Les étoiles sont belles, à cause d’une fleur que l’on ne voit pas…
(星々が美しいのは、ここからは見えない花が、どこかで一輪咲いているからだね………)
サン=テグジュペリ『星の王子さま』
想像してほしい。あなたの大切な記憶のことを。 母と手を繋ぎ歩いた幼年期。父に肩車されて見たパレード。優しい祖父母。家族旅行。親があなたに語ってくれた誕生の記憶。もしあなたが親を知らなければ、大切な誰かを想像してほしい。友人と鬼ごっこやゲームをして遊んだ日々。思春期の葛藤。初恋。気のおけない友と飲み明かし羽目を外した夜。出会い。旅立ち。結婚。そして愛おしい小さな命を授かった日。
そして想像してほしい。もし、その記憶がすべてなくなってしまったら? 誰もいなくなってしまったら? あなたは親を知らない。家族も親戚も知らない。自分がどこで生まれたか、どう育ったかも知らない。周りに友人の誰ひとりいない。地平線の果てまで見渡しても、どこにも誰の影形も見えない。
私は誰?
私はどこから来たの?
私はひとりぼっちなの?
そう、あなたは問うだろう。そして探すだろう。その答えを教えてくれる誰かを。あなたのアルバムを大事に保管している誰かを。
地球の生命も似たような状況にある。地球に生命が誕生したのはおよそ四十億年前ということはわかっている。だが、どうやって生まれたのかはわからない。そして我々は地球以外の生命をまだ一つも知らない。我々は四十億年の孤独の中にある。
我々は何者なのか?
我々はどこから来たのか?
我々はひとりぼっちなのか?
わからない。だから我々は探すのだ。宇宙のどこかにある生命を。