宇宙兄弟賞|1番最初に決めた夢【エッセイプロジェクト】 | 『宇宙兄弟』公式サイト

宇宙兄弟賞|1番最初に決めた夢【エッセイプロジェクト】

2025.11.12
text by:編集部コルク
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宇宙兄弟はじまりの年を記念して、六太がミラクルカーを退社した5月15日に募集開始した宇宙兄弟エッセイプロジェクト みんなの心のノート

「心のノートにメモった言葉」がテーマとなった第2回の入賞作品から、六太賞/日々人賞/宇宙兄弟賞の受賞作品をご紹介していきます!

今回は宇宙兄弟賞受賞作品その4。
受賞者の方には賞品として、小山宙哉サイン入り色紙を後日お送りします。

1番最初に決めた夢(20代 うみ)

私が人生で1番最初に決めた夢は「医師になること」である。

母が看護師をしていたことや、自分が心臓の病気で手術をしたこともあり、何となく医師という仕事がかっこよく見えていた。

だが、小中高と学生時代を送っていく中で、何となく自身のステータスがわかってきて、自分が特別ではないことに気付く。そして、「私なんかがなれるわけないやん」と幼い頃の自分を、自分で鼻で笑った。私はこの夢を「無理なこと」にカテゴライズしたのだ。夢を追う前のムッタのように。

結局、医療の分野には携わりたかったので、地元の大学に進学、理学療法士の資格を取得し、病院に勤務をした。働き始めて、一人暮らしもはじめ、お給料ももらえて、休日は遊んだ。社会人最高。と、思いきや…。

自分が「無理なことゾーン」にカテゴライズしていた医師たちが常に近くで働いているのだ。自分の中ではもう無理なんだと割り切ったつもりでいた。ただ、自分の心の声は「いいなぁ」だった。

迷い始めた。でも、今から目指して何になる?20代は人生のいろんなイベントもあるだろうし、そもそも現役でも医学部なんて無理だった私がもう一度勉強して通用するのか?冷静になれ自分。

もう一度、昔の夢を「無理なことゾーン」にしっかりしまい込んだ。

1年ほど経ち、ある日近くの岩盤浴に行った。休憩所に漫画が並んでいて、その中に宇宙兄弟があった。夢を追うか迷うムッタの姿が自分と重なる。そして、ムッタは迷いながらも覚悟を決め、宇宙飛行士の夢に向かって突き進んでいく。

その中で、私の心を突き動かす、大好きな言葉に出会えた。シャロンが幼少期のムッタに言った、「“どっちが楽しいか”で決めなさい」という言葉である。

ムッタはこの言葉をちゃんと心のノートにメモをしており、試験中の大事な場面で思い出している。

私も私の頭ではなく、私の胸に聞いてみた。
どうやらとっくに決めていたようだ。

「やっぱり医師になりたい。なっちゃえ!楽しそう!」

夢に向かうことを決断するのに1年かかった。

母に医師を目指すことを電話で伝えた。すると母が「どっちかに決める時はワクワクする方を選べばいいのよ」と言った。
宇宙兄弟を読んだことは伝えていなかったのだが、偶然にも同じような決断の仕方を言ってきたのだ。
母の言葉も心のノートにしっかりメモをした。

ムッタのように、心のノートに大事なことをメモして、大事な時に心のノートをめくって、素敵な選択ができるかっこいい大人に私はなりたい。

私は今、人生で1番最初に決めた夢に向かって、自分にとっての楽しい方に向かって、そして金ピカに向かって進んでいる。


ほかの受賞作品はこちらから読めます
六太賞|「悩むなら、なってから悩みなさい」
日々人賞|ひとりきりで見つけたもの
宇宙兄弟賞|宇宙に咲く花
宇宙兄弟賞|心にメモった2人の言葉
宇宙兄弟賞|地球人
宇宙兄弟賞|シャロンに救われた過去
宇宙兄弟賞|母親で、父親で。

ただいま第3回の募集中!テーマは「約束」
「大切な人と交わした約束」「果たせなかった約束」「自分との約束」など…………あなたの中の「約束」の話を教えてください。

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