【特別公開】KENN×小山宙哉 〜KoyaTube会報誌 特別対談〜「今のヒビトに感じること」〜 | 『宇宙兄弟』公式サイト

【特別公開】KENN×小山宙哉 〜KoyaTube会報誌 特別対談〜「今のヒビトに感じること」〜

2020.01.22
text by:編集部コルク
アイコン:X アイコン:Facebook

コヤチュー部会報誌vol.6に掲載!アニメ『宇宙兄弟』でヒビト役の声優を務めたKEENさんとの対談の内容を大公開します!

かつてテレビアニメ版『宇宙兄弟』でヒビト役を演じたKENNさんが、小山宙哉の仕事場へ遊びに来てくれました!思い出話や声優という仕事のおもしろさ、最近のヒビトの成長した姿を見て思うことなどなど ……。ふたりのお話は尽きることなし、なのでした。

「ヒビトのヤンチャさが声に出ていた」

ヒビトの声はぜひこの人に! テレビアニメ版『宇宙兄弟』の制作が始まる際に、ヒビト役=KENNさんと決めたのは、他ならぬ小山宙哉だったという。

 
小山 ムッタとヒビトの声優さんを決めるオーディションで、何十人もの候補の方の声を聴かせていただいたときのことは、よく覚えてます。KENNさんの声が再生されたとき、すぐに「あ、ヒビトだ!」と思ったんです。ヒビトのヤンチャな面が、声の中にうまく含まれている気がして。
 
KENN ありがとうございます!あのときはたしか、ヒビトが月面で谷底に落ちて、宙を見上げるシーンを録音して送ったんですよ。当時僕は30
歳で、28歳という設定のヒビトと世代も同じだし、声質も特につくらず、ナチュラルに表現しました。「きっとこんな人なんだろう」という想像も、すんなりとできた印象ですね。
 
小山 アニメ化のときは、声優という仕事の一端を覗かせていただけてすごく興味深かったです。不思議に思ったんですけど、声優の方って音を吹き込むとき、どこに意識があるんですか?手に持った台本を読んでいるのか、ブースの中に流されているアニメ映像を見ていのか、それともどこか違うところに気持ちは飛んでいるのか…… 。
 
KENN 目は台本の文字を追ったりマイクの立ち位置、モニターなど色々見ているんですけど、文字を読んでいる気はしないですね。物語の大きな流れはだいたい記憶してますし。たぶん……、演じている人物の感情の動きを、頭の中でつなげているのかな。同時に、衣擦れや紙擦れの音といったノイズを立てないように気を配りますし、アニメ映像の口パクの動きとタイミングを合わせるのも必須です。
 
小山 同時にそんないろんなことを気にしてるんですか。
 
KENN 技術的な面もあるので冷静な自分を保ちつつ、感情を込めてキャラクターを演じます。バランス感覚は大事ですね。でもまあ、みなさんだってカラオケで歌うとき、限られたタイミングの中で文字を見て声を発しているじゃないですか?それと同じかな。
 
小山 いや、難易度が比べものにならないとは思いますけど(笑)。

創作のヒントは日常に転がっている

KENNさんがアニメ、そして映画でヒビトの声を演じてからはや8年。いったん挫折を味わったあと、復活を遂げて月へ向かおうとしているヒビトの変化をどう見ているのだろう?

KENN 演じさせていただいてから、もう8年も経つんですね。僕が演じていたころのヒビトは、どこか頼りなさが残るムッタと対極で、「元気で明るくカッコいい」という面がクローズアップされていたような気がします。でもストーリーが進むにつれて、ヒビトもいろんな挫折を経験したり、思い悩んだりもがき苦しんだりして、より人間臭いところが見えてきた。それで僕は、もっとヒビトが好きになりました。ああそうか、最初から何でもできる完璧な人なんていないんだ、だから自分もがんばろうと改めて思えたんです。

小山 そうですね、最初のころのヒビトは、ムッタとの違いをけっこう強調していた面があったかもしれない。名前の付け方からして、いかにもカッコいいのにしようと思ってましたから。僕の中では、名前の最後に「ト」が入るとちょっとイケメンな感じなので。ハヤトとかマサトとかね。

KENN わかる気がします(笑)。名前ひとつつけるのにも、いろいろ考えを巡らせるんですね。

小山 主要な人たちくらいですけどね。ムッタとヒビトと、あとはせりかかな。せりかという名前をつけるときは、がんばりましたよ。身近なことをきっかけに考えていきました。

KENN たしかに僕も作詞するときなんかは、身の回りを見渡して言葉を探したりしますね。やっぱり日常から漫画のヒントを見つけることって多いんですか? 宇宙兄弟の連載も10年以上になりますよね、ずっとアンテナを張り続けているんですか?

小山 そうですね。ただ、昔のほうが何か見つける速度は早かった気がします。連載が長く続くと、過去にやったことを繰り返してもおもしろくないので、身の回りから新しいものを見つけるのがたいへんになってくる。

KENN つい自分の好きなパターンを繰り返したくなることってありませんか? 僕は曲を作るとき、つい好きなコードのパターンに持っていきたくなってしまって。

小山 自分の好きな「見せ方のパターン」はたしかにありますね。そんなときでも、アイデアでもセリフでも、何か必ず変えたり、新しいものを加えていきたくなるんですよ。

セリフも歌詞も磨き上げるもの

KENN 声を演じたので実感しているんですけど、『宇宙兄弟』は本当に名言だらけの作品ですよね。名言たくさん出すぞ、と意識しながら描いていたりするんですか?

小山 いやいや、そんなことはないですよ。でも、つねに何か気の利いたことを言いたいというのはあるかな。ストーリーの中で何か悩んでいる人がいたら、その人になんて言葉をかけたらちょっと救われた気分になるだろう? とかは考え抜きます。

KENN 言葉にはかなり気を配っているということですね?

小山 そうですね。その場面で言いたいことをいったん書いてみて、それをできるだけ短くしようとします。余分な言葉を削って、口に出したときのリズム感も整えて。KENNさんが作詞するときも似たことをするんじゃないですか?

KENN たしかに。歌詞も文字数がかなり制限されるので、言いたいことをコンパクトにまとめないといけない。もちろん色々なアプローチがあるので表現は自由ですが。情報量は多く、文字数は少なくできたときのほうが、伝わりやすくなります。なるほど、歌詞をつくるようにセリフをいつも磨き上げているから、名言が出てくる度合いが高くなるんですね。

小山 そのつど言葉を削ったり磨いたりするのはたしかです。しょっちゅうメモをとって名言を蓄えているわけではないので。

KENN じつは僕は、いい言葉を見つけたり日常であった出来事をメモをとったりして、ネタ帳見たいなものをつくっているんです。エピソードトークをしなくちゃいけないときにも使えるし、もちろん作詞にも。というか何があったか書いておかないと忘れちゃう(笑)

小山 ライブの要素が強いお仕事がいろいろあると、そうなるでしょうね。ナマの舞台に立つ人は、アンテナの張り方がすごいんでしょうね。

ちょっとしたしぐさから、ヒビト復活を感じ取った

KENN 名言を書こうと思って書いているわけじゃないということでしたけど、声優として演じるときもたしかに、「さあ名言を口にするぞ!」と思ったりはしていません。アニメでは、ヒビトがムッタに「もっと張り合えよ、つまんねーよ」と言うシーンがあって、ふつうに漫画で読むとそこは「わ、名言だ」となるけれど、演じるときはけっこうサラリと口にしました。きっとそのときヒビトは、さほど言葉も選ばず思ったままをポンと言ったはずだから。

小山 そうですね、それを第三者が見ると、カッコいい名言に思えたりすることもあるんでしょうね。

KENN 『宇宙兄弟』は、セリフも人物のふるまいも、いつだってとことんリアルなんですよね。僕らが実生活で当たり前のように感じているのと同じように、気持ちや行動がスムーズにていく。だから読んでいると、ごく自然に自分がムッタやヒビトのような気分になってしまう。不思議な感覚ですよ。最近のヒビトの言動でいえば、ムッタを助けに月へ行くことになった記者会見で、マイクをもてあそんでしまってガボガボと音がしてしまうじゃないですか。そのしぐさを見ただけで、「あ、ヒビト、復活した!」と感じますもんね。

小山 描いている側としては、「こうすれば効果的だろう」と狙っているつもりはあまりないんですけどね。ヒビトならこのときどうするだろう、そう思ってじっと観察していると、ああいう場面になっていく。

KENN マイクをいじっているヒビトの場面を読んだら、アニメのヒビトを演じているとき、気持ちの流れがすごく自然で心地よかったことを思い出しました。また機会があって、ヒビトの心に寄り添える仕事ができたらうれしいです。ヒビトも変化を遂げた分、自分も成長できているといいんですが。

小山 KENNさんはあのころ以来、ますます仕事の幅が広がってますね。

KENN いえいえ!以前から幅広くお仕事させていただいてきましたが、30代後半になってまたいろんなことに挑戦させていただいてます。そういえば、先日は仕事でロシアに行ってきたんですよ。8月に出る僕の写真集の撮影だったんですけど。狙ったわけじゃないですがヒビトとリンクしてすごく嬉しいです。ヒビチョフならぬケンチョフになれたかな?。

小山 すごい、じゃあヒビトみたいに凍った湖に飛び込んだりもしたんですか?

KENN いや、流石にそういう撮影はなかったですが、めちゃめちゃ寒いショットにチャレンジはしました……(笑)。でも、またヒビトを演じる機会がきて、湖に飛び込むシーンがあったら、体当たり演技で僕も飛び込みながら声を録って頂きましょうか。いつでも演じられるよう、身体鍛えておきます(笑)!


スペシャル対談、いかがでしたか?

公式ストアで『宇宙兄弟』の最新刊を予約すると、こんな対談が掲載された会報誌が同封されてきます☆

宇宙兄弟公式ファンクラブで発行している「コヤチュー部プレミアム会報誌」では、六太役を演じた声優・平田広明さんなどゆかりのある著名人へのインタビューを掲載しています。

こちらの「コヤチュー部プレミアム会報誌」はこれまでの会報誌から大幅にページが増え、なんと40P以上!キャラクターの誕生秘話も盛り沢山です。

初回入会特典として入会から3ヶ月程度でお届けいたします。
コヤチュー部プレミアムでは、小山宙哉の限定ラジオや限定公開しているイラストなど、ここでしか見れないコンテンツをたっぷり公開しています!