NASAジェット推進研究所(JPL)で伝統になっている「ゲン担ぎ」がある。
たとえばキュリオシティーが火星に着陸する時。
たとえばカッシーニがエンジンを逆噴射して土星に軌道投入される時。
たとえばボイジャーが木星の重力を使って軌道変更する時。
管制室に座るエンジニアは、ただ探査機を信じて待つしかない。
エンジニアは5年、10年、様々なものを犠牲にして、この宇宙探査機の開発に時間と情熱を注ぎ込んできた。
失敗すればすべてが水の泡。
チャンスは一度だけ。
天命を知らせる電波が宇宙から届くのを、手に汗かきながら待つ。
だが、ただじっと待つわけではない。
待つ間、管制室ではおもむろにピーナッツの瓶がまわされる。それをみんなでボリボリ食べる。これが「ラッキー・ピーナッツ」と呼ばれるゲン担ぎである。
それほど深い意味はない。1960年代初期、月探査機レンジャーが6度続けて失敗した後、打ち上げ時にピーナッツをつまんでいたレンジャー7号は成功した。そうして「ラッキー・ピーナッツ」は生まれた。
それはスーパーマーケットで買える何の変哲もないピーナッツである。だがその味は唯一無二だ。ピーナッツの塩味に、興奮、焦燥、期待、不安、そういった高周波の感情の波が最大振幅で混ざる。失敗したら、これほど苦いピーナッツは世界にないだろう。成功したら天に昇るような甘い味になる。
そして感情の波を最大振幅にまで増幅するのが、運命の瞬間を乗り越えた後に待っている未知の世界への好奇心だ。
そこにどんな風景が広がっているのか?
そこにどんな歴史が刻まれているのか?
そこに生命はいるのか?
どんな生命がいるのか?
知りたくても知れなかった人類文明5000年分の欲求不満が、いま解き放たれようとしている。
もしカエサルが『火星戦記』を書いたら…
好奇心とは人類の最も強い感情のひとつだと思う。
たとえば、2000年前に書かれたカエサルの『ガリア戦記』 は「ガリアは全体で三つの部分に分けられており…」という有名な一文で始まり、ガリア地方(現在のフランス・ベルギー)の地理が説明される。どうして当時のローマ人は、地理の教科書のように始まるこの本に熱狂したのだろうか。
きっと彼らは未知の世界のことを知りたかったのだ。征服への欲望よりも未知への好奇心こそが、ローマ人の心を惹きつけたのだ。
もしカエサルが火星に遠征していたら、『火星戦記』は次のように始まっただろう。
火星は全体で二つの部分に分けられており、それらの一つは北半球の低地、もう一つは南半球の高地である。両者は気候、外観、地質年代において互いに異なっている。
火星の北半球の標高は南半球より1 kmから3 kmも低く、約40億年の昔には海が広がっていたと考えられている。一方、南半球全体はひとつの大きな大陸だった。
火星は北が低く、南が高い。実は、これはあとで解説する火星着陸にとって重要な要素なので覚えておいてほしい。
他の点でも北と南は対照的だ。北半球は四季の変化が穏やかで、反対に南半球は厳しい。なぜかというと、火星の軌道が楕円で、北半球の夏は太陽から遠く、冬は近いからだ。北半球にはクレーターが少なく、南半球に多い。北半球は地質的に新しく、南半球は古い。
赤道付近にはいくつもの驚異的な地形がある。
たとえば太陽系最高峰のオリンポス山。標高 は21,230 m*1。エベレストの2.5倍だ。
その南東に、オリオンの三つ星のように並んだ山がある。北からアスクレウス山( 標高18 km )、パヴォニス山(14 km )、アルシア山(16 km)。すべてエベレストより高い。合わせてタルシス三山と呼ぶ。
タルシス三山の麓に広がる広大な高原がタルシス。広さは南極大陸ほどもあり、標高は3000 mから8000 mにも及ぶ。
そしてタルシスの東端に深い切り傷のように刻まれているのが、太陽系最大の峡谷、マリナー渓谷だ。長さは4000 km、深さは7,000 mにも達する。ちなみにグランドキャニオンの平均深度は1,200 m ほどである。
僕は見てみたい、オリンポス山の頂から見下ろす圧倒的な風景を。山頂はほぼ宇宙にあり、空には昼でも星が輝いている。空気が澄んでいれば赤い大地を約400キロの彼方まで見渡せる。
僕は見てみたい、マリナー渓谷の中から見上げる驚異的な風景を。高さ数kmもの赤い壁が目の前に威圧的に立ちはだかり、それは霞んで見えなくなる彼方まで続いている。
人類はこの風景の最初の目撃者となるのだろうか?
あるいは、既にそれを目撃した存在がいたのだろうか?
*1 現在の火星には海がないので、地球のように海水面を基準にした標高は定義できない。代わりに火星の平均半径を基準にしたMOLA標高というものを使う 。オリンパス山のMOLA標高は21,230 mだ。MOLAとはNASAの火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーに搭載されたレーザー高度計で、この観測をもとに、火星全体の詳細な地形図が作られた。Google Marsで使われているのも、MOLAによる地形図である。
マリナー9号が見た、火星の超巨大砂嵐
この驚異的な地形を明らかにしたのが、1971年に初の火星の人工衛星となったマリナー9号である。(マリナー渓谷は探査機の名から名付けられた。)
1971年11月14日、8ヶ月の航海を終えて火星に到着したマリナー9号は、後ろ向きの姿勢になり、ロケットエンジンの逆噴射を開始した。
軌道投入に成功すれば、火星の重力に捉えられ、人工衛星になる。
失敗すれば、火星を通り過ぎるか、激突するかだ。
チャンスは一度だけ。地上のエンジニアたちは、汗をかく手でピーナッツを口に運びながら待った。
この時、軌道投入の成否に影響はしないが、気がかりなことがひとつあった。ある不可解な現象が火星で起きていることが地上の望遠鏡から報告されていたのだ。
火星全体の地表が、霞んで見えなくなっていたのである。
グローバル・ダスト・ストームと呼ばれる現象が起きていた。火星全球を覆う超巨大な砂嵐である。おおよそ3火星年(約5年半) に一度 、砂嵐はたいてい南半球のどこかで始まり、まるで伝染病が広がるように火星全体を呑み込んでいく。そして何週間にもにわたり風速20mの風が火星全土を吹き荒れ、砂を巻き上げて空を覆うのだ。グローバル・ダスト・ストームが発生し成長するメカニズムは現在も未解明のままである。
ちなみに、映画化されたSF小説『オデッセイ』の冒頭で主人公マーク・ワトニーが火星に取り残される原因になるのもダスト・ストームだった。
実は、あれには脚色がある。火星表面の大気密度は地球の約1%しかないから、火星で吹く風速20メートルの風は、地球の風速2メートルのそよ風*2ほどの力しかない 。映画のように、砂嵐によって基地が壊されたり、ロケットが傾いたりすることは現実にはあり得ない。
事実、2台の火星ローバー、スピリットとオポチュニティーは2007年のグローバル・ダスト・ストームに遭遇したが、飛ばされるどころか、ピクリとも動くことはなかった。むしろ、砂嵐は太陽光を遮るため、ローバーの太陽電池の発電量が減ることの方が深刻な問題だった。
マリナー9号の驚くべき発見
ピーナッツの験あってか、マリナー9号の軌道投入の成功を知らせる電波が届き、管制室は歓喜に湧いた。だが、火星にカメラを向けても、砂嵐で地表は一切見えなかった。
しかし、赤道付近で何か白いものが砂嵐の靄から顔を出していた 。
待つこと1ヶ月。ようやく嵐が去り、地表が見えるようになった。まるで「マテ」をされていた犬のように、マリナー9号は次々と火星の写真を地球に送ってきた。
そして、砂嵐から顔を出していた白いものの正体も明らかになった。
山だった。想像を絶する高さの火山の頂が、砂の舞う大気圏を突き抜けて宇宙に顔を出していたのだ。
オリンポス山はこうして発見された*3。
マリナー9号は火星全体をくまなく撮影し、7,329枚もの写真を送ってきた。その写真の中から、先に書いた火星の驚異的な地形の数々が明らかになった。
そして、さらに科学者を驚かす発見があった。
何枚かの写真に、何かが流れたような跡が写っていたのだ。それが何であるか、科学者たちの目には明らかだった。
川だ。太古の昔に、火星の大地を川が流れた跡だった。地球の川と全く同じように蛇行し、地を侵食し、河口に三角州を作っていた。
前回の記事に書いた初の火星探査機・マリナー4号 が撮ったたった21枚の写真から、人類は火星が月と同じような死の世界だと思い込んでいた。 火星に生命を見つける希望は絶たれたと思っていた。
だがそれはちょうど、地球をランダムに21枚撮ったら、偶然サハラ沙漠や南極が写ったようなものだった。
マリナー9号の7,329枚の写真が明らかにしたのは、地球と同じように風が吹き水が流れた、生きた星の姿だった。
では、そこに何かいるのか?
何がいるのか?
好奇心は満足するどころか、ますます膨らんだ。答えを知るには、着陸して調べる他なかった。
左:火星に残された三角州の跡 (NASA/JPL/Malin Space Science Systems)、右:地球の三角州 (USGS)
恐怖の7分
火星着陸。NASAのエンジニアはそれを「恐怖の7分」と呼ぶ。今までに火星着陸は13回試みられたが、成功は7度のみ。
なぜ火星着陸はそれほど難しいのか?
地球には濃い大気があるから、パラシュートだけで十分に減速できる。
金星は大気密度が地球の約50倍もあるから、パラシュートすらいらない。金星着陸はソ連の独断場で、10度の軟着陸を成功させているが、着陸機にパラシュートはなく、空気抵抗を増すためのドーナッツ状の板が取り付けてあるだけだった。人類が最初に探査機の着陸に成功した惑星は、火星ではなく金星である。
月への着陸も比較的簡単だ。全く大気がないため、軌道から地表までロケットエンジンひとつで済むからだ。
火星への着陸が難しいのは、地球の1%という中途半端な量の大気があるからだ。
だから、火星着陸は3段構成にする必要がある。
1段目は大気圏突入。探査機は時速21,000 kmもの超高速で火星大気に突っ込む。ヒートシールドに守られた探査機は火の玉になりながら、猛烈な空気抵抗によりものの数分で時速3,000 kmまで減速する。
2段目。パラシュートを開き、ヒートシールドを投棄する。だが、火星大気が薄いため、パラシュートでは時速300 kmまでしか減速できない。
だから3段目のロケットエンジンが必要になる。パラシュートを切りはなし、ロケットを逆噴射して最後の時速300 kmを殺すのである。
高地への着陸はとりわけ困難だ。2段目で減速しきる前に地面に激突してしまうからだ。たとえば、2020年に打ち上げ予定のマーズ2020ローバーが着陸できるのは標高マイナス500 m以下の場所のみ。南部の高地への着陸は一度も成功していない。
大気圏突入から着陸までわずか7分。地球との交信には往復20分ほどかかるので、探査機はこの複雑なシーケンスをすべて自動で完璧にこなさなくてはならない。「恐怖の7分」と呼ばれる所以である。
1976年7月20日、史上初めての火星着陸を目指す探査機・バイキング1号は、火星への降下を開始した。7分の間、地上で待つエンジニアにできるのは、祈ることと、ピーナッツを食べることだけだった。
バイキング
ピーナッツはやはり効くらしい。世界標準時11時53分 06秒、バイキング1号は「恐怖の7分」を突破し、史上初めて火星への軟着陸に成功した。
しばらくして史上初の火星の地表からの写真が届いた。明るい空。地平線に続くなだらかな起伏。大地に転がる岩。どこか地球の風景を思わせるものがあった。
だが、人々が期待していたものはそこにはなかった。土に草の一本も生えていない。岩に苔の一片も生していない。
それでも微生物ならばいるかもしれない。そこでバイキングには、微生物の存在を調べるための4つの実験を行った。
そのうち一つは、微生物に「エサ」を与える実験である。
人間ならば、たとえばお米を食べる。米の主成分は炭水化物で、炭素、水素、酸素から成る。あなたの体はエネルギーを得るために炭水化物を燃やす。すると炭素が酸化されて二酸化炭素となり、呼吸によって吐き出される。これが「代謝」だ。地球の生物の殆どは、このように有機物(炭素化合物)を酸化し二酸化炭素を吐き出す、という代謝をする。
火星の生物は米が好きかパンが好きか分からないが、微生物なんだから贅沢なものはいらなかろう。そんなわけで、バイキングは 「エサ」として7種類の有機物が溶けたスープを持っていった。
実験はこうだ。スコップで火星の土をすくい、密閉容器に入れ、有機物スープを垂らす。そして出てくるガスを観察する。果たして結果は…
もしかしたらピーナッツが効きすぎたのかもしれない。なんと、スープを垂らした途端に二酸化炭素が出てきたのだ! 間違いなく、土の中の「何か」が有機物を酸化し二酸化炭素に変えていた。
バイキング1号に続いて着陸したバイキング2号も同じ実験をし、全く同じ結果を得た。
この実験の結果だけを見れば、明らかに生物の仕業に見える。 喉がカラカラの火星の生物が、地球製の有機物スープをゴクリと飲み干して、「ごちそうさま」と言わんばかりに二酸化炭素を吐き出していたのだろうと思える。
だが、他の3つの実験は「生物はいない」という結果を出した。とりわけ、土壌中から有機物が殆ど検出されなかったという事実は科学者を悩ませた。有機物を食べる微生物の体は当然、有機物からできているはずだからだ。
この矛盾する結果に対し、科学者が悩んだ末にたどり着いた解釈はこうだ。スープを酸化したのは、土に住む微生物ではなく、土自体だった。なぜそんなことが起きたかというと、火星に降り注ぐ紫外線の影響で土が酸化剤になっているからだ。
現在の科学者の殆どは、バイキングの実験は生命の存在を示唆しないか、少なくとも決定的な結論を出すものではないと考えている。
とはいえ、広大な火星のたった2箇所で生物がいなかったからといって、火星のどこにもいないとは限らないのではないか?
たとえ現代では生命は死絶えてしまっていたとしても、過去に存在した可能性はあるのではなかろうか?
人類の好奇心ほど、諦めが悪い感情はないかもしれない。隅々まで知り尽くすまでそれは決して満足しない。
火星に生命を求める旅は、続いた。
なぜ火星に生命を探すのか?
それにしても、なぜ人類はそこまで火星にこだわるのか?
いたとしてもせいぜい顕微鏡でしか見えない微生物なのに、どうして血眼になって探すのだろうか?
別の星を探した方がいいのではないか?たとえば、木星の衛星エウロパや土星の衛星エンセラドスには現在も氷の下に海があることがわかっている。
その理由は、バイキングのある発見によるものだった。
バイキングは火星に着陸するランダーと軌道を周回するオービターがペアになった探査機だった。オービターは4年にわたって火星を軌道上から観測し、マリナー9号をさらに上回る精度で火星全体を撮影した。
科学者はそこに、ある興味深い地形を見つけた。
海岸線のように見える地形だった。
マリナー9号によって、川が少なくとも一時的にあったことは知られていた。だが、海があったとは誰も想像していなかった。それも北半球の大部分を覆う、大西洋ほどの広さのある広大な海が。
海が存在したということは、火星が地球のように暖かく、濃い大気を持っていたことになる。
過去に海が存在した証拠はだんだんと積み上がっていった。火星に海が存在したのはおよそ41億年前から37億年前であることもわかってきた。それはちょうど地球に生命が発生したと考えられている年代である。
37億年前、地球と火星は双子のような星だったのだ。もし生命が普遍的な現象ならば、つまり食べ残しを放置すれば必ず虫が湧くように、環境さえ整えば生命は必然的に発生するものならば、少なくとも過去には火星に生命がいたはずだろう。
逆にもし火星に生命がいなければ、なぜ地球だけに生命が発生したのか、という疑問が湧く。もしかしたら地球の生命とは単に、途方もない偶然の産物なのかもしれない。
生命とは必然か?
偶然か?
人類が火星を目指すのは、この問いへの答えを探すためなのである。
僕は思う。これこそは人類にとってもっとも深遠な問いの一つなのだと。なぜならそれは自らの存在理由への問いだからだ。もし僕が親を知らなかったら…もし自分が誰から生まれたのか、どう生まれたのかを知らなかったら…僕は何としてでもそれを知ろうとするだろう。
火星の生命に対する人類の好奇心はもはや、ただ知りたいというレベルのものではない。
知らねばならぬのだ。
人類は1990年代以降の火星探査によって、まるで犯人を追い詰める探偵のように、生命の証拠があるだろう場所を、少しずつ絞り込んでゆく。
(つづく)
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〈著者プロフィール〉
小野 雅裕
大阪生まれ、東京育ち。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程終了。慶應義塾大学理工学部助教を経て、現在NASAジェット推進所に研究者として勤務。
2014年に、MIT留学からNASA JPL転職までの経験を綴った著書『宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由』を刊行。