【中編】小山宙哉、等々力競技場で初ゴール!? | 『宇宙兄弟』公式サイト

【中編】小山宙哉、等々力競技場で初ゴール!?

2016.10.20
text by:編集部コルク
アイコン:X アイコン:Facebook
この夏、8月6日と16日の2日間にわたって、川崎フロンターレ×『宇宙兄弟』のコラボレーション企画「宇宙強大」が開催されました♪
「ファンの方々と一緒に楽しみたい。一体になって盛り上げていきたい。」という川崎フロンターレと『宇宙兄弟』のスタッフに共通する想いで実現した一大企画。真夏の暑さに負けない、熱あふれる2日間となりました。
「宇宙強大」イベントレポート【中編】は、8月6日のイベントの舞台裏をたっぷりお届けします!
川崎フロンターレの本拠地・等々力競技場で、小山さんがデザインした宇宙服ユニフォームを着用する選手たち。そして、中学時代はサッカー少年だったという小山さんが、始球式セレモニーでシュートをする大役に。果たして当日、どんなドラマが待っていたのでしょう…?

■お祭りのあとは、大事な公式戦が待っている

川崎フロンターレと、JAXAや『宇宙兄弟』がコラボレーションして開催となった夏の一大イベント「宇宙強大」。1日目の8月6日は、日が高いうちから等々力競技場周辺に、たくさんの人が詰めかけました。スタジアム周辺で、「宇宙兄弟ブース」をはじめ数々の催しが展開されて、好評を博しました。

_mg_0059

_mg_0273

日が少しずつ傾いて、猛暑がようやく緩みかけてくると、人出はますます増えてきました。それはそうです、スタジアムでは19時から、J1リーグの公式戦がおこなわれるのですから。ホーム川崎フロンターレが、ヴァンフォーレ甲府を迎え撃ちます。この日の時点で、フロンターレは年間順位1位をキープ。夏場をうまく乗り切れば、優勝の二文字も浮かんできます。サポーターも、応援に熱が入るというものです。

それに、地域との交流や、サポーターを楽しませることに注力してきたのがフロンターレというクラブです。チームの調子如何にかかわらず、約2万5千人収容のスタジアムは、常時たくさんの観客で埋まるのです。

今宵も2万人超えの動員が見込まれるスタジアムの周辺は、夏祭りのように盛り上がっています。その喧噪を縫うようにして歩いて、スタッフ出入口にたどり着いた男性がひとり。スニーカー履きの軽装で、一見サポーターに紛れてしまいそうですが違います。そう、小山宙哉さんです。

■小山宙哉、大役を担う

なにしろこの日は「宇宙強大」デー。試合直前、小山さんは観衆の前に立って挨拶をし、そのあと始球式としてPKを蹴ることになっているのです。控室に通された小山さん、まずはクラブのスタッフから段取りの説明を受けます。

_mg_0094

どうやら、試合に向けて万事整ったピッチの真ん中で、一挙手一投足を見られながらマイクを握り、そのあとすぐにゴール方面へ移動してシュートを決めなければいけないようです。キーパー役は川崎フロンターレのマスコットキャラクター、フロン太くん。着ぐるみなのでけっこうボリュームがあって、シュートコースをかなり塞いでしまいます。大きなフロン太くんをうまく避けながら、ゴールの枠内にシュートを決めねばなりません。シュートをしたら、その勢いのままフロンターレのサポーター席へ走っていき、「いっしょに応援しよう!」と観客を煽って、ようやくひと段落となります。

Jリーグの試合開始時間は厳密に決められています。そのため、試合前セレモニーは秒単位でスケジュールが組まれ、遅れは許されません。これは緊張する場面だ……。説明を傍から聞いているだけでも肩に力がはいりそうですが、小山さんはといえば、

「はい。ふむ。わかりました」

淡々と相槌を打つばかり。緊張とは無縁なタチなのですね。それでも、

「これ、シュートはちゃんと入れんと、シャレにならんなあ」

と、そこだけは思案顔。小山さんはサッカー経験者で、10代のころはサッカーに夢中になっていました。昔取った杵柄、問題はなさそうなのですが、じつは漫画の仕事で多忙を極める小山さん、今日のこの日まで、練習する時間をまったくとれませんでした。それでちょっとだけ、不安な顔を覗かせたのです。

ではいちおう下見をと、ピッチ上に行ってみました。

_mg_0080

ペナルティ・キックを蹴る場所にボールを置いてみます。と、意外にゴールは離れて感じられるもの。

「こんなに遠かったんだっけ……」

小山さんからつぶやきが漏れました。その後、選手たちが最終調整をする室内練習場をほんの短時間だけ借りて、キックの練習を2、3回だけさせてもらいました。

_mg_0358

 

■ゴールネットに突き刺さる鮮やかシュート

登場の時間が迫ってきました。小山さんは宇宙服ユニフォームへと着替えます。

_mg_0557

今日は川崎フロンターレの選手たちも、みなこれを身に着け試合に臨みます。選手と気持ちはひとつ! というところでしょう。着心地は?

「思いのほか、いいデザインに仕上がったと思いますよ。何より、試合で着てくださるというのがほんとうにうれしい。これを着た選手たちがピッチ全体に散っていく姿、きっときれいでしょうね」

キックオフも間近となり、声援のボルテージも上がってきたころ、小山さんがピッチに呼び込まれます。

_mg_0375

まずは観客へのご挨拶。客席にも、宇宙服ユニフォームを着たサポーターがたくさん。夜空に無数の星が輝くさまをデザインしたユニフォーム、数多く集まると星空が出現したみたいで美しい。そんなスタンドの光景を眺めながら、「宇宙強大」実施への感謝と、これから始まるゲームへの期待を語って、万雷の拍手を浴びています。

_mg_0389

一礼すると、スタッフに促されて、ゴール前へと走る小山さん。時間が少し押しているようです。フロン太くんはすでにキーパー役としてスタンバイしています。ボールをペナルティスポットへ置いて、間髪入れず小山さんは助走を開始。決められるか……。

_mg_0407

ゴーール! 鋭く右足を振り抜くと、ボールはゴール左隅に吸い込まれました。本物の試合でも、キーパーは防げないんじゃないかというほどの見事なシュート。準備のときから泰然としていたのも納得、本番に強いのですね。

歓声に沸くスタジアムのなかをまた走って、サポーター席の前へ。

_mg_0425

「こやーま、ちゅーや!」

と連呼するサポーターとエールを交わし、試合へ臨む雰囲気を高めたところで、小山さんはピッチを後にしました。フロンターレへの愛と『宇宙兄弟』への愛がひとつになって、ともに歩もう、闘おうという機運が、ここで最高潮に達しました。

セレモニーも一助になったのでしょうか、いざ試合が始まってみると、フロンターレは序盤から攻勢をかけます。『宇宙兄弟』ファンを公言するキャプテン中村憲剛選手を中心にボールを支配。前半から得点を重ね、結果、4対0の快勝を収めました。

グッジョブを成し遂げた小山さんは、ユニフォーム姿のまま観客席へ上り、満足そうに試合を最後まで堪能したのでした。

(続く)

ライター:山内宏泰(@reading_photo)

前編・後編はこちらから▶
【前編】川崎フロンターレと、「宇宙への夢」を共有した2日間のこと
【後編】ISSと川崎フロンターレが、しっかりとつながった日