宇宙兄弟はじまりの年を記念して、六太がミラクルカーを退社した5月15日に募集開始した宇宙兄弟エッセイプロジェクト みんなの心のノート。

「心のノートにメモった言葉」がテーマとなった第2回の入賞作品から、六太賞／日々人賞／宇宙兄弟賞の受賞作品をご紹介していきます！

今回は宇宙兄弟賞受賞作品その５。
受賞者の方には賞品として、小山宙哉サイン入り色紙を後日お送りします。

シャロンに救われた過去（20代　シニアのワン太君）

私は今、20代の会社員です。

宇宙兄弟と出会ったのは10年くらい前の高校生のとき。特に宇宙も星も天体観測も興味なく、宇宙兄弟の映画もすでに公開されているのは知っていたが、さほど興味のないただの高校生だった。

私が高校1年生の時、同じクラスの一緒にいたグループから、突然「なんかウザくない？」をキッカケにハブられることが起きた。

教科書に落書きされるとか、暴力を振るわれるとか、危ない目にあうとか、そんなことはされない。ただ昨日まで一緒にいたのに、急に空気のような見えない存在になった。いつものように話しかけたら、サーっといなくなる。私のいないところで話が進んでる。

私は突然クラスの中で行く場所を失った。

いじめられている。当時はそう認めたくなかった。私がいじめを受けている？そんなはずはない。中学の時まで友達に恵まれ、親にも愛されて生きてきた私が。

いじめられているなんて親に言ったら悲しませてしまう。誰に相談するわけでもなく1人で乗り越えようとしていた。

幸いにも、クラス以外に部活動のコミュニティを持っていたことで放課後の逃げ道はあった。

私がクラスの中で浮いた存在になったことは知っているけど、同じ部活のSさんはそれに触れてこない。私は居心地の良さからSさんといることが増えた。ある時、Sさんのお家に遊びに行くと沢山の漫画が置いてあった。田舎でやることがないこともあり、それからはSさんの家に漫画を読みに行くようになった。

そこで初めて「宇宙兄弟」と出会う。

わりと序盤で私の心は掴まれた。「どっちが楽しいかで決めなさい」「音を出してみなければ音楽は始まらない」「金ピカなことはなに？」シャロンの言葉一つ一つが心に刺さる。

私が無視されるようになったキッカケは、自分の意思を持ってなかったからだ。
高校という新しい環境で、周りの目を気にして1軍女子のグループにいたい、嫌われたくないという思いからなんでも「いいよ」「みんなに合わせるよ」と自分から提案することなく、後ろをついていくような人間だったから「なんかウザくない？」が起きた。

選択を迫られた時は必ず、どっちが周りにとって都合がいいかで選んでいたし、なにか案があったとしても周りにとって都合のいいものでなければ自分から「音を出す」ことはしなかった。

六太と私の置かれている状況は違う。それでも当時の私にはシャロンの言葉一つ一つが、私に言っているように聞こえた。シャロンの言葉は心に傷を負った私を優しく包み込んでくれ、どうしたらいいのかそっと背中を押してくれていた。

それから進学、就職と人生の大きな選択も、日常の小さな選択も「私にとって楽しいほう」「ワクワクするほう」を選ぶようにしている。

周囲にとっての都合のいいことではなく私にとっての「金ピカ」を大事にすること、考え方が変化したことで自己肯定感の低さから抜け出せ、ちょっとずつ自分を大切にすることができるようにもなってきた。

10年以上たった今、高1のグループの子と会うことは、もうない。それでもテレビから流れる悲しいニュースとかをみて共感してしまい、あの時の心の苦しさを思い出してどうしようもない孤独感に襲われることがある。
私は多分、一生この心の傷と付き合っていくんだろう。

でも私には心のノートがある。私の心のノートには「私にとって金ピカなことはなに？」「私にとって楽しいのはなに？」と私が私を大切にする言葉が刻まれている。
そして、ひとまずは音を出す。なんでもit’s a piece of cake !の精神で、困ったことが起きたら、起きてから悩む。

生きづらいと思っている人、知らないうちに1人で抱えていっぱいいっぱいになってしまう人へ。
宇宙に全く興味のなかった私がバイブルにしている「宇宙兄弟」ぜひ、手に取ってみてほしい。

ほかの受賞作品はこちらから読めます
・六太賞｜「悩むなら、なってから悩みなさい」
・日々人賞｜ひとりきりで見つけたもの
・宇宙兄弟賞｜宇宙に咲く花
・宇宙兄弟賞｜心にメモった2人の言葉
・宇宙兄弟賞｜地球人
・宇宙兄弟賞｜1番最初に決めた夢
・宇宙兄弟賞｜母親で、父親で。

ただいま第3回の募集中！テーマは「約束」。
「大切な人と交わした約束」「果たせなかった約束」「自分との約束」など…………あなたの中の「約束」の話を教えてください。

締め切りは12月16日。みなさまからのご応募をお待ちしております！
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