コヤチュー部会報誌vol.6に掲載!アニメ『宇宙兄弟』でヒビト役の声優を務めたKEENさんとの対談の内容を大公開します!
「ヒビトのヤンチャさが声に出ていた」
ヒビトの声はぜひこの人に! テレビアニメ版『宇宙兄弟』の制作が始まる際に、ヒビト役=KENNさんと決めたのは、他ならぬ小山宙哉だったという。

創作のヒントは日常に転がっている
KENNさんがアニメ、そして映画でヒビトの声を演じてからはや8年。いったん挫折を味わったあと、復活を遂げて月へ向かおうとしているヒビトの変化をどう見ているのだろう?
KENN 演じさせていただいてから、もう8年も経つんですね。僕が演じていたころのヒビトは、どこか頼りなさが残るムッタと対極で、「元気で明るくカッコいい」という面がクローズアップされていたような気がします。でもストーリーが進むにつれて、ヒビトもいろんな挫折を経験したり、思い悩んだりもがき苦しんだりして、より人間臭いところが見えてきた。それで僕は、もっとヒビトが好きになりました。ああそうか、最初から何でもできる完璧な人なんていないんだ、だから自分もがんばろうと改めて思えたんです。
小山 そうですね、最初のころのヒビトは、ムッタとの違いをけっこう強調していた面があったかもしれない。名前の付け方からして、いかにもカッコいいのにしようと思ってましたから。僕の中では、名前の最後に「ト」が入るとちょっとイケメンな感じなので。ハヤトとかマサトとかね。
KENN わかる気がします(笑)。名前ひとつつけるのにも、いろいろ考えを巡らせるんですね。
小山 主要な人たちくらいですけどね。ムッタとヒビトと、あとはせりかかな。せりかという名前をつけるときは、がんばりましたよ。身近なことをきっかけに考えていきました。
KENN たしかに僕も作詞するときなんかは、身の回りを見渡して言葉を探したりしますね。やっぱり日常から漫画のヒントを見つけることって多いんですか? 宇宙兄弟の連載も10年以上になりますよね、ずっとアンテナを張り続けているんですか?
小山 そうですね。ただ、昔のほうが何か見つける速度は早かった気がします。連載が長く続くと、過去にやったことを繰り返してもおもしろくないので、身の回りから新しいものを見つけるのがたいへんになってくる。
KENN つい自分の好きなパターンを繰り返したくなることってありませんか? 僕は曲を作るとき、つい好きなコードのパターンに持っていきたくなってしまって。
小山 自分の好きな「見せ方のパターン」はたしかにありますね。そんなときでも、アイデアでもセリフでも、何か必ず変えたり、新しいものを加えていきたくなるんですよ。
セリフも歌詞も磨き上げるもの
KENN 声を演じたので実感しているんですけど、『宇宙兄弟』は本当に名言だらけの作品ですよね。名言たくさん出すぞ、と意識しながら描いていたりするんですか?
小山 いやいや、そんなことはないですよ。でも、つねに何か気の利いたことを言いたいというのはあるかな。ストーリーの中で何か悩んでいる人がいたら、その人になんて言葉をかけたらちょっと救われた気分になるだろう? とかは考え抜きます。
KENN 言葉にはかなり気を配っているということですね?
小山 そうですね。その場面で言いたいことをいったん書いてみて、それをできるだけ短くしようとします。余分な言葉を削って、口に出したときのリズム感も整えて。KENNさんが作詞するときも似たことをするんじゃないですか?
KENN たしかに。歌詞も文字数がかなり制限されるので、言いたいことをコンパクトにまとめないといけない。もちろん色々なアプローチがあるので表現は自由ですが。情報量は多く、文字数は少なくできたときのほうが、伝わりやすくなります。なるほど、歌詞をつくるようにセリフをいつも磨き上げているから、名言が出てくる度合いが高くなるんですね。
小山 そのつど言葉を削ったり磨いたりするのはたしかです。しょっちゅうメモをとって名言を蓄えているわけではないので。
KENN じつは僕は、いい言葉を見つけたり日常であった出来事をメモをとったりして、ネタ帳見たいなものをつくっているんです。エピソードトークをしなくちゃいけないときにも使えるし、もちろん作詞にも。というか何があったか書いておかないと忘れちゃう(笑)
小山 ライブの要素が強いお仕事がいろいろあると、そうなるでしょうね。ナマの舞台に立つ人は、アンテナの張り方がすごいんでしょうね。
ちょっとしたしぐさから、ヒビト復活を感じ取った
KENN 名言を書こうと思って書いているわけじゃないということでしたけど、声優として演じるときもたしかに、「さあ名言を口にするぞ!」と思ったりはしていません。アニメでは、ヒビトがムッタに「もっと張り合えよ、つまんねーよ」と言うシーンがあって、ふつうに漫画で読むとそこは「わ、名言だ」となるけれど、演じるときはけっこうサラリと口にしました。きっとそのときヒビトは、さほど言葉も選ばず思ったままをポンと言ったはずだから。
小山 そうですね、それを第三者が見ると、カッコいい名言に思えたりすることもあるんでしょうね。
KENN 『宇宙兄弟』は、セリフも人物のふるまいも、いつだってとことんリアルなんですよね。僕らが実生活で当たり前のように感じているのと同じように、気持ちや行動がスムーズにていく。だから読んでいると、ごく自然に自分がムッタやヒビトのような気分になってしまう。不思議な感覚ですよ。最近のヒビトの言動でいえば、ムッタを助けに月へ行くことになった記者会見で、マイクをもてあそんでしまってガボガボと音がしてしまうじゃないですか。そのしぐさを見ただけで、「あ、ヒビト、復活した!」と感じますもんね。
小山 描いている側としては、「こうすれば効果的だろう」と狙っているつもりはあまりないんですけどね。ヒビトならこのときどうするだろう、そう思ってじっと観察していると、ああいう場面になっていく。
KENN マイクをいじっているヒビトの場面を読んだら、アニメのヒビトを演じているとき、気持ちの流れがすごく自然で心地よかったことを思い出しました。また機会があって、ヒビトの心に寄り添える仕事ができたらうれしいです。ヒビトも変化を遂げた分、自分も成長できているといいんですが。
小山 KENNさんはあのころ以来、ますます仕事の幅が広がってますね。
KENN いえいえ!以前から幅広くお仕事させていただいてきましたが、30代後半になってまたいろんなことに挑戦させていただいてます。そういえば、先日は仕事でロシアに行ってきたんですよ。8月に出る僕の写真集の撮影だったんですけど。狙ったわけじゃないですがヒビトとリンクしてすごく嬉しいです。ヒビチョフならぬケンチョフになれたかな?。
小山 すごい、じゃあヒビトみたいに凍った湖に飛び込んだりもしたんですか?
KENN いや、流石にそういう撮影はなかったですが、めちゃめちゃ寒いショットにチャレンジはしました……(笑)。でも、またヒビトを演じる機会がきて、湖に飛び込むシーンがあったら、体当たり演技で僕も飛び込みながら声を録って頂きましょうか。いつでも演じられるよう、身体鍛えておきます(笑)!
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