12月8日にリリースされた大塚愛さんのオリジナルアルバム『LOVE POP』に「デメネコパラダイス」という曲が!このページに掲載されている対談をきっかけに、大塚愛さんが「デメネコ」をイメージして作ってくれたのです!
12月10日にショート・ミュージックビデオも公開されましたので、大塚愛さんの公式YouTubeからぜひご覧ください。
2003年にデビュー以来、心に響く歌を届け続けてくれる大塚 愛さんは、『宇宙兄弟』のファン歴もまた長い。連載初期の段階から、ずっと読み込んでくださってきたのだとか。
コヤチュー部会報誌vol.7に掲載された大塚愛さんとの対談の内容を大公開します!
関西仕込みのギャグセンスが大好き
大塚「漫画はまず絵柄の好みで選ぶんです。何巻だったか忘れてしまったんですが、コミックの表紙を見て『これいい!』と思って買ったのが最初でしたね」
小山「宇宙をテーマにした『ロケットスニーカー』という曲も歌っていらっしゃいますよね?」
大塚「はい、もともと宇宙には並々ならぬ興味があって、『宇宙兄弟』でさらに関心が深まっていった。最初は絵柄をきっかけにして手に取り、いざ読み出したらストーリーにもすぐハマりました。誰の心の中にもあるけど、うまく言葉にならない何か。それがジワジワと心に染み込んでくる読み心地が大好きで。
同時に、あのハンパないギャグセンスも! 重さと軽さが同居しているのがたまらないです」
小山「関西育ちなので、きれいでかっこいいシーンばかり続くと恥ずかしくなってきて、あいだに笑いを挟まずにはいられなくなるのは癖ですね。大塚さんも関西出身でしたよね?」
大塚「そう、大阪です。なのでその気持ち、すごくよくわかります(笑)。ムッタたちの同僚、ローリーが着ているTシャツの書き文字ギャグも大好き。いつもこちらの期待を超えてきてくれますよね」
小山「じゃあお気に入りのキャラクターといえば、ローリーになる?」
大塚「誰が好きかを挙げるなら、南波家のお父さんとお母さんです。あのふたりが出てくるといつだって安心できるので」
小山「描いている側としてもあのふたりは、みずから勝手に動いてくれるキャラなので助かりますよ」
大塚「ご両親が作品のバランスを整えている気がしますよ。『宇宙兄弟』って、読んでいて感情が激しく揺り動かされるから、心が忙しくなる。だからわたしは、自分に心の余裕があるときしか手に取れない。でもあの両親が出てくると、実家に帰ったような落ち着きがあって、ホッとひと息つけるんですよ」
キャラクターは「つくる」のではなく「出逢う」もの
小山「たしかに僕はいつも漫画で人物の心の動きを追いかけてますけど、歌をつくってうたうのも、似たようなことをしているものなんじゃないですか?」
大塚「そうですね、漫画も歌も、人の心を動かす仕事という点では変わりないと思います。別ジャンルで心を動かしてくれるものを見つけると、『ここにも同じこと目指している人がいる!』とうれしくなりますね」
小山「『人の心を動かすために』というものづくりのスタンスは、デビューのころからあったんですか?」
大塚「そうですね、最初からけっこう生意気でしたよ。デビュー前はデモテープをレコード会社に送ったって何の反応もないことがよくあったけど、『わかってもらえないのはたまたま相性が悪かっただけ』と思うようにしてました。こっちはいいものつくってるんだ、わからない人のセンスをこそ問いただしたい! というくらいの気持ちで。
だって、芸術って好みじゃないですか。いいか悪いかなんて誰にも決められない。同じ曲をいいと思う人もいればそうじゃない人ももちろんいる。自分としては、ひとりでもこれをいいと思ってくれる人がいると信じて、アタックし続けるのみですね」
小山「そういう前向きな姿勢が、長年第一線で歌い続けてこられた秘訣ですか?」
大塚「そうですね、自分はいけるはず! という勘違いが原動力かな(笑)。私はデビュー前にたくさん曲をつくってストックしていたので、当初は向こう3年くらいリリースの予定を立てていられました。それはもう使い果たしてしまったので、いま目の前に見えている光景や、自分が心からいいと思えるものに忠実になって曲をつくり、うたうようになってきました。自分の活動は現在のところ、第2章に入ったと考えてます。
『宇宙兄弟』のほうも、これだけ巻数を重ねてくると、つくり手側の気持ちや態勢の変化が大きいんじゃないですか?」
小山「僕もストックはとっくになくなっている状態ですよ。いまはぼんやりと進む方向だけが見えていて、毎話の展開や細部はそのつど考えて描いています」
大塚「え、じゃああの名言続出のセリフも、現在進行形で考えながら生み出されているんですか」
小山「セリフはちゃんとそのキャラクターの言葉になっていることが大事なので、毎回入り込んで『聞きに行く』という感じはあります。キャラクター自体も実際は自分でつくってはいますが、「つくる」ものではなく「出会う」という捉え方で接した方がより実在感のあるキャラクターになっていきます。ムッタやヒビトとは、ずいぶん前に出逢ってそれぞれどんなふうに生きてきたかを知っています。だから二人に同じ質問をしたとしたら答えは違ってくるのが当然でそれぞれのセリフになっていくという感じです。」
大塚「作品の世界の中に入り込んで、覗いてくるってことですか? いいな、わたしもその世界に入ってみたい!」
漫画家の適性、アリやナシや
大塚「いま『宇宙兄弟』を読んでいて気になることといえば、ヒビトとオリガの恋のゆくえですよね! 第36巻で、ヒビトがまたズルいセリフを言っているじゃないですか。『今度はオリガを思い出す』だなんて。あんなこと言われたら、わたしだって好きになっちゃいますよ。オリガにはその言葉がかなり刺さったみたいですけど、ヒビトはどこまで本気で言っているのかな。無邪気に口にしただけという恐れもありますけど……」
小山「先に言ったように先の話は決めてないので、ふたりがどうなるかはいまのところ、僕も知らないんです(笑)。それにしても女性の心を描くのって、難しいですね。そこがうまくできるようになったら、漫画家として一段階高いところへ行ける気がします」
大塚「わたしが歌について難しさを感じるのは、ライブでのパフォーマンスをするときですね。じつはいまだに苦手意識があって。レコーディングのときは細かく作品を突き詰めることができるけれど、ライブだとその場の環境や状況、自分の調子も含めて、すべてが完璧というわけにはなかなかいかないじゃないですか。それによって歌の世界観が崩れてしまうのは耐えがたいんです」
小山「それだけ自分の作品への愛情が強いということなんでしょうね」
大塚「たしかにわたしにとって、作品こそ大切。作品はひとつの生きものだから、それが最もいい環境を得て、どんどん広がっていってくれれば何よりうれしい。自分自身が前面に出たいとはまったく思わないです」
小山「漫画の場合、作者がパフォーマンスをするということはまずありませんから、基本的に作品こそすべてということになる。大塚さんは、ちょっと漫画家気質がありそうですね」
大塚「本当ですか? だとしたらうれしいな。わたし絵を描くのも好きで、最近はちょっと習ったりもしてるんですよ。あとで似顔絵、描かせてもらってもいいですか?」
小山「じゃ僕の仕事場もぜひ覗いていってください。せっかくですから何か描いてもらいましょうか」
マネージャーの「あごらいくん」さんを描く大塚さん
そうして大塚愛さんは仕事場で、進行中の『宇宙兄弟』原稿のお手伝いも体験。デスクに座ってペンを持つ姿は、ずいぶんサマになっていました。ひょっとすると絵を描く趣味が高じて、オリジナル作品を描き上げ漫画家デビューする日も近いかも。
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