。情報をぎゅっと詰めてわかりやすくして、漫画を進めていくということに、すごく力をかけていらっしゃる。伝わるか否かみたいなね。

小山:うん。だからここも普通に描いたらヒビトがブシューとやってバババと火ところに消火剤が飛んで、次のコマでもシューって消えてるみたいな。

コムロ:はい、そうっすね。

小山:それがまあ、普通のやっていることを描くと3コマで出来ちゃうんですけど。火がしぶといぞとか、ヒビトは真剣な感じで消してるぞとか、そういったところを含めるためにいろんな角度からね、アングルを変えたりして消火剤を噴射している同じようなコマを連続して入れてるっていう感じですね。

コムロ:「火が消えづらいのは感じました」というコメントもいただいてます。はい、ありがとうございます。どんどん行きましょうか。

Q2.以前、小山先生はユーモアをなるべく入れるようにしてるとお話しされたと思うのですが、最近の展開の中ではどうお考えでしょうか? 先生自らクライマックスというだけあって、43巻はとてもドキドキするシーンが続いています。そんな中400話でのモジャモジャ考えてしまって寝られなかったムッタを見て何だかおかしく、思わず笑ってしまいました。

小山:うん。そうですね、基本入れられるところには入れたいなと。思ってます。

コムロ:はい。

小山:なんか入れても大丈夫そうなところ(笑)展開的にシリアスが強めになってくると、そこでギャグの入れ方にもよりますけど、キャラクターが緊迫感を感じてないなっていう風に見えたら良くないんですよね。だから、この状況でそんな冗談言ってへんとか、そんなこと考えられないっていうようなギャグは入れられない、ただそうじゃない関係ない部分であれば入れられたりしますし、まあ状況に応じて隙あらばって感じです。

コムロ:できるだけは入れたい?

小山:そうですね。緊迫感があるシーンが続くので、あんまりふさわしくないというか、入れるタイミングというか、それがやっぱりちょっと減ってきますよね。読者の緊迫感がちょっとそがれるとか、まあ1番よくないのは登場人物に対しての印象というか

コムロ:なるほど

小山:普通の人の感覚だとそんな余裕は持てないよね、とかね。

コムロ:こういう状態でね。

小山:そうそう。そこが1番注意しないといけないところですね。

コムロ:じゃあその400話の、モジャモジャ考えてしまったっていうムッタのところで、笑っちゃいけないけど面白いみたいな感じじゃないですか、すごい緊迫してるけど。

小山:はい。

コムロ:このモジャモジャ考えてしまうとか言ってるのは結構天然みたいな感じなんですかね?ムッタはこういうことをすぐ考えちゃう人みたいな。

小山:そうだし、ここはまだ落ち着いているというか。そんな今やばい!みたいな、今の瞬間やばいみたいな感じではないので

コムロ:じゃあ小山さんなりの入れ方ですね。

小山:はい。ムッタがその時にどう思いそうかっていうことが1番なんで、ここはこう考えそうだなっていうのを優先してっていうところを考えています。

Q3.402話を読んだ時に衝撃を受けました。脳内再生できるほど何度も見た世界一大好きなコントに登場する架空のキャラクター、女宇宙盗賊クリムゾンメサイヤが登場したからです。 どういった経緯でクリムゾンメサイアを登場させることになったのかなどの登場秘話をぜひお聞きしたいです。 正直、衝撃すぎて気を取られ最初によんだときは話の内容が入ってきませんでした。

小山:あかん、あかんことしてる(笑)

コムロ:同じようなメール5通はきてます。

小山:ははは(笑)すごい。

コムロ:はい、なんでですか先生?みたいな嬉しい人ばっかりなんですけど。

小山:いいですね。

コムロ:なかなかの反響がありました。

小山:さっきの話で言うと話が入ってこないというのは逆効果(笑)

コムロ:2個目の質問と矛盾してるんですけども(笑)

小山:そう矛盾してるんですけど、ここに関してはね。

コムロ:このぐらい好きな人がいるってことですね。

小山:分かりますよ。僕も好きですからね。

コムロ:はい、じゃあ経緯をお話しください。

小山:今回この話でグレゴリーとゾーヤというキャラが出てきますけど、この新キャラを描くにあたって、ゾーヤのキャラクターを考えてる時に、ロシアの人ですけど日本の女性ヒーローもののキャラクターが好きっていう設定にしようかなと。で、机の上にそういう何かキャラクターグッズを置いて、自分のモチベーションを上げるみたいな、実際にそういう風に働いているあの外国のクリエイターの方とかいらっしゃるっていうのをなんかで見て。女性戦士みたいなの考えたんですよ、僕も。

コムロ:自分でまず作ろうとした時期があったと。

小山:そう、考えて。いろいろね。だから、マーベルヒーローの『ミズマーベル』とかいるじゃないですか。ああいうのイメージしてたんですけど、ちょうど考えてる時にYouTubeでね、ラーメンズをみたんですよ。何気なしに見てて。

コムロ:それを見ようとしたわけじゃなくね。

小山:忘れてたんですけど、クリムゾンメサイヤって言う存在は。「名は体を表す」っていうコントを見たんですよ。

コムロ:「名は体を表す」という名前の公開されるコントですね。

小山:タワーっていうシリーズかな。そのコントDVDを持ってるんですけど、まあYouTubeで見てて、なんか久しぶりに見る感じで見てたら、クリムゾンメサイアが出てきて、しかも女宇宙盗賊。「宇宙」入ってるんですよね、ちゃんとね。

コムロ:入ってる。

小山:あっ!ってなって(笑)これいいなってなって、クリムゾンメサイヤっていうその名前の響きが素晴らしいですから、まあ最初のその段階ではまだね、これのパロディでもいいかと思って考えたんですよ。

コムロ:パロディをしようと。

小山:だからクリムゾンって色の名前なんで、僕もいろんな色の名前調べたんですよ、カッコよさそうな。

コムロ:なんて言うんですか?紅っていうか濃い赤みたいな感じでしょう。

小山:クリムゾンは濃い赤なんですけど、そういう感じの良い響きの色を僕も調べて。ヴィリジアンとか(笑)

コムロ:ははは(笑)

小山:ヴィリジアンなんちゃらみたいな(笑)とかね、カーマイン何ちゃらとか、マンダリン何ちゃらとかね。いろいろ考えたんですけど、クリムゾンメサイヤより良いのが中々できなくて、というかクリムゾンメサイヤ気に入りすぎて(笑)

コムロ:勝るものがなかった(笑)

小山:ないし、その演劇の中ではビジュアルを説明してくれるんですけど、セリフでね。ビジュアル自体が出てないので、もう描いてみたいなあっていう。

コムロ:どんどん描いてみたくなってきた。

小山:具体的な説明があるんで、これ書いた方が面白いなって、描きたくなったっていうのがあって。で、担当のユヒコさんに、小林賢太郎さんの事務所の方に連絡取ってもらって。

コムロ:そうですね。

小山:こういう経緯があって描いてもいいですか?みたいなことを聞いてもらったら「いいですよ」と。

それでこれはうちでちゃんと描こうと。で結構ね、割と演劇の説明をよく聞いて、あのポーズとかもよく見て再現してみたんですけど。

コムロ:描いてみた人は初めてなんじゃないかっていうか。

小山:漫画でね。漫画で出した人は初めてかもしれないです。でも、好きな人は結構いっぱいいるっていうのが描いてみて。皆さん好きなんだなって言うのは。

コムロ:描いた後に読んできた人から反応でより知ったと。

小山:ほんでね、昨日の話してもいいですか?昨日はムッタの誕生日ですけど。この件もありまして、小林賢太郎さんの方から舞台のお誘いいただきまして。

コムロ:そうなんですよね。

小山:声優の木村昴さんと、浅沼晋太郎さんの2人が主演の舞台なんですけど、それの脚本演出を小林賢太郎さんがやってるという舞台で。それを見に行かせていただきました。

コムロ:昨日ね、ご招待いただいて、『オムニバース』という名前の。

小山:そうそう、『オムニバース』というタイトルの演劇。

小山:浅沼晋太郎さんは、『宇宙兄弟』のアニメでも溝口役で演じてくださった声優さんですね。『THE FIRST SLAM DUNK』で花道役をやった木村昴さん。

コムロ:ジャイアン。

小山:ジャイアンもやってたね。この2人の演劇なんですけど。

コムロ:そうですね。

小山:めちゃくちゃ面白かったですよ。

コムロ:小林賢太郎さん作で演出。

小山:小林賢太郎さんご本人は出てらっしゃらないですけど、ちゃんと小林賢太郎さんを感じるというか、そういう面白い舞台になってて。僕みたいにね、ラーメンズ好きな人とかね、めちゃくちゃ楽しめると思いますけど

コムロ:大興奮(笑)。

小山:めちゃくちゃ面白かったですよ。

コムロ:賢太郎さんと終わった後もお話ちょっとされましたよね。

小山:クリムゾンメサイヤのお礼をしようと思って、最後挨拶だけ行ったんですけど、演劇が素晴らしかったんで、そっちに夢中になってクリムゾンメサイヤのこと僕すっかり忘れてた(笑)

コムロ:小山さんから言おうと思ったのにね(笑)

小山:そう思ってたんですけど、小林賢太郎さんの方からクリムゾンメサイヤありがとうございますって言ってくださって、すごく嬉しいと言ってくださって。僕もね、それが嬉しかったです。

コムロ:可愛がってやってくださいっておっしゃってましたね(笑)

小山:嬉しいですね、もうちょっとゆっくり話したかったんですけど。とにかく公認いただいたということで。

コムロ:ここのシーンの反応は本当にすごかった。カマンチョメンガーもすごいといってて、みんな知ってるんだなーっていう感じでやっぱ好きな方が多いんですね。

小山:喜んでもらえて良かったです。

コムロ:43巻の見どころの1つじゃないかなというふうに思います。深いコラボレーションありがとうございます。じゃあ次行きます。

Q4.現在のムッタ達の置かれている状況を、月からの期間中に火災が発生し、しかも移動する帰還船の中を乗り移らないといけない、というのは、現実には全く例がない珍しい状況だと思います。小山先生はこんな状況をどうやって考えつかれているのでしょうか?そして考えつかれたとして、その後どうやって取材して描かれているのでしょうか?ダーツとかやってる感覚だなとムッタが言ってるところとか、私は当然ですがこの経験したことがないのに妙に腑に落ちています。

コムロ:どうやって考えてるのか?みたいなね。

小山:どうやって考えたんやろ?まあでも聞いてみたんだと思うんですけどね、監修の人に。こういうことありますか?とか、ムッタとヒビトが2人で宇宙船に乗り移るみたいなことは可能ですか?みたいな、そういう感じで聞いたのかな。どうだったかな?ちょっと忘れましたけど。とりあえずイメージとして、最後に2人にしたいなみたいなのがあったので

コムロ:なるほど。

小山:はい、そこからどういうことになると、割と自然に2人にできるのかなっていうのをいろいろ取材で聞いてもらって、その中でいくつかあった中でこれがよさそうっていうのね、チョイスしていったと思います。

コムロ:そうなんですよね。やっと言えると言うとあれですけど、結構2人になるっていう流れの展開については前から話されましたもんね。

小山:そうですね。

コムロ:今後どうなるんですかっていう質問をよくいただく。さっきもちょっといただいて、何巻まで出るとかね「明言されますか?」って質問もありましたけど、先のことあんまり考えてないんだけど、大枠の何個かは決めてることがありますって小山さんが毎回お答えされてる、その中の1つが2人になるっていうところだったと思います。で、今回の43巻でそれが公開になったというか、その展開に入ったので、みんなにも言えるみたいな感じなんですけど。

小山:そうですね。ダーツとかっていうのは、これはだからどうやったら宇宙船を蹴って移動することが難しいかっていうのを伝えたくて。なんか簡単そうに思えちゃうんで。実際ISSの中では、みんな簡単に移動していて、飛びながら。浮遊してね。すぐ壁があるんで、壁を触ってこう壁伝いに泳ぐっていうか前進するんですけど、今回やろうとしてるのは、動きにくいごっつい宇宙服を着て、分厚いブーツを履いて、その動きにくい状態で蹴って、的であるソユーズの一角を狙うっていう感じは、やっぱ出だしがすべてじゃないですか。

コムロ:はい。

小山:蹴り出しがすべてなんで。それに近いイメージで言うとダーツかなっていうのが浮かんだんで、ムッタもそういう感覚を自分が蹴って船内を移動する練習してる時とかに、そういう感覚に近いなあっていうのを感じて、まあ思ったっていう。

コムロ:やっぱそこの中のシチュエーションぐっと考えて行った時に、小山さんがまず思ったと、ダーツの飛ばしてる感じかみたいな。

小山:そうそう、これは結構難しいぞっていうのを感じた時にその難しさを説明するときに、ダーツがやっぱりわかりやすいかなっていう。

コムロ:小山さんは自分が腑に落ちるまでやるっていうか考えるじゃないですか、絶対に。自分が腑に落ちた表現をするっていうことを必ずやられるんで、ムッタが「ダーツみたいなもんか」って言ってたら、もう小山さんがそうまずそう思ったっていうところが大きいのかなっていうふうには思いますよね。

小山:うん。

コムロ:もちろんムッタの考え方とかを考えながら言うと思いますけど、もう絶対自分がわかんない事描かないですもんね、小山さんね。

小山:そうですね。

コムロ:自分がわかるまで考えるし質問されますから。

小山:このダーツの説明なかったら、どれぐらい難しいかってことが読んでて伝わらないだろうなっていうのはやっぱあると思うんですよ。ダーツはやったことなくても、物を投げるとかはみんなあるじゃないですか?なんか狙って物を投げるとかね、その難しさはねみんなに伝わると思うので。

コムロ:小山先生はちなみにダーツとかやりますか?

小山:やったことあると思いますけど、ちょっと詳しくないですね。

コムロ:まあ、やる機会がね。

小山:ビリヤードはありますよ。

コムロ:ビリヤードは最近やってたんですか?

小山:最近は別にやってないけど、若いころ。ビリヤードも似たような感じですよね。

コンってやってからそこがすべてですから、スタートが。

ビリヤードでも良かったですけど、まあまあそういう感じですね。

コムロ:ビリヤードは吾妻やってましたよね。

小山:そうですね。

Q5.登場人物でグレゴリーゴーゴリとゾーヤが一気に好きになりました。この緊迫感の中で、クライマックス近くでこんな魅力的な新キャラを出してくるのか小山宙哉と興奮しております。ラジオなどでは色々お話し今までもされてますが、是非とも2人を描いた時のエピソード教えてください。モデルはいるの?どうやってキャラクターを作ったの?など、いつもの誕生秘話のような感じで知りたいです。ゾーヤの苗字も知りたい。

コムロ:グレゴリーゴーゴリですよ。

小山:グレゴリーゴーゴリ良いでしょう。

コムロ:まず名前がいいよね、名前が面白い。

小山:まず、見た目からね。

コムロ:見た目からいってる?グレゴリーゴーゴリ。

小山:ゾーヤも。これもね、ネットでロシア人を調べるんですよ。

コムロ:「ロシア人」て打つんですか?なんて検索する?「ロシア人 男性」とか?

小山:それをロシア語に翻訳して。ロシア語を出して、ロシア人というワードと、例えば俳優とかミュージシャンとかスポーツ選手とか何でもいいですよ、その後は。

コムロ:1個足すんですね。

小山:なんか足すんですよ、やっぱ具体的なほうが出やすいっていうか。

コムロ:人に絞られるようになってくるんですね。

小山:そうですね、女性とか男性とか入れたりして、で、調べて出てきた数々出てくる顔の中から描いてみたいなっていうのを選ぶと(笑)だから似顔絵をまず描くんですよ。ご本人の名前とかは覚えてないです。

コムロ:パッと画像だけ。

小山:顔情報が欲しいだけなので、その出てきたときの名前をコピペして、その人を何枚か出して。

コムロ:あー、なるほ、お名前で何枚か角度出すんだ

小山:それをプリントアウトして似顔絵にして完成させていくという感じですね。だからちょっと変わったりする。髪型を変えるとかっていうのはありますけど、そういう感じでまずキャラデザをするんですけど、多分グレゴリーゴーゴリはロシアの俳優さんかな?コメディアン俳優か。ゾーヤの方はモデルさんかなと思います。で、見た目決めた後、名前はその見た目に合う名前を付ける。まさに名は体を表すなんすよ(笑)グレゴリーって感じするでしょう?あの人。

コムロ:だから、その一旦前モデルにした方の名前とかは忘れていると。

小山:本人の名前は気にしないです、名前はこっちでつける。

コムロ:忘れて、描いた絵だけ見てつけるんですね。

小山:そうそう。で、つけるときも一応ロシア人の名前の一覧みたいなやつを参考にしています。で、選んで。語感と、あと読みやすさとか、あまりにも長い名前は吹き出しを埋めてしまうので(笑)できるだけ短めのを選ぶんですけど。前にも言いましたけど、このやり方でないキャラはピコだけですね。

コムロ:あー、そうだ。

小山:ピコだけ見た目とは違う、あえてズラしたっていう感じですね。

コムロ:そうですよね。見た目からは出てこなさそうな名前にしたっていうか、反対の。

小山:だからグレゴリーの場合は、もう見た目の感じで選んだっていう感じで。ゾーヤの苗字はでてますよ。単行本、ちっちゃく出てるんちゃうかな。

コムロ:ウソ、マジっすか。僕もこの質問見てね、見てみたんだけど。

小山:うわ、見えへんな。

コムロ:履歴書のところでしょ?

小山:あのね、402話の1ページ目に右下のコマで。

小山:これね肉眼で僕ね、きつい。ゾーヤ・ラトキナやと思います。

Q6.402話の最後、フィリップがムッタに飛びつくシーン、そしてその後のフィリップの顔で涙腺崩壊しました。小山先生、これは泣けます。 ひとしきり泣いた後の質問です。井上雄彦先生が花道が山王戦でアリウープをする時に「イッ」と合図をするところ。「イッ」合図するところを描くとき、自分の口も「イッ」となるみたいなことをコミックスの間のページで書かれていたのですが、このフィリップの顔を書いている時の小山先生はどんな顔をしていましたか?

コムロ:おっしゃってることはね、良く分かります。

小山:やっぱこの顔ちょっとしてるんじゃないですかね、描くときに。

コムロ:402話の最後です。フィリップお別れのシーンですね。

小山:ちょっとつられるっていうのがあるんですよ。

コムロ:泣けるよなあ、これ。つられる?

小山:まあ確認もあるのかな、自分で口こうやってしわがどう生えるやろとか、そういうのを確認しながら描くんで、描きながらもこの顔にやっぱりなるっていうのは漫画家あるあるじゃないですか。その方がね、本当っぽくかけるっていうのがあって。鏡見る時もありますし。

コムロ:漫画家の皆様は演技をしてるっていうかね、もちろん自分の描いたことだから、自分の中から出てくる感情かもしれないけど、演技みたいなの上手なんですかね、皆さんね。

小山:どうなんですかね。

コムロ:こういう顔しないと確かに描けない。だって、こういう顔どっかで参照するわけにはいかないですもんね。ゴーゴリじゃないから、最初のモデル作るわけじゃないから自分でやるしかないっていうね。

小山:そうですね。

コムロ:気持ちもこういう感じですか?

小山:あー、その方がペン入れる時に、やっぱそういう雰囲気が入ってくると思うんで、それはやりますね。ずっとはしないですよ、この顔。

コムロ:はははは(笑)

小山:ずっとしてたら俺つぶってるんで描けない(笑)時々やるみたいな。だからちょっと力の入った表情とかね、そういう時にはこういう。だから井上さんのも「イッ」いう感じじゃないですか?だから「イッ」の時に口が大きく動くんで、やっぱ確認したくなるっていうのは分かりますよね。

コムロ:読者の方が泣けるなと言ってくださるシーンっていうのがあるじゃないですか。

そういう時は小山さん泣いてるときがあるってこと?

小山:泣きながら描いてるは無いかな。

コムロ:ポロポロまではないとしても、感情的に極まっているときはある?

小山:そういう時もあると思いますよ。

Q8. 消火活動が終わった後、フィリップは好物のカレーヌードル、ムッタはお気に入りのタコスを食べるシーンがありますが、小山先生がもしこれが最後の食事かもとなったときに、食べたいものは何ですか?

小山:なんやろな。

コムロ:最後の食事っていう質問ですけど、まあこういうふうに一段落して。フィリップみたいなにトラブルが一段落して。トラブルがあるのか知らないですけど、小山さんの中に。小山さんのトラブルがね、一段落したり、事故が収まったりした時に「ふー」と言って。

小山:あのシチュエーション的には、一段落というよりは、まだ死ぬかもしれないっていうのがどっかに残ってて、そこで1番美味しいのを食べとこみたいな(笑)

コムロ:その時に小山さんなら何を食べますか?

小山:同じ状況でね。何食べよう?

コムロ:カレーヌードルわかるわと僕は思ったな。

小山:カレーヌードル?

コムロ:カレーヌードル結構いいと思っちゃった。

小山:いいですよね。だから何があるのかっていうことですけど、何でもありなんやったら。

コムロ:もうこれ食べたら後またこんなもん食べれないかもしれない、まあ死ぬかもしれない。

小山:ええなんやろ?

コムロ:何ですか?

小山:なんやろうな、何にしよう……

コムロ:結構考えていらっしゃいますね(笑)

小山:もう本当にね、何も浮かばない。ネギトロ巻きにします。

コムロ:ネギトロ巻きだ(笑)

小山:軍艦巻き。いつも回転寿司でね、最初ネギトロ頼んで、他いろいろ頼んだあと最後またネギトロで締めるっていう。

コムロ:小山さん、僕もです(笑)

小山:本当ですか?

コムロ:あれこういう人多い?もしかして。

小山:ネギトロ挟み。

コムロ:ネギトロ挟みします?やば、本当それでいいです?

小山:はい、ネギトロ巻きにしましょ。

コムロ:次のコーナーに行かせていただきたいなと思います。

後編へつづく